【最終発送】ダイヤ改正で世代交代?JR東日本“チキ工臨”首都圏での運行終了へ

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JR東日本では、“工事用臨時列車”と通称される管内のレール輸送用列車を機関車+貨車の編成で運行してきました。

以前より輸送の効率化のためキヤE195系気動車の投入準備が進められてきましたが、2021年3月5日夜発の“我孫子工臨”が越中島レールセンターからの最後の発送となりました。

ダイヤ改正前後にデビュー?レール輸送の世代交代

写真:中央本線を走るロングレール工臨(返空)

JR東日本では、国鉄分割民営化から現在まで、管内各地のレール・バラスト(砕石)交換などのため“工事用臨時列車”を運行してきました。

国鉄から継承したレール輸送用チキ5500形・6000形貨車や、バラスト輸送用ホキ800形貨車などを使用しており、これらの牽引はJR東日本所有の電気機関車・ディーゼル機関車により運行されていました。

このうちレール輸送については、関東・甲信越では東京の越中島レールセンター・東北では利府の仙台レールセンターから拠点駅へ。その後作業現場へ終電後に輸送されるのが一般的でした。

近年になり、機関車・貨車ともに国鉄時代に製造された車両となっており、老朽化の課題がありました。機関車牽引列車という特性から運行コストが高くなっていたことなどもネックとなっていました。

写真:2020年度に急ピッチで増備されたE195系事業用気動車

これらの背景から、JR東日本ではこれらの列車を代替するためのプロジェクトを小牛田運輸区内でスタートさせました。

2017年9月5日には「東北地区へのレール輸送用新型気動車の投入について」と題されたプレスリリース(PDF)により計画の詳細が明らかにされ、ロングレール輸送用のLT-1編成11両・定尺(25m)レール輸送用のST-1編成2両の計13両が先行量産車として試験を開始しました。

JR東海が2008年に導入したキヤ97形に耐寒・耐雪対応や保安装置の変更などをした車両で、外観は瓜二つとなっていました。JR東海の子会社となった日本車輌製造で製造されている点もこの形式の特徴です。

他社で実績がある車両を採用したものの、試験は順調には進まずに複数回故障が発生。置き換えるはずの機関車に救援されることもありました。

苦難を乗り越えて2020年4月より量産車が登場し、スカート(排障器)などの形状が変更されています。最終的に110両体制とされる計画で、ロングレール輸送用1編成を残すのみとなっています。

通常の新型車両導入では操縦に慣れるための乗務員訓練が実施されますが、この車両ではそれ以外にも制約がありました。

昨今JR東日本が導入をしてきたハイブリッド車両・電気式気動車などは電車と気動車双方の性質があるため、どちらかの免許+必要な教育で可能とされています。しかし、ベースとなったキヤ97形が純粋な気動車だったため、キヤE195系の運行開始にあたって首都圏では内燃免許取得が必要となりました。そのため、首都圏各地で新たに免許取得……という動きも生じています。

東北圏では非電化区間が多く、免許の制約は少なく済んでいます。

既に東北エリアでは定尺レール輸送はキヤE195系に転換されており、今回の動きでは関東甲信越エリアの定尺レール輸送・ロングレール輸送が置き換えられるものと思われます。

時系列としてはちょうど2021年3月13日のダイヤ改正に迫っています。機関車とディーゼルカーの性能や運転体制の違いから、改正とともに新しいダイヤにより運行を開始することとなりそうです。

昔は全然撮られなかった?裏方の知名度向上

筆者の体感ベースとはなりますが、かつてファンにとって一番人気だったのはブルートレインを中心とした客車列車でした。

写真:ファンを盛り上げた東海道・山陽本線を走る「富士・はやぶさ号」代走牽引

旅客会社の機関車の花形業務はヘッドマークを掲げたブルートレイン・客車ジョイフルトレインの仕業です。

機関車牽引列車が好きなコアなファン層がJR貨物の個性的な“ネタ釜”や、JR東日本・西日本を中心に運行される旅客車両を運ぶ配給輸送を記録していたものの、どちらもそこまで趣味人口は多くありませんでした。電車用の密着式連結器に対応した通称“死神”もマイナーな存在で、機関車のファンからは原形から離れた姿に忌み嫌われていたくらいです。

