
ブルートレインから貨物列車まで、北海道から九州まで。全国の非電化路線で幅広く活躍していたDD51。
先日、JR貨物からの引退が明らかになり、ファンからの注目が集まっています。
一方で、旅客会社5社に継承されたDD51形についても様々な動きが出てきました。
旅客会社に継承されたDD51
JR全体に視野を広げてみても、DD51形は四国以外の旅客会社5社に継承されたものの、既に3社は全廃しています。
JR九州〜最後の普通客車列車で注目を集めるも……
JR九州に継承されたDD51形で有名な列車としては、やはりDD51形牽引の定期客車列車が最後まで残存した筑豊本線の普通列車が有名でしょうか。
垂れ流し式の50系の代わりにトイレタンク付きの12系を連結したため、50系客車5両に12系が1両という独特の形態でしたが、2001年10月に見納めになりました。
彼らを置き換えたディーゼルカーを蓄電池搭載のBEC819系が置き換えている現在、20年での車両の進化に驚かされますね。
その後も細々と残存していましたが、定期検査周期が1周する2005年に全機除籍、DD51形の淘汰は旅客会社で最初となっています。
現在ではクルーズトレイン”ななつ星 in 九州”で大盛況のJR九州。
もし今も生き延びていたら、DE10形のような黒色塗装を施されてななつ星の予備機・プッシュプル区間の牽引機として大活躍しているのでしょうか。
非力なDE10形が重連を組んで九州地区を走っている姿を見ると、ED76形やDD51形が生き残っていたら……と思うと残念ですね。
JR東海〜ユーロカラーで各種イベントで活躍
JR東海の黎明期は、現在では考えられないほどの客車列車が存在していました。
東海道本線のブルートレインはもちろんですが、国鉄から継承したユーロライナーなど”ユーロ色”を纏った車両たちが多数活躍しており、DD51形も国鉄色・ユーロ色の2色で非電化路線を盛り上げてくれました。
現在はディーゼルカーや373系で運行される各地の季節臨も彼らの独壇場でしたね。
客車列車一掃に向けて車両の淘汰が進み、DD51形はEF58形・EF64形の最期を見ることなく全車除籍となりました。
JR北海道〜北斗星で大活躍!引退後は海外へ
JR北海道のDD51形は、ブルートレインカラーをまとって寝台特急”北斗星”をはじめ、”トワイライトエクスプレス”や”カシオペア”、そして”エルム”といった本州対札幌アクセスの寝台特急での活躍で華々しい運用を持っていたことが特筆されますね。
2006年3月にJR西日本の”出雲”運用を終了してからは、ブルートレイン牽引の注目度は最高潮でした。
北海道新幹線運転開始とともにひっそりと運行終了をした彼らですが、タイやマレーシア、ミャンマーに譲渡されています。
単一形式で3カ国に譲渡された車両は他にも14系・24系がタイ・マレーシア・フィリピンに譲渡された例があります。
日本のブルートレインの歴史は途絶えてしまいましたが、異郷の地で姿を大きく変えて現在も活躍していることは誇らしいですね。
現在運用中の2社
JR東日本・JR西日本と、意外にも財力がありそうな2社が最後の活躍の場となっています。
両社とも直系の後継車両が出てこない為に長生きしている印象ですね。
JR西日本〜まさかの運用拡大!?
JR西日本では、トワイライトエクスプレスの運行終了を追いかける形でEF81形を運用離脱させており、その関係で従来は電気機関車牽引がほとんどだった北陸方面の機関車牽引列車の登板が続いています。
特に工事用臨時列車の運行頻度がそれなりにあり、高規格の湖西線をDD51形が疾走するシーンも注目を集めています。
但し、この体制も北陸新幹線敦賀駅延伸までの暫定的な対応となるでしょう。
現在は工臨列車が時折運転されている北陸本線ですが、第三セクター移管後の金沢以東の各地域の工臨列車が委託されることはありませんでした。
それ以外の山陰方面や紀州方面など、従来からDD51形の担当エリアでは引き続き運用が続いており、西日本各地域で頻度こそ少ないながらもその勇姿を拝むことができます。
サロンカーなにわがお召し列車用客車の用途がある関係もあるため、代替はしばらく考えにくい…と記したいところですが、JR西日本では除雪用に開発されたキヤ143形事業用気動車が客車牽引試運転を実施していますので、後継形式は既に登場していると捉えることも可能です。
最近ではSLやまぐち号の代走牽引などでも注目を集めるJR西日本のDD51形。
形式消滅までの猶予はJR西日本の采配にかかっていると言えそうです。
JR東日本〜長らくの4機体制にメス!
JR東日本では、長らく842,888,895,897の4機体制が維持されていました。
ほとんどは高崎地区での活躍で、他の地域ではDE10形の活躍となっています。
そして2019年に入って897号機・888号機の順で秋田総合車両センターへ配給輸送されています。
高崎の機関車たちはEF60 19号機の除籍をはじめ、動態保存の色合いが強い機関車も淘汰が一気に進んでいます。
ただし、このまま全廃と思われていたJR東日本ですが、最近になって田端〜高崎間で乗務員訓練の単機列車が連日設定されています。
以前は八高線で客車を挟んだプッシュプルの乗務員訓練を時折行っていましたが、こちらは都心部への乗り入れで注目されています。
形式消滅を目論んでいるならば他形式で乗務員訓練をすれば良いはずですので、残存2機に何らかの使命が与えられるのではないかと期待する声もありますね。
工臨のディーゼルカー化を既に明らかにしている一方で、未だに行われている黒磯方面の機関車ハンドル訓練やJR貨物の新鶴見機関区でEF66形の現車訓練をしている姿が目撃されるなど、同社の機関車牽引列車の動向は今後も注目ですね。
最後まで残存するのはどっち?
残された2社についても、JR東日本高崎車両センター所属の4機のうち888号機・897号機が既に運用を離脱している一方で、JR西日本では寝台特急”出雲”廃止以降も各所で残存している8機が健在と両社で対応が分かれています。
残存機の数・運用頻度を考えるとJR西日本が最後の活躍の場となると見て間違いなさそうですね。
しかし、2019年に入って突如乗務員訓練を始めたJR東日本の今後の展開も気になるところです。
登場時は蒸気機関車を置き換えて不人気だったDD51形。
絶滅寸前のいま、ファンからの注目度がますます上がっていますが、形式消滅はそう遠くなさそうです。
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