【直通・増結準備進む】相鉄20000系が東急電鉄元住吉検車区へ

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東急電鉄では新横浜線建設と相鉄線直通運転に向けた準備が進められており、2022年3月12日のダイヤ改正とともに奥沢駅3番線の供用を開始するなど大きな動きが続いています。

東横線系統では、相鉄20000系20107×10(20107F)が3月28日深夜(29日未明)に元住吉検車区へ初入線を果たしました。

21000系とは逆順で試験

東急電鉄と相模鉄道では、2023年3月の東急・相鉄新横浜線開業と直通運転に向けた準備を実施しているほか、目黒線に直通している都営三田線や東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線でも8両編成運転開始に向けた準備が進められています。

車両側の動きでは、2021年に目黒線系統で使用される相鉄21000系が甲種輸送(貨物列車での輸送)の上で直通先の各社局で試験を実施したのち返却され、2022年1月には20000系も甲種輸送にて東京メトロ綾瀬検車区へ搬入されています。

これまで有楽町線・副都心線車両の拠点である和光検車区を拠点に試験が続けられていましたが、3月28日終電後(29日未明)に東横線へ初入線を果たしました。東横線内を1.5往復し、元住吉検車区へ入線しています。

今後は先に実施された21000系と同様に、深夜帯の本線上で試験を行うこととなりそうです。

21000系が東急電鉄長津田検車区から搬入され、同社元住吉検車区〜東京都交通局志村車両検修場〜埼玉高速鉄道浦和美園車両基地〜東京メトロ綾瀬検車区と巡った動向とは対照的ですが、同様に乗り入れ先各社を最短経路で巡るとなると、長津田検車区から甲種輸送で相鉄に戻る動きが予想できます。

また、一部報道で東武東上線にも相鉄20000系が入線する旨が記述されていましたが、こちらはその後取り消されていました。20000系も東京メトロ綾瀬検車区へ搬入後は和光検車区を基点に試験が行われたものの、東上線への入線は行われていません。

このことからも、定期運用での乗り入れは副都心線の和光市駅までとなることが確実で、ダイヤ乱れ時には東急5050系4000番台と同様に有楽町線運用に代走で入る程度に留まりそうです。

東武東上線からの直通列車には東急車のみが担当することとなりますが、東武車自体も新横浜駅までの乗り入れは実現しそうです。この点は新横浜線への乗り入れが否定された西武鉄道とは対照的です。

また、2022年3月改正では副都心線のダイヤ改正が実施されており、これで設定された池袋駅発着の毎時2本分が相鉄直通に充てられるのではないか?という見方が有力です。

まだまだ全貌が明らかにされておらず、今後の発表が楽しみな系統です。

東横線〜相鉄線で使用される2形式

各社局の8両化工事は概ね完了

新設された3番線に入線する6300形2次車

これまで目黒線系統の各社局では、地上設備(線路や駅構内など)の8両化対応工事が各地で進められてきました。

ほとんどの設備が8両化を前提に建設をされていることもあり、工事の規模はそこまで大きなものとはなっていません。しかし、元々18m級4両編成が行き交っていた目蒲線由来の目黒線では、特に奥沢駅で大規模な工事が実施されています。

これまで対向式ホーム1面と島式ホーム1面の2面3線(3番線は目黒側からのみ入線可)と6両対応の留置線7線だったところを、対向式ホーム2面と通過線の構造に改められ、留置線は5線に減少する代わりに8両編成に対応させる大掛かりな工事となっています。

2022年3月11日の終電後(12日未明)に切り替え工事が実施され、計画通りの配線構造に改められました。12日のダイヤ改正では、朝ラッシュ時に1本のみ待避列車が設定されています。

切り替えから2週間が経過した29日時点では、ホームドアを中心に撤去作業が実施されています。

大規模工事では過渡期の姿が面白いですが、この奥沢駅についても駅舎からたどり着けないホームが残置される興味深い形態となっています。完全に更地にするのか、乗務員用の昇降台が新設されるのか、それとも東横線各駅のような非常用設備が用意されるのかは不明ですが、貴重な光景となりそうです。

ホームドアが除去され撮影が容易に

都営6300形1次車,2次車「最後の春」?

