【JR東では全廃に】新潟エリアの115系7編成が定期運用終了

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JR東日本では2022年3月12日にダイヤ改正を実施しています。

これまで新潟エリアでは新潟ゆかりのカラーリングで115系が7編成21両活躍していましたが、定期運用を終了することが明らかになりました。

115系天国だった新潟エリア

新潟エリアでは国鉄時代に115系の投入が進められ、国鉄分割民営化でJR東日本に継承されて以降も主力車両として県内各地で運用されていました。

1995年から急行形電車である165系・169系淘汰のためE127系が投入されたものの、引き続きほとんどの列車は115系で運転される体制となっていました。

2011年度下半期より首都圏では東海道線・高崎線・宇都宮線にE233系3000番台を集中的に投入し、211系を各地に転用する動きが開始され、このうち田町車両センターの付属編成を5両から4両に短縮した編成は新潟エリアに転用する前提とみられていましたが、その後解体。2014年度から新潟エリア向けの3扉車の新形式・E129系の投入が開始されました。

首都圏向けのE233系製造の合間を縫って総合車両製作所新津事業所で製造された“地産地消”の車両により、新潟エリアの115系の置き換えが急速に進行しました。2017年3月のダイヤ改正時点で当初の製造予定だった2両のA編成30本・4両のB編成25本の合計160両が出揃い、ほとんどの列車がE129系で運転される体制となりました。

7編成が“余生”

三次新潟色+湘南色の6両編成運用

2018年3月のダイヤ改正から新潟駅の高架化工事が本格化し、高架化されたホームから順次ATS-P形自動列車停止装置の運用が開始されることとなりました。

新潟エリアではATS-Ps形を採用しており、P形と互換性がありません。新潟車両センター所属の115系では非設置とされていたため、新たに設ける必要がありました。

置き換え予定の車両に新設することを避けるため、E129系をA編成・B編成各2本を新製して更なる置き換えを進めています。これに加え、この新潟駅の高架化工事完了後の運用効率向上で余剰となる分については、同時期に211系の転入で置き換えられた長野総合車両センターの115系を活用することとされました。

彼らは中央本線普通列車として都内まで顔を出す機会があったためATS-P形やデジタル無線装置を設置済となっており、それを有効活用した格好です。この設備は新潟駅のほか、定期検査が2015年に長野から大宮へ持ち替えとなったため、首都圏を走行する際にも活用されています。

転入直後は新潟支社の塗色ルールに則ってリニューアル車両は青基調・そうでない車両は緑基調の塗色に改められましたが、イベントの度に塗装のバリエーションが増やされていき、湘南色・新潟一次〜三次色・懐かしの新潟色・弥彦線新旧塗装と7編成全てが異なる塗装となっていました。

左から懐かしの新潟色・三次新潟色(後側)・弥彦色

新潟駅高架化工事の終了とE129系再増備

2021年6月末に公表された移動等円滑化取組計画書の記載から、2021年度の新造車両に形式不明の4編成12両の新造車が計画されていることが明らかとなり、どの形式をどの路線へ投入するのかが注目されていました(過去記事)。

総合車両製作所新津事業所では、相模線・宇都宮エリア向けのE131系の製造に終わりが見えてきた2022年初めよりE129系とみられる車両の製造が複数のファンによって目撃されていました。

2月21日には2両のA33,A34編成が、3月1日には4両のB27編成が落成しており、既存車と混じって営業運転を開始しています。

ダイヤ改正前々日となる3月10日より115系・E127系の運用の代走も実施されていました。そして、3月11日の新潟駅発直江津駅経由 えちごトキめき鉄道新井駅直通の“新井快速”こと3374Mの案内放送で営業運転終了を示す旨の放送がされたほか、地元新聞社である新潟日報による報道(外部リンク)でラストランとなった旨が報じられました。

日付が回って12日には、JR東日本ホームページの列車カタログからも115系のページが削除されています(外部リンク)。このカタログからダイヤ改正日早々に削除される変更は、前年の215系の事例のように毎年恒例となりつつあり、事実上の「公式発表」と捉えることができます。

これらの動きは新潟駅高架化事業は2021年度完了を目標に進められてきました(外部リンク:新潟市HP)ので、同時に残りの115系を一掃する狙いがあったものと考えられます。

ただし、その後の報道では2022年6月ごろの全面高架化と報じられており(外部リンク:新潟日報)、今回のダイヤ改正での供用開始には至っておらず、引き続き1番線が未供用・8,9番線の地上ホーム維持となっています。

運用削減効果は……?

2022年3月のダイヤ改正は新潟エリアでも大規模なものとなっていますが、先述の通り新潟駅高架化工事の当初の計画は2021年度末でしたが、供用開始は報道通り2022年6月ごろとなりそうです。

鉄道車両の発注から落成までは2年近くの年月を要することから、当初から2022年3月改正でE129系を再増備・115系を全廃する動きが計画されていたと考えることが出来ます。

2022年3月改正後の車両運用数の変化は断定出来ませんが、115系の代替は3両運用→2両・6両→4両となっており、所要数の減少には至りません。

先述の製造予定数を見るとあとB編成1本が近日中に出てきそうな計算ですが、そのような目撃情報もなく、計画変更で1編成4両の製造を見送ったのか、E235系付属編成1本が2021年度新造車として計上されているかのいずれかと考えられます。

今回のダイヤ改正では115系6運用のほかE127系の2運用も代替しており、減車や減便とみられる動きも他に発生していないことから、消去法で配置数に比較して運用数が増加していると考えるほかありません。

形式統一による予備車削減で1編成が削減されていたことを差し引いて、115系6編成とE127系2編成を4編成分の増備(2両編成換算)で賄っているため、8両分は運用数の増加(予備運用の削減)で捻出している計算です。

極端な配置数抑制にも思えますが、6月の高架化工事で運用整理を実施する前提であれば、一時的に予備車を削ること自体は不思議ではありません。また、仙台車両センターが同程度の余裕のなさでずっとやりくりをしていたため、不可能ではないようにも思えます。

E129系は初期に投入した車両が装置保全(定期検査)の時期を迎えており運用離脱期間が発生しそうな一方で、115系には2021年度に定期検査を通過したばかりの車両もあり、場合によっては代替された車両がひっそりと代走で登板する可能性自体は否定出来ません。

今後の廃車までの動きがどのようになるかも気になるところですが、これまでの活躍が“余生”と呼ぶに相応しい状態でしたので、大往生であることは間違いありません。その圧倒的な人気は今後も衰えることはありませんので、有料撮影会などのイベントでの活用なども期待したいところです。

“公式発表”を追う難しさ

今回の115系の代替は先述の4編成12両の新造車投入計画や、そもそもの115系残存経緯を考えれば本改正での淘汰は想像に難くない車両だったとも言えます。

これは後輩車両である201系淘汰が公表されていた奈良線の103系、日光・鬼怒川線のワンマン化でほぼ公言されていた東武鉄道の6050型なども同様です。

趣味人口の増加・SNSの普及・カメラの低価格化などの時代の流れで事業者も年々敏感になっており、今後はますます明確な「〇〇系引退!」といった公式発表がなくラストランを迎える車両が増加することとなりそうです。

2021年度はコロナ禍前に発注されたであろう車両が相次いでデビューして話題の多い1年間でしたが、2022年度は2020年度の利用急減が車両新造・転用・廃車に具体的な影響が発生し始める年となることが想像されます。今後も公表されていない新たな動きが生じる事業者・路線もありそうで、引き続き各社の動向から目が離せません。

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