【12/21デビュー】横須賀・総武快速線新型E235系1000番台運用考察

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横須賀線・総武線快速電車では、E217系の代替のために山手線に続き新型E235系(1000代・以下は一般的な1000番台で記述)の投入準備が進められてきました。

このE235系1000番台のデビューは2020年12月21日(月)とされています。

落成からの軌跡をおさらいしつつ、デビューからしばらくの運用考察・今後の動向などについて考えます。

E235系1000番台の計画から登場まで

E235系は2015年に山手線の次世代車両として登場していましたが、2017年初めまでE231系近郊タイプ(東海道・高崎・宇都宮線)・通勤タイプ(常磐線快速電車)の機器更新施工時に中間付随車のみ見送られていたこと・当時の労組資料では205系・211系の代替としてE231系の転入計画について触れられていたことから、次の投入先は上野東京ライン・湘南新宿ライン系統という推測が有力視されていました。

しかしながら、先述の中間付随車については全車施工に変更(未施工編成は後年実施)されたほか、2018年9月にはE235系の次なる投入先が横須賀線・総武線快速電車への投入が正式発表されました。

この時点では翌年度から東海道・高崎・宇都宮線にも導入するという報道もありましたが、最近の報道では京浜東北線・横浜線にE235系を投入する計画が報道されています(関連記事)。

E217系の置き換えが優先された直接の理由こそ明らかにされていないものの、背景として気になる要素はいくつか挙げられます。

まず、労組資料にてE217系の経年劣化が深刻であることが指摘されていました。

房総半島・三浦半島と海岸線沿いを走行する機会が多く、潮風による劣化(いわゆる塩害)を推測する声もあります。利用者目線でも外板・内装共に痛みが大きい印象がありますが、E217系は2007年度から2011年度にかけて機器更新工事を施工しており、新保全体系が採用されている同世代=209系世代で機器更新を受けた上で廃車となった例は南武線の209系2200番台など少数に留まっています。

また、昨今の報道のように、中長期的に都心部でのワンマン運転を目指して京浜東北線・横浜線にE235系を新製投入することにも関連していることと推察できます。E231系の転用が計画から抜けた一方で、新たな転用車両となるE233系はまだ車齢が若く車体保全・機器更新時期に達していないことなどから、横須賀線・総武線快速の世代交代を前倒し……といった首都圏全体を巻き込んだ計画変更と考えると辻褄が合います。

このほか、因果関係は定かではないものの、昨今のホームドア対応などに関連して、将来的な編成組成の変更を考慮していることなども考慮していそうです。

E231系から基本設計を継承している普通列車グリーン車では、普通車に比べて0.5m車体長が長いほか、ドア位置も大きく異なります。

E235系1000番台では現状は使途がない付属編成久里浜側・基本編成千葉側にも電気連結器が設置されており、将来的な連結順序変更の可能性を考慮しているものとみて差し支えないでしょう。

ホームドア設置が進めば進むほど出費が嵩む(現状ならホームドア改修は新小岩駅・成田空港駅で済む)ことから、車両側の整備を先行する狙いもありそうです。

利用者目線でも、湘南新宿ラインと横須賀線・横須賀線と東海道線の乗り換えでグリーン車位置が異なる点が解消されることは大きなメリットです。113系時代から続けられてきたこの編成構成の相違問題に終止符が打たれる日も遠くないのかもしれません。

ただし、依然として長年編成構成を制約してきた逗子駅の構内配線問題などの課題に着手する動きはありませんので、これ自体は副次的なものでしょうか。

以上の背景はいずれも発表後に出てきた情報であり、発表当初は多くの予想と異なる展開に大きな注目を集めました。

E235系1000番台の試験は東海道貨物線を中心に実施

さて、JR東日本の新型車両の各種試験は営業路線以外で実施される事例が多く存在しており(背景はE235系1000番台の過去記事・中央線E233系0番台の過去記事 で紹介しています)、E235系1000番台の各種試験は2020年7月より東海道貨物線を中心に実施されていました。平日のほぼ毎日2往復する体制となっており、東海道線・横須賀線の利用者の方で見かけた方も多そうです。

E235系1000番台 東海道貨物線 性能確認試運転

試9831M 大船→貨物線経由→根府川

試9832M 根府川→貨物線経由→新鶴見信号場

試9833M 新鶴見信号場→貨物線経由→根府川

試9838M 根府川→貨物線経由→大船

7月は4両付属のJ-01編成・8月は11両基本のF-01編成に各種試験機器を搭載して実施されたほか、その後もF-01編成機器をそのままに横須賀線・総武快速線などを走行しています。

その後は営業運転エリア各地で試験・訓練が続けられてきたほか、鎌倉車両センターから各地への疎開回送・返却回送が毎週のように運行されていました。15両編成での初走行が試運転ではなく疎開回送となったことは意外なところです。

