
2020年春の臨時列車が発表され、2020年3月改正の全貌が少しずつ明らかになっています。
昨年の同リリースでは、はまかいじ号がひっそりと引退していることが判明していますが、今年はマリンエクスプレス踊り子号がその姿を消すことになりそうです。
マリンエクスプレス踊り子号の登場から現在
「マリンエクスプレス踊り子号」は、成田空港アクセス特急「成田エクスプレス号」の2代目車両・E259系を使用して運転される踊り子号の臨時列車です。
2012年冬の運転開始以来ほぼ毎週末運行されるほか、河津桜や夏休みといった繁忙期には平日にも運行されています。
この列車の最大の特徴は、登場から現在まで成田エクスプレス専用車両のE259系を使用している点に尽きるでしょう。
運転開始当初はJR東日本の乗務員に赤色の専用制服を用意するなど、力を入れたスタートとなっていました。
特急料金についても、成田エクスプレス・スーパービュー踊り子号で採用されてきたA特急料金を採用しています。
余談ですが、2014年1月9日に1度だけスーパービュー踊り子7号・10号の代走をE259系で実施したことがあり、これについてもA特急料金車両ということで差額返金はありませんでした。
座席定員が大きく異なるためか、E259系がスーパービュー踊り子号の代走をした事例はこれが唯一で、それ以外の代走は全て185系により実施されています(B指定料金との差額返金)。
今回、春の臨時列車発表にて、マリンエクスプレス踊り子号がゴールデンウィークを含めてダイヤ改正以降の設定なしと判明しています。
E261系・E257系に代替されるという主要因のほか、251系スーパービュー踊り子号というA特急が廃止となることも背景にありそうですね。
近畿車両から甲種輸送されるE259系。近畿車両製のJR東特急車、最近は登場していません。
意外と定着したマリンエクスプレス踊り子号ですが、運転背景としては余剰車両の活用があります。
先代の253系時代には3両編成と6両編成を組み合わせた柔軟な輸送体系をとっていましたが、E259系では運用の合理化を重視して全編成が6両編成で登場しました。
このほか、成田空港の滑走路増加による利用者増への期待、更には京成電鉄が成田スカイアクセス線を開業させることでスカイライナーの大幅な時間短縮を実現するため、競争力強化……といった狙いがありました。
残念ながら空港アクセス争いでは圧倒的な速達性を誇った京成電鉄に軍配が上がり、成田エクスプレスは新型車両への置き換え早々に負け戦を続ける形となります。
2010年7月に全編成の投入が完了して、区間廃止・減車が2012年3月改正に実施されています。
臨時列車の設定には半年程度検討期間があることを考えると、余剰が生まれてから計画された列車とみて差し支えがないでしょう。
これにより、185系の臨時運用を1運用代替しています。
なお、踊り子号系統では黎明期の183系と、長年の間は185系と251系が定期列車で、臨時列車では他にも14系客車や伊豆急行の2100系“リゾート21”と様々な車両が活躍してきましたが、イマドキのVVVFインバータ制御車両は現在までE259系が唯一の存在となっていました。
ダイヤ改正以降は当たり前の光景となりますが、伊東駅以南=伊豆急行線を走行する唯一のVVVFインバータ制御車両でした(伊東線内はE231系・E233系による定期普通列車が存在)。
伊豆方面に新しい風を吹かせたE259系も、短命に終わってしまう形になりそうです。
ダイヤ自体はサフィール臨時便に継承
今回、マリンエクスプレス踊り子号の運転終了が限りなく濃厚になっていますが、同列車の走り抜いたダイヤは、新たなる看板特急“サフィール踊り子”に継承されています。
臨時便として発表されている下りサフィール踊り子3,5号はマリンエクスプレス踊り子79号の、上りサフィール踊り子4号がマリンエクスプレス踊り子76号のダイヤをほぼそのまま使用しています。
サフィール踊り子号は、全車両グリーン車構成という特殊性から、輸送力は決して高くありません。
ピークの「良い時間帯」に運行してしまうと、ただ単にその時間の特急を使いたいだけのユーザーの機会損失になってしまいますので、臨時便は需要の高い時間帯に設定しないのが妥当です。
このことから、同様に6両編成で十分な時間帯に設定されていた、マリンエクスプレス踊り子号のスジが最適だったものと推測ができます。
また、平日にも運転可能なスジだったことも大きいでしょう。
マリンエクスプレス踊り子号も、河津桜まつり期間や夏休みといったハイシーズンに毎日運行がされており、この使い勝手の良いスジを生かしたものと思われます。
以上を総合すると、新型E261系2編成の置き換え対象は251系2運用……と記すより、251系定期1運用・E259系臨時1運用と捉えた方が的確でしょうか。
ビジネスライクなE259系の代替が、新型の豪華観光特急というのもなかなか珍しい代替ですね。
余談ですが、E257系2000番台の伊豆急行線試運転でもこのスジを活用して運転されており、今後遠くない内に実施されるであろうE261系の伊豆急行線試運転についても、同様の体系が採られる可能性が高そうです。
E259系から臨時運用が一旦消滅
マリンエクスプレス踊り子号という活路を見出して以降も持て余し気味だったE259系は、この列車の設定後に様々な模索を行ってきました。
