東武鉄道で幅広く活躍している10000系列ですが、ファンからの人気が熱い車両として、4編成8両という小所帯の10000系2両編成があります。
このうち、東上線を走行した経歴もある流浪の民、11201Fと11202Fの2編成がワンマン化と思われる改造が始まって注目を集めています。
東武鉄道の車両転用の動きが年度末に向けて急加速しています。
4編成の製造で止まった“2コテ”
東武10000系は、コルゲートが特徴的で2両4編成・6両9編成・8両2編成・10両4編成が存在します。
このほか、ビートプレス車体・ブラックフェイスで印象を大きく変えた10030型、10030型の空調装置改良車の10050番台、VVVFインバータ制御試作車の10080型を含めて10000系列と呼ぶのが一般的です。
2両・6両の編成は本線向けに、8両・10両の編成は東上線向けに製造されて活躍しています(東上線は8両6編成を製造したのち、4編成を10両化)。
1980年代の製造以来、長らくの間は製造目的の線区での活躍が続けられてきました。
参考:10000系列の形式別編成数
2両 | 4両 | 6両 | 8両 | 10両 | |
10000系 | 4 | なし | 9 | 2 | 4 |
10030型 | なし | 18 | 14 | なし | 2 |
10050番台 | 18 | 11 | 18 | なし | なし |
10080型 | なし | 1 | なし | なし | なし |
東上線への電撃転属をするも……
東上線では、副都心線開業のダイヤ改正となる2008年6月改正にあわせ、地上運用の全車両10両編化が実施されることとなりました。
これにあわせて、8000系の柔軟なつなぎ変えが行われたほか、10030型が4+4両編成で使用されていた分の補充として10050番台が4編成東上線に転入しています。
この組成変更でネックとなっていたのが、車両の細部が異なることから8両固定編成のままとされていた10000系・11801F,11802Fの2編成でした。
従来は配置がなかった2両固定編成の11201F,11202Fを転入させて賄うこととなったものの、増解結を日常的に行っている本線系統では密着連結器に改装済となっていました。
一方の東上線向け編成には、連結しての使用がないために自動連結器を維持していたほか、貫通幌も設置されていませんでした。
このため、池袋側の11801号・11801号の使用しない側の連結装備(連結器以外の配管類)を11201号・11202号に移設、小川町側になる12201号・12202号が元々装備していた貫通幌を18801号・11802号に移設という奇策を行うことで連結して使用できるようにされています。
以上の珍改造を施した結果、従来車両に比べて両端車両の連結器周りがすっきりした形態で東上線にデビューしています。
この小改造の結果、逆の順番で組成が出来なくなってしまったため、2両編成側が池袋寄りに連結されることはなく、自慢の前パンタを先頭に走ることはありませんでした。
しかしながら、その後の30000系の東上線転用の一環で、2014年に8+2両の編成のまま本線に再転用、密着連結器へ再度取り替えが行われたほか、リニューアルも施しています。
東上線の2両固定編成がなくなった一方、本線系統では初めて8両固定編成が配置される転用劇となりました。
ワンマン化改造のメニューは?
今回、リニューアル施工後は本線の運用に戻っていた11201F,11202Fの2編成4両に対して、南栗橋車両管理区春日部支所にて改造が始まっています。
現時点で、確認されているメニューとしては、運転台周りに何らかの工事を施工していることと、貫通幌の撤去、ホーム検知装置の取付があります。
貫通幌の撤去は、分割・併合を行わない路線で運用されている編成で随時行われていました。
また、ホーム検知装置については、現状ではワンマン化している路線でのみ設置されています。
運転士がドア扱いをするため、反対側を誤って開けるというミスを防ぐための機械ですので、これを設置していることからワンマン線区のどこかへの転用とみて間違いないでしょう。
現時点で判明している点は以上となりますが、これ以外にも何らかの工事を施工する可能性は高いでしょう。
10000系初期車2両編成については、過去に2両単独運用を大師線・亀戸線などで行っていた経歴があるものの、空転が多いなどの理由により外された経歴を持っています。
リニューアルをしても床下機器はそのままという傾向が非常に強い東武鉄道ですが、チョッパ制御関連機器の製造終了に伴い、部品確保のためにVVVFインバータ制御装置に改装された10030型が東上線に2編成存在します。
投入線区での走行性能に不安がある場合は、本線系統の予備品確保も兼ねて床下機器更新を行う可能性も捨て切れません。
どこの線区に投入するのか、どのような姿で完成とされるのか、10050番台の2両編成にも転用車両が発生するのかなど、今後の展開が楽しみになってきましたね。
80000系(?)の投入路線のヒントとなるかも
2019年度の東武鉄道では、日比谷線直通用に70000系・70090型を増備しています。
これにより、20000系・20050型の完全淘汰が完遂するものとみられており、彼らは順次4両編成・ワンマン仕様への改造が進められています。
東武宇都宮線用の8000系を直接代替して以降、現在は10000系列が4両編成で充当されている南栗橋駅〜新栃木駅間のローカル運用への投入が進められています。
これにより、更に玉突きとして10000系列に余剰が発生しており、既に6両固定編成の11654Fがアーバンパークラインに転用されています。
今回、11201Fと11202Fが改造を始めたことにより、今後は2両固定編成のワンマン化が進められることが確実となりました。
6両固定編成はアーバンパークラインへ、2両固定編成はワンマン化という新たな動きが2019年度に発生しています。
東武鉄道の車両代替はスローペースですが、着実に世代交代が進められています。
ここ4年間は日比谷線直通系統への新車導入が継続していましたので、来年度の新造車両の投入路線が沿線利用者・ファンの注目どころとなりそうです。
コメント
東武20000系アルピコ交通に譲渡されるらしいですね。
2両×4本だそうで、どんな仕様になるのか楽しみですね。