
JR西日本では、2020年度から2023年度にかけて225系3次車を製造・JR京都線やJR神戸線系統へ投入し、221系の転用で奈良地区の201系を淘汰することを明らかにしています。
発表から数日、ファンの間ではJR西日本の今後の車両采配について様々な憶測が飛び交っています。
車両数やダイヤの変化などを添えつつ、今後のJR西日本の車両采配を考察します。
225系追加導入で玉突き転用へ
この発表では、225系を久々に増備して、網干本所へ配属することがメイン発表となりますが、221系網干本所所属車両を奈良支所へ転属させることで、201系の淘汰を進めることが明らかにされました。
103系が辛うじて残存している奈良地区ですが、後釜として大阪環状線から201系が転用されたばかり・経年車である113系・115系・117系が各地に残るなかでの代替ということもあり、ファンからは驚きの声もありました。
201系を巡っては、最近も床下塗装がグレー化されるなどの新たな変化もありましたが、今後は定期検査施工自体が珍しくなりそうですので、変わり者になってしまいそうですね。
201系が“省エネ電車”として製造されたものの、当時としては画期的だった電機子チョッパ制御の部品調達が困難であり、これが背景と考えることが出来そうです。
JR西日本では代替経緯こそ明らかにしていませんが、同様の制御方式の部品調達の難しさは関東圏の私鉄各社が公言しています。
車両数で考える転用劇
【網干本所】
225系3次車
144両
編成構成不明
8両I編成
7編成56両
6両編成
配置なし
4両U編成
5編成20両
221系性能固定車の
限定解除?
8両A編成
5編成40両
6両B編成
14編成84両
4両C編成
3編成12両
合計136両
転用後の編成構成不明
【奈良支所】
201系6両
22編成132両
103系4両
2編成8両
8両NB編成
9編成72両
6両NC編成
9編成54両
4両NA編成
29編成116両
今回明らかにされている車両転用では、225系の投入数・転用対象の221系の車両数・置き換えとなる201系の車両数が概ね合致しています。
また、103系4両2編成についても置き換え対象となるという見方が有力です(プレスリリースで記載していなかったのは、ワンマン用で残存している=形式消滅とならないからでしょうか)。
車両数の合致を考えれば、発表されている以上の複雑な転用車両は発生しないと見て差し支えはないでしょう。
ただし、221系については編成組み替え・運用変化の動きがありそうです。
2020年3月改正にて大和路快速8両化・休日みやこ路快速の6両化が行われます(関連記事)。
4扉ロングシートの201系代替は221系6両編成と考えられますが、収容力低下も気になります。
今年のダイヤ改正で快速系の増結の動きが行われて車両を