いわゆる“ミニスカ”の1次車・角張ったスカートの2次車が代替対象とみられるが……

今回の一連の直通準備・増結の動きでは、相鉄・都営の2社局のみ既存車を編成単位で置き換える動きとなっています。

東京都交通局では新形式となる6500形を8両編成13本投入する計画で、このうち9編成が2021年度に落成しています。営業運転開始は2022年5月14日とされています。

以前より6500形の編成数は1,2次車6両編成13本と合致しており、同区分の置き換え用と考えることが出来る状態でした。

これまでの発表では、6500形投入後の既存車の処遇について明言を避けています。6500形と同数かつ経年車である1,2次車が代替対象であることが明らかなものの、代替された13編成が全て廃車解体となるのか、中間車を3次車に組み込んで8両化を先行させるのかが不明瞭な状態でした。

最近の動向では、東京メトロと共用されている白金高輪駅・白金台駅にて、3月12日のダイヤ改正以降の8両編成の列車が時刻表で掲載されています。

このなかでは、東京メトロ所属車両の一部運用のほか、東急電鉄と東京都交通局の全運用が「8両編成で運転される場合があります」とされています。全編成の8両化を公言している東急車はもちろんですが、都営車についても全て8両編成の可能性があることが注目されています。

6500形は営業運転開始後から東急新横浜線開業までの1年弱は全て共通運用とされるのか、何らかの方法で年度内に8両化が完遂するのかのいずれかが考えられる状態です。

以前より東京都交通局では大規模なリニューアル工事を施工せず、新造車で代替することが適当と判断されるケースが非常に多くなっています。車両工事を行うには手狭な用地面の制約が主な要因ですが、軌間などの違いから自局他路線との車両共通化が出来ず、工事期間中の予備車が工事完了後に余剰となることなどもこれを後押ししていることがうかがえます。

一方で、都営三田線に限っては志村車両検修場自体が全編成8両化を見越した設計とされており、用地自体は比較的余裕がありそうです。また、線路が繋がっている東急電鉄や東京メトロに“外注”することも比較的容易です。6300形は南北線・埼玉高速鉄道も深夜帯に回送された事例があり、6500形と同様に新木場CRへの入線も理論上は可能です。

編成組換の煩雑さや将来的な合理性を考えると、都営6500形の追加製造で6300形を淘汰する方が現実的ではあるものの、目黒線系統でも特に混雑緩和が急務な路線であることから、あわよくばの活用に期待を持ちたくもあります。

特に東急・相鉄直通線を巡っては各形式の乗り入れ可否について誤報も多く、車両の動向や装備の観察が重要となってきそうです。

2月には6500形の報道公開が実施されており、6300形の置き換えを目的としていることや、現時点では6300形の8両化は計画していないことが各社により報じられています。各報道の交通局担当者コメントについては、現時点で「(公式発表できる)6300形8両化の計画はない」……といったニュアンスと捉えることもでき、公営交通特有の事情を加味すると6500形追加投入にせよ6300形増結にせよ抽象的な言及に留まることは不思議ではありません。

もし6300形に8両化の動きがあれば志村車両検修場内でそれに向けた準備が近々始まるでしょうし、そうでない場合にも編成単位での廃車に向けた準備が行われることとなりそうです。年度初めとなる今後に具体的な発表があるのか、それとも車両の動きが先行するのかも不明で、ファンにとってはしばらく気を揉むこととなります。

いずれにしても先頭車は廃車が確実視される状態で、1,2,3次車それぞれでスカート(排障器)が異なり印象が異なるうち1,2次車の前面形状は見られなくなることは決定的な状態です。2022年度末までとされている6500形の投入ペースを考えても、1年以内に代替が完了することが予想されます。

1,2次車が中間車も含めて置き換えられる場合は、目黒線系統で見られたボックスシート区画が消滅することにもなります(東京メトロ9000系は修繕工事でロングシート化済み)ので、乗車・撮影ともに後悔が残らないようにしたいところです。

桜バックに走る“ミニスカ”

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