試験関係では、E235系1000番台では、他社では近年のトレンドとなっている非常時に低速で走行を可能とする蓄電池が搭載されており、これに関連した試験も実施されています。パンタグラフを上げずに複々線の本線を走る姿はなかなか貴重な光景となりました。使う機会が少ないに越したことはありませんが、備えあれば……ですので、セクション間停車など柔軟な活用に期待したいところですね。

なお、同機能は付属編成には搭載されていません。付属編成単独運用は横須賀線の末端部(逗子〜久里浜駅間)ピストン輸送で設定されていますが、あくまで少数。輸送密度を考えると基本編成のみの搭載となったことは妥当でしょうか。

E235系は当面固定運用で使用か

いよいよデビューが差し迫り、沿線利用者・ファンの期待が高まっています。

E235系1000番台については、デビュー時点=現在落成しているのは5ペア(11両基本・4両付属各5編成)体制となっていますが、2020年度内に8ペアの製造が明らかにされています。

2020年3月14日のダイヤ改正では、従来併結相手の入れ替わりが激しかったE217系の運用がある程度整理され、特に末尾01S〜15Sの8運用については終日併結相手が変わらない運用が組まれています(分割・併合があっても同じ相手に戻る)。

この運用数と報じられている運用数は概ね合致しているほか、運用順序でも冒頭に分離されているようにも読み取れることから、昨年度ダイヤを編成する時点でF-08編成+J-08編成までが運用入りすることを見越していたことと推察できます。

併結相手固定となるように専用運用が組まれた例としては、東海道線のE217系・E233系3000番台の事例が挙げられます。こちらの事例でも、相方の検査都合で単独運用に就くという例外が稀に発生していましたが、それ以外は基本的に固定運用で活躍していました。

E235系1000番台についても特別な事情がなければ併結ペア固定の01S〜15Sの運用で使用されるという見方が昨年度改正以来有力視されています。

トップナンバーの落成から現在まで末尾を揃えて動かしている姿は、上野東京ライン開業以前のE233系3000番台を彷彿とさせます。

E235系1000番台運用表(推測)

下記の運用は2021年春までにE235系1000番台が使用される可能性がある運用を抜粋しています。

このうち初日に使用されるものは編成数から一部に留まるほか、平日の動向を踏まえて後日土休日運用を掲載予定です。

01S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
大船7:25千葉8:56
千葉9:07大船10:38
大船16:51君津19:06
君津19:26東京20:55
東京21:00佐倉21:57

03S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
佐倉5:36久里浜8:01
久里浜8:15津田沼10:17
津田沼14:20横須賀16:12
横須賀16:42上総一ノ宮19:23
上総一ノ宮19:55久里浜22:51
久里浜23:11品川0:27

05S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
品川4:30久里浜5:48
久里浜6:05千葉8:15
千葉8:25東京9:07
東京9:24千葉10:04
千葉10:11東京11:58
東京12:22千葉14:07
千葉14:13東京14:58
東京15:06千葉15:45
千葉16:00久里浜18:12
久里浜18:30上総一ノ宮21:31

07S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
上総一ノ宮6:44大船9:08

09S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
定期回送大船逗子
逗子6:37東京7:39
東京7:46大船8:34

11S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
大船6:43横須賀7:12
横須賀7:19千葉9:18
千葉9:32久里浜11:36
久里浜11:44成田空港14:45
成田空港15:00逗子17:34
逗子17:43成田空港
+成東
20:20
20:20
成田空港
+成東
20:30
20:27
久里浜23:35

13S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
久里浜5:51君津8:44
君津8:58逗子11:30
逗子11:42成田空港14:19
成田空港14:35逗子17:04
逗子17:17千葉19:04
千葉19:08久里浜21:13
久里浜21:32佐倉23:57

15S運用

列車番号始発駅時刻終着駅時刻
佐倉6:40久里浜9:10
久里浜9:32君津12:31
君津12:50逗子15:26
逗子15:38成田空港18:10
成田空港18:30横須賀21:22
横須賀21:33大船21:58

初日・1番列車はどれ?