それ以上にマイナーな存在だった工臨をメインで追っかけるファンはあまり見られませんでした。鉄道のファン層の多くが「工臨って何?」「貨物列車と何が違うの?」程度の認知度だったように思います。

写真:EF64,EF65,EF81と牽引機の違いもあって人気が高かった新津工臨

しかし、近年では、ブルートレインが廃止されて旅客会社の電気機関車・ディーゼル機関車の活躍の場が大幅に減少しており、徐々に注目度・知名度が上がってきた印象です。

2008年にJR東海が初めてレール輸送用気動車キヤ97形を開発・導入したことも話題となりました。

また、SNSの普及で列車の目撃情報などを容易に推測出来るようになったこと(業務用列車なのでダイヤは非公開)や、カメラのデジタル化・性能向上(夜間帯ゆえに綺麗に撮影することが難しかった)などの背景も加わり、年々撮影する人口が増えてきたものと思われます。

さらに過去記事でお伝えしているように、かつてはレール輸送・バラスト(砕石)輸送は全国各地で見られたものの、トラック輸送への代替などで徐々に減少する傾向がありました。

列車の特性から多くが夜間〜早朝に運行されていたこともあり、これらの時代の変化により比較的撮影が容易な日中走行の列車が多くのファンで賑わうようになりました。

各地の“最後の日”

写真:2021年2月の東海道・伊東線”来宮工臨”最終発送

最終日の我孫子工臨では貨車の荷票に「チキ車最終便」と記されていたものの、それ以外は最後と断定出来る要素がなく、各方面の“最終列車”については地元のファンと工臨をメインに記録するファンのみが見送る、比較的静かなフィナーレとなりました。

晩年こそ趣味人口が増えたとはいえ、基本的な輸送体系は変わらずとなっていました。そのため、通い慣れたファンが思い思いのカットを記録……といった印象です。

記念写真を撮る関係者の方々(肖像権保護のため画質を落としています)

作業にあたっていた皆様が業務用タブレット端末で撮影をされていたことが“最後”を感じさせられて印象的でした。自分の担当路線での“最後の列車”は関係部署の皆様にとっては大きな節目と言えそうです。

記事公開日(6日)には品川工臨の返空が行われています。残された方面についても、発送されたままの貨車がダイヤ改正までに戻されて運行を終えることとなり、貨車は廃車の時を待つこととなりそうです。

機関車自体はまだ見られるものの……

3月3日から4日にかけて、田端運転所のEF65 1115号機が全般検査を終えて出場配給が実施されたように、当面は電気機関車・ディーゼル機関車の配置はゼロになることはなさそうです。

ただし、レール輸送の終了により一部のEF81形が廃車される予定であることが組合資料にも記述されており、チキ車の廃車回送と前後して機関車の配置数自体は減少するものと考えて差し支えなさそうです。

今年に入ってレール輸送以外の用途を担うGV-E197系・E493系事業用車の先行量産車が登場しており、彼らの各種試験と量産が済めばJR東海のように機関車全廃となる可能性があります。

ただし、JR東日本の場合は蒸気機関車を保有している兼ね合いもあるので、最終的な体制が全廃となるのかは不明瞭です。

2021年は機関車牽引列車のファンにとって大きな節目の年となりそうです。

“工事用臨時列車”という呼称はファン用語に近く、内部書類では「臨時工事列車」と記載される事例が多いようです。「工事列車」という名称は、JR西日本管内一部駅(岡山駅などが有名)の行先案内表示器で見ることが可能です。本記事・過去記事では便宜的にファン愛称の方で記しています。

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