3編成あった209系訓練車(訓練機械)のうち、最後まで機器更新が施工されていなかったJR東日本八王子支社の2両編成が郡山総合車両センターに入場しました。
八高線用カワ62編成が訓練機械に改造されてからの一連の動きとしては最後の入場となります。
これまでの動きをまとめつつ、新たな配置となる長野支社の動きを考察していきます。
訓練機械の機器更新の動き
今回の一連の動きとして注目を集めた点として、所属支社を跨いだ複雑な機器更新が挙げられます。
これは機器更新に時間がかかるため、乗務員養成に支障がないように練られた計画であるものと推測される一方で、1編成増編成となっている点が疑問となっていました。
そのようななかで、最後の郡山入場となった八王子支社の訓練機械では、方向幕部分に「新秋津〜郡山〜長野 ありがとう!お疲れ様でした。」「長野での活躍に期待します」という気になる記述がされています。
郡山や長野で解体となるわけでもないようですから、余剰となってしまう最後の1編成である八王子支社所有分についても、機器更新を施工した上で長野支社に訓練機械を新たに配置するものと思われます。
この置き換え対象が、東大宮訓練センターに転属(書類上は廃車)されたクモユニ143なのか、それとも115系訓練車であるN15編成なのかは定かではないものの、211系長野色に類似した装いの訓練車が登場するとみて間違いがなさそうです。
各編成の動き一覧
編成 | 種車 | 改造後 配置 | 出場甲種 | 入場甲種 | 機器更新後 配置 | 出場甲種 |
カワ62 | モハ209,208 -3002 | = | = | (配給)2018年 8月28日 | 東大宮 | 2018年 12月25-26日 |
ウラ37 | モハ209,208 -76 | 東大宮 | 2008年 3月27日 | 2018年 12月27日 | 新秋津 | 2019年 4月3日 |
ウラ19 | モハ209,208 -40 | 新秋津 | 2008年 10月6日 | 2019年 4月4日 | 長野? | ? |
ウラ19 | モハ209,208 -39 | 久里浜 | 2008年 7月3-4日 | 2018年 11月5日 | 久里浜 | 2019年 3月29日 |
各編成の動き図解
表でまとめてもまだややこしいので、図も作成してみました。
なぜ長野の訓練車は今置き換えに?
大宮支社=東大宮、横浜支社=久里浜、八王子支社=新秋津の訓練機械置き換えの動きが2008年に行われたにもかかわらず、長野支社の訓練車は車籍を有している115系N15編成です。
10年以上そのままとなっていた要因としては、長野支社管内の使用車両が関係しているものと推測されます。
2008年時点では、長野支社管内の乗務員区所(長野総合運輸区・松本運輸区)の担当列車は115系がほとんどで、乗り入れで313系、新人さんが当たらないであろう特急列車でやっとE257系などのワンハンドル車両が出てきます。
このため、当時では訓練に最適な車両はツーハンドルかつ営業車と同様の115系だったため、置き換えは見送られたものと思われます。
このタイミングで置き換えとなった要因は、やはり車籍を保有していることが維持経費の問題で不適当であることが挙げられるでしょう。
N15編成は訓練車になってから、昔の訓練車のように本線での乗務員訓練をたくさんしているわけでもない他、検査も長野総合車両センター構内で出来るため、車籍を保有しているメリットはほとんどなかったはずです。
しかしながら、現在も長野支社管内の主力は相変わらずツーハンドルの211系であり、209系のワンハンドル車両での訓練は少々疑問に感じます。
一方で、組合報により、211系の置き換えは上野東京ライン・湘南新宿ライン系統で活躍しているE231系近郊型によって行われる計画があることがほぼ確実となっています。
209系訓練機械への置き換えは、今後のE231系投入に向けて訓練車の更新をしたいという長野支社の思惑もありそうです。
E235系近郊タイプの投入は、横須賀線で2020年度、正式には未発表の上野東京ライン・湘南新宿ライン系統(東海道線・高崎線・宇都宮線)ではそれ以降となるでしょう。
訓練機械の投入は2019年(令和元年)夏ごろには実施されるものと思われるため、数年間はワンハンドルで養成を受けても乗務車両はツーハンドルという逆転現象が起きそうです。
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