E259系を使用した臨時列車としては、定期成田エクスプレス号の横須賀駅への延長運転、河口湖駅への延長運転などが存在していました。
特に好評だった後者は、富士回遊号の登場で置き換えられたように、今回もサフィール踊り子号の臨時便にそのダイヤを譲る形で設定終了となっているようです。
今回の2020年3月以降、当面の間はE259系を使用した臨時列車の設定がなくなる形となります。
E259系の運用数の変化はまだ正確な数字を確認していませんが、東京駅〜成田空港駅の増結などの変化により、余剰車両を持っていたことで運用増にも対応できた……という色合いもありそうです。
成田エクスプレスのオリンピック時期の運転体制も注目したいところです。
空港の利用者数の変化に大きく左右されるという空港アクセスの難しさもありますが、E259系のデビュー以来持て余し気味だった成田エクスプレス号。
やっと理想的な運行本数となったとも思いますが、オリンピック終了後はどうなるのかはまだまだ未知数でしょう。
JR東日本が新造特急を導入する路線への車両投入が一巡しており、車両故障も多い大宮総合車両センター東大宮センターの253系1000番台や651系1000番台を新造車両で置き換えるのか、成田エクスプレス号に新造車両を投入することで玉突き転用するのかは気になるところです。
羽田空港アクセス線も話題となっていますが、今後の成田空港の需要変動などを含め、今後のE259系の動きにも注目したいですね。
最後の設定と思われる2020年春の臨時列車ダイヤ
251系・E259系にとって最後の活躍となる2020年春ですが、河津桜まつり関連で多数の臨時便が設定されています。
乗り納め・撮りおさめを狙うファンにとっては嬉しい設定ですので、来年度までは活躍が見られる185系共々、悔いの残らぬよう記録しておきたいところですね。
2月12日〜3/6まで平日運転
列車名 | 列車番号 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
回送 | 回9876M | 大船 | 10:30 | 東京 | 11:11 |
マリンエクスプレス 踊り子77号 | 9077M | 東京 | 11:30 | 伊豆急下田 | 14:22 |
マリンエクスプレス 踊り子76号 | 9076M | 伊豆急下田 | 16:31 | 東京 | 19:20 |
回送 | 回9877M | 東京 | 19:38 | 大船 | 20:23 |
2/11〜3/8まで土休日運転(3/7,8は下りのみ営業?誤植?)
列車名 | 列車番号 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
回送 | 回9878M | 大船 | 11:20 | 東京 | 12:13 |
マリンエクスプレス 踊り子79号 | 9079M | 東京 | 12:30 | 伊豆急下田 | 15:35 |
マリンエクスプレス 踊り子76号 | 9076M | 伊豆急下田 | 16:31 | 東京 | 19:20 |
回送 | 回9877M | 東京 | 19:38 | 大船 | 20:23 |
他にもE259系の珍運用が消滅か
現在、横浜駅止まりの成田エクスプレス号が大船駅まで延長されることにより、午後の一部下り列車で実施されている東海道線ホーム(6番線)への入線・定期回送も見られなくなる可能性が高そうです。
これにより、定期・臨時列車ともども、東海道線側を走行するダイヤが消滅となるとみて間違いないでしょう。
その後の定期回送は東海道線をそのまま南下、上り踊り子号・スーパービュー踊り子号とそれぞれ横浜駅南方〜相鉄西横浜駅付近で離合するダイヤとなっています。
踊り子108号・スーパービュー踊り子8号を撮影される際には、この離合を記録してみるのも面白いかもしれませんね。
横浜駅で東海道線ホームに入線する成田エクスプレス時刻表
列車名 | 列車番号 | 成田空港発 | 横浜駅着 | 番線 |
成田エクスプレス 26号 | 2026M | 13:45 | 15:16 | ⑥ |
成田エクスプレス 30号 | 2030M | 14:44 | 16:16 | ⑥ |
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今回のお写真は、フォロワーのずら鉄さま(@katsutaE491)から許可を頂いて掲載しています。
鍵アカウントとなっていますので、お名前だけ紹介させていただきます。
コメント
記事お疲れ様です。
記事にも書かれていた車両置き換えの件ですが、私は253系1000番代は新車置き換えと予想します。
東武特急については下今市で分割できたほうが利用者にとって便利だし、それ前提で考えると3両編成ということになりますが、3両の余剰車は今後中々出てこないので、その場合は新車になるでしょう。
逆に651系は、房総地方で使われているE257系500番代で置き換わるのではないかと。
新車投入のローテ的には次の新車は成田エクスプレスですが、置き換えられたE259系は房総特急として255系とE257系を置き換え、置き換えられたE257系が651系を置き換えると思います。