東京メトロでは、有楽町線・副都心線で活躍してきた7000系21編成について、新型17000系への置き換えを進めています。
10両編成6本に続き、8両編成15編成の製造が行われていますが、営業運転は依然として10両編成のみとなっています。
置き換え進む7000系
東京メトロ7000系は、有楽町線開業からしばらく製造が続いた車両です。
2008年6月に開業した副都心線開業に前後して、ATO(自動列車運転装置)の設置・将来の東横線直通を見据えてワンハンドル形のマスコンハンドルへ交換・修繕時期と重なった後期の編成では走行機器やドアの交換などを含む修繕工事が施されました。
副都心線では開業時より東横線に合わせて8両編成を15本用意することとなりましたが、これらは修繕対象とされた後期の7000系を中心に行われることとなりました。
10両編成のままの車両は継続使用が6本とされたほか、それ以外の編成は編成丸ごと10000系の新製投入で除籍されています。
これ以降は布陣の変化はなく東横線直通運転を迎えていました。
経年による代替車両として開発・製造が進められている17000系も7000系と同数の製造とされており、このうち10両編成が1次車として2020年1月から順次落成し、2021年2月より営業運転が始まりました。ラストナンバーの17106Fでは台車試験があったため、全編成が営業車両として出揃ったのは同年夏となりました。
2021年4月からは8両編成の落成が続いています。
山口生まれと大阪生まれの17000系
10両編成は日立製作所笠戸事業所(山口県・山陽本線下松駅付近)・8両編成は近畿車輛徳庵工場(大阪府・学研都市線徳庵駅付近)が製造を行なってきました。
10両編成は山口生まれ・8両編成は大阪生まれとなっています。
製造両数が多い事業者は同一形式を複数のメーカーに発注をする場合がありますが、近年では製造数が多い時に発注していたJR東日本は特急車以外を自社で賄っていること・京急電鉄1000形が1890番台となり分散発注が行われない可能性が高いことなどから、東京メトロの特徴的なものとなりつつあります。
このほかに現在進行中の製造車両では、丸ノ内線の2000系は日本車輌製造(静岡県・飯田線豊川駅付近)、半蔵門線の18000系は日立製作所・南北線9000系増結用中間車は川崎車両(元:川崎重工業兵庫工場・和田岬線兵庫駅付近)とさまざまな場所で製造されています。
仕様変化が大規模で試験が続く
今回の甲種輸送を以って15編成中7編成と順調に増備が進められていますが、依然として8両編成の営業運転は行われていません。
末尾が80番台となっている8両編成では、より省エネルギーの設計として主制御装置や電動機などの走行機器類の構成が大きく変更されています。
そのため、基本的な性能試験・誘導障害試験などが改めて実施されており、10両編成の際と同様に乗り入れ先でも順次行う必要があるため時間を要しています。
また、先述の17106Fでの台車試験がこの夏まで行われていたことで、納車後すぐに各社で……とならなかったことも追加要素となっていそうです。
車両の仕様についてはトップナンバーの17081Fが登場した際により詳しい記事を作成したので、併せてご覧いただけますと幸いです。
デビューまでは安泰?7000系10両・10000系8両
既に17000系1次車=10両編成は製造予定数として発表されていた6編成が営業運転に使用されていますが、依然として7000系10両編成のトップナンバーである7101Fが営業運転に使用されています。
これにより10両編成に余裕を作り、10000系1次車が8両編成で営業運転をすることで、7000系8両編成の廃車が先行して進められている格好です。
東京メトロの8両編成運用は副都心線開業当時と比較すると少し減少しており、7000系10両編成・10000系8編成ともに17000系2次車デビューまでの一時的な措置であることが伺えます。
過渡期ならではの姿で、この一連の動きが済めばどちらも見納めとなることが予想されます。
17000系8両編成の各種試験も既に自社・西武・東武で完了し、残された東急でも始まりました。
17000系の運用拡大を楽しみにしつつ、在来2形式の活躍も今のうちに楽しんでおきたいところです。
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