【新型試験車】JR東・燃料電池ハイブリッド試験車FV-E991系製作へ

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JR東日本では、新型試験車両【FV-E991系】の製造・実証実験を行うと発表しました。

今回のポイントとなる「燃料電池ハイブリッド」の技術開発の経緯を振り返るとともに、今後の投入線区について考えます。

燃料電池試験車の歩み

JR東日本では、ハイブリッド車の試験車キヤE991形を改造したNEトレイン=E995系試験車を2006年~2008年に試験運行していましたが、その後の実用化にはならず、今度は蓄電池駆動車に改造したという経緯を持っています。

また、鉄道総研でも、2001年(平成13年)からJR西・223系の車体にJR東・E231系の足回りを装備したクヤR291形燃料電池試験車が登場していました。

今回のFV-E991系試験車は、先代の試験車たちに比べて大幅な性能向上が図られており、いよいよ本格的な実用化を目指した実証実験という格好でしょう。

なお、クヤR291形は、先日鉄道総研から搬出されて京王重機に搬入されており、何らかの改造が施工されるようです。

燃料電池試験車としての活躍はFV-E991系に託された格好です。

特に同世代の223系ベースの試験車U@techが最近廃車されていますので、223系ベースの彼らの今後にも注目が集まります。

実証実験は南武支線・鶴見線で実施

今回のFV-E991系は、烏山線にて営業運転を行っているEV-E301系と外観が酷似しているように、彼らの基本設計を踏襲しているものと推測されます。

同じく蓄電池搭載の新技術車両ということもあり、ベースに最適だったことでしょう。

今回のプレスリリースにおいて、実証実験の区間としては、南武支線・鶴見線の全線と、中原電車区がある南武線武蔵中原駅~尻手駅が挙げられています。

おそらく南武線内は南武支線用の205系同様、入出庫目的の可能性が高いですので、南武支線と鶴見線で実証実験をすると考えるのが自然でしょう。

なお、EV-E301系がベースのため、3ドア車両となっていますが、そもそも鶴見線では両数が不足するように、旅客を乗せての試験運行はあまり想定されていないか、もし行うとしても南武支線で行うものと思われます。

今後の営業路線への投入は?

今までの電気式気動車やハイブリッド気動車、蓄電池駆動車などは、すべて営業路線への投入を前提として、投入先の路線へ先行試作車として配置されています。

しかし、今回の車両はあくまで実証実験の範囲を出ないため、投入路線とは直接的な関係はないものと思われます。

南武支線・鶴見線はそもそも直流電化路線で、羽越本線のセクション通過のような特殊な事情もないことから、電車投入で十分な路線です。

わざわざ貨物列車運行が頻繁に行われている路線を非電化にするメリットも乏しいため、営業運転用の投入の可能性は限りなく低いでしょう(鶴見線の貨物列車が走行しない区間だけ非電化とする場合でも、EV-E301系のようなパンタグラフ給電可能な形式が妥当です)。

AC@trainが川越車両センターに配置されていたものの、実際に先行量産車が配置されたのは京葉車両センターだった関係に近いでしょう。

実証実験をするにあたって、日中の運行本数が少ないほか、深夜も走行試験が可能、JR東日本の各非電化路線と異なり車両センター・工場への入出場が容易など、様々な観点から選定されたものと思われます。

先述のように、試験車両はEV-E301系の設計をベースにしていることから、総合車両製作所での製造と思われますので、その工場の近場・同じ支社管内という都合など、なにかとちょうど良かったのでしょうか。

参考:今までの内燃車両置き換えの新技術車両投入線区(JR東)

キハE200形ハイブリッド気動車=小海線

HB-E200系ハイブリッド気動車=観光路線各地(キハE200形気動車と混結可能)

HB-E210系ハイブリッド気動車=仙石東北ライン

EV-E301系蓄電池駆動車=烏山線(直流・自社設計)

EV-E801系蓄電池駆動車=男鹿線(交流・JR九州設計流用)

GV-E400系電気式気動車=羽越本線・米坂線・磐越西線ほか

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※サムネイル画像;プレスリリースより引用

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