さて、やはりファンとして気になる点は1番列車はどれになるかという点が挙げられます。

昨今の社会情勢を考えると、出発式などの実施は考えにくく、2020年春のN700S系デビュー同様に1番列車がどこ駅何時発の列車かは明らかにされないものと推察できます。

しかしながら、先述のようにある程度の運用推測が可能な状態となっています。

現在の5ペア75両の留置先は以下の通りです。落成以来、幕張・田町・国府津への疎開・返却を頻繁に繰り返していました。

E235系1000番台の疎開・留置状況

F-01編成+J-01編成:鎌倉車両センター

F-02編成+J-02編成:鎌倉車両センター

F-03編成+J-03編成:幕張車両センター(疎開)

F-04編成+J-04編成:幕張車両センター(疎開)

F-05編成+J-05編成:東京総合車両センター品川派出(疎開)

一見すると、鎌倉車両センターでスタンバイしている2編成が大船駅始発運用でデビュー……とも捉えられますが、これが必ずしも正しいとは限りません

疎開と返却を繰り返した結果、番号順に疎開場所が揃えられている点は絶妙ですが、E217系にも千葉方面・都心部での夜間停泊は多数設定されており、一度に最大5ペア動かすことで一気に置き換えを進める動きも考えられます。

まず、夜間停泊の車両トレードとしては、品川駅4:30発の始発列車が考えられます。

あまり知られていませんが、横須賀線の下り始発列車は東海道線(上野東京ライン)ホームの9番線から運行されます。この時間帯は田町車両センターが現役だった以前より、臨時列車ホームと呼ばれていた7〜10番線から下り始発列車を運行する体制が現在まで残されています。

記事公開日現在ではE235系1000番台のF-05編成+J-05編成ペアが疎開目的で留置されており、この編成が夜間停泊車両=品川行き上り終電と差し替える格好で運用入りする可能性が挙げられます。

これについては非常に合理的で、この運用に就いた編成をそのまま東京総合車両センター田町派出への疎開留置を行うこととなります。

疎開を兼ねてデビュー前の車両を送り込んだ事例は2020年春のE257系2000番台の上り1番列車で使用する編成(NA-13)を国府津車両センターに置いておき、前日夕方に臨時回送で251系(RE-2)と入れ替わるように送り込んだ事例などが存在します。

今回同様に1日で複数編成の車両入れ替えを効率よく行うためには有用な方法で、予備交番と呼ばれる乗務員の使用を最小限に留めることが可能となります。

また、幕張車両センターに疎開留置している2ペア(F-03+J-03・F-04+J-04)を夜間停泊先である佐倉・上総一ノ宮に送り込み、同駅停泊の車両をそのまま幕張車両センターの疎開留置とするパターンも考えられます。

仮にこれらの疎開車両との入れ替えを実施した場合、運用順序の冒頭である01S,03S,05S,07Sが一度に置き換えられることとなり、営業運転初日から一部駅での実施が明らかにされている半自動ドア扱いの取り扱い・旅客案内等が明瞭です。

鎌倉車両センターは現在も“ニートレイン”状態の成田エクスプレス用E259系の置き場に困っている状態ですので、疎開・返却を伴う動きも最小限に抑えたいところかと思います。

筆者は以上の観点からこの4運用(独立している09S運用は不明)がE235系1000番台の固定運用となるのではないかと推測しています。多くの方は無難な大船出庫運用(01S,09S,11S)と推測しているのではないでしょうか。

更に運用を眺めていると、03S運用の津田沼で入れ替えるパターンも思い浮かびます。初日のみ03S佐倉→久里浜→津田沼と走らせたところでE217系からE235系……これも選択肢として考えられます。

山手線E235系0番台のように、デビュー初日は朝ラッシュに走らせない方針であれば、01S・03Sがそれぞれ日中入庫で差し替えという可能性も考えられます。JR東日本の通勤タイプの新型車両の1番列車はラッシュが終わった後の運用とされることが多い傾向です。

どういったスタートになるかは間もなく答え合わせが出来ますので、明日・明後日に実施されるであろうデビュー前後の動きにも注目したいところです。

JR東日本の世代交代考察 最近の記事

E235系1000番台の過去記事(執筆順)

コメント

  1. TK-MTR より:

    1つご指摘させて頂きたいのですが、京浜東北線・横浜線にE235系を投入する計画は、労働組合のうちの1団体(JR東日本輸送サービス労働組合(JTSU-E))がTwitterで発した情報なので、共同通信などのメディアから報道された内容ではないかと思います(関連した件で報道されたと言えるのは、「京浜東北線に新型車両を入れてワンマン運転をすることを検討している」ことのみなはずです)。
    更に会社・労組内部でどうなっているか分かりませんがこれ以降続報がなく、かつ9月にはJR東の21年3月期の赤字決算が約4180億円になる決算予想が立っているため、この計画の実現性は現時点ではまだ微妙だなと見てます(実際仙石線では早期置き換えを考えた方が良いぐらい故障が頻発しています・・・)。

  2. かっこー より:

    運用表にある
    04S運用の終着駅・始発駅について、
    千葉 10:11 東京 11:58 終着駅は東京ではなく逗子です。
    東京 12:22 千葉 14:07 始発駅は東京ではなく逗子です。
    以上、訂正をお願いします。

  3. イシロ より:

    東洋経済オンラインには「大船16時51分発君津行きが最初の列車となる。」と出ていますね。