【スーパークモヤ】JR東日本 事業用電車 E493系が落成・甲種輸送

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機関車牽引列車淘汰のため、JR東日本ではGV-E197系とともに回送列車牽引用車両のE493系電車の製造を明らかにしていました。

2021年2月8日未明に新潟トランシスを出場、陸路にて藤寄駅まで輸送されたのち、翌9日より甲種輸送(貨物列車としての輸送)が実施されています。

“スーパークモヤ”の登場まで

JR東日本では機関車列車代替のため、工事用臨時列車・配給輸送用牽引車の代替を検討していることが労働組合資料から読み取れる動きとなっていました。

運行本数が多いレール輸送用には、JR東海のキヤ97形をベースにキヤE195系が110両投入されることとなり、既に大半が落成・東北エリアで定尺(25m)レールの輸送が始まっています。

バラスト(砕石)輸送は多くの路線がトラックでの輸送に転換されていますが、依然として現行の工臨体制となっている線区も残っていました。

そして、JR東日本が最近特に運行頻度が多い列車として、配給輸送がありました。

これは、新造・改造・廃車などのために管内の遠方に輸送する際、機関車牽引により実施している回送列車に近い列車です。

JR東日本管内の各路線には非電化・直流電化・交流電化の違いのほか、保安装置の違い、山岳路線や狭小トンネルなど、様々な課題が点在しています。

全ての車両を全ての路線に対応させることは現実的ではないほか、元々広大な土地を必要とする拠点の基地を全て集約することも費用・雇用の課題が拭えません。

昨今の新幹線延伸・ブルートレインの運転終了などで必要な拠点・要員数の変動を背景に、新たに青森に改造を専門とするJR東日本テクノロジー青森改造センターを開設しています。

拠点となる“総合車両センター”の再編を進めることとなっていますが、今後も継続して必要となる牽引車の代替が模索されることは自然な流れと言えそうです。

まずは高出力の電気式気動車2両でバラスト輸送用の中間車4両を挟むGV-E197系が2021年1月に新潟トランシスから姿を現しました(過去記事)。

これと同時にプレスリリースが出されており、類似の外観で牽引輸送用のE493系事業用電車の投入をすることが明らかにされました(プレスリリース)。

そして、2021年2月8日未明に新潟トランシスから藤寄へ陸送(陸路でのトレーラー輸送)で姿を現し、翌9日より甲種輸送(貨物列車としての輸送)が始まりました。

落成したE493系を見る

今回落成したのは、E493系のクモヤE493-1・クモハE492-1の2両です。

全体のイメージは先に登場したGV-E197系そっくりです。JR東日本の電車と気動車が同一設計で製造された事例は検測車のE491系・キハE193系同様です。

気動車・客車・新交通などの小ロット車両を多く手掛ける新潟トランシスですが、電車の製造は北越急行の事例程度で珍しいものです。

JR東日本ではすっかりお馴染みとなった双頭連結器が装備されています。プレスリリースのイメージ画像にはなかったものですが、この違いはGV-E197系同様です。

車両の使途を考えても自然でしょう。

今回製造されたE493系ですが、交直流機器を装備しつつも中央線などの狭小トンネル対応を示す◆印が付けられています。

なんとなくのっぺりした印象の両形式ですが、車体高を抑えて交直流機器搭載と狭小トンネル通過の両立をすることが狙いであるなら納得のいくところです。

やはり目を惹くのは大量に並んだ碍子でしょうか。

交直流電車であることを強く印象づけられます。引き通しを目的としているのかは不明ですが、ズラッと並んだ姿は厳つい印象です。

上:GV-E197系 下:E493系

GV-E197系と瓜二つの外観ですが、側面の機器配置は意外にも違いも見られます。完全にボディはそのまま……ではありません。

用途の違い・搭載機器の違いを考えれば、基本設計と部品単で共通化していればさほど問題ないのでしょうか。

このほか、床下の塗装はGV-E197系はGV-E400系同様にライトグレー・E493系は首都圏の各形式同様にダークグレーとなっています。

そして、E493系はプレスリリースでも記されていたように、2両1編成の構成です。

機器類の構成は両号車で異なる点もあるものの、基本的には1両単位で完結するような印象を受けます。

将来的にはGV-E197系のような短編成牽引用の両運転台車も考慮しているのかもしれませんね。

所属区を掠めて郡山へ

今回の甲種輸送で興味深い点として、車体表記にもあるように「東オク」=東京支社 尾久車両センターへの配置となるものの、甲種輸送では首都圏を経由して郡山が最終目的地となっている点が挙げられます。

先に製造されたGV-E197系では、高崎車両センター(高崎支所)が配置先となっていながら、甲種輸送は新津までとなりました。

新津運輸区にて各種整備を行ったのち、新潟エリアで公式試運転(メーカー職員添乗の上での確認)が実施されました。その後、現在は自走にて上越国境を越えて高崎車両センター高崎支所へ回送されています。

あくまで推測の域を出ませんが、GV-E197系が電気式気動車のノウハウがあった新津で試験をしてから所属区へ回送されたように、特異な設備も多い交直流電車に長けた郡山総合車両センター近辺で実施する運びとなったのかもしれません。

JR東日本の新造車両が所属区ではない場所に甲種輸送される事例自体は過去にもありましたが、今回の一連の動きは両形式が特殊用途ゆえの対応とも言えそうです。

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本記事掲載写真のうち、2月8日の様子については愛車は日立@出張中さま(@chalk2_soya)より許可を頂いて掲載しています。

特記ないものは筆者・撮影補佐スタッフ撮影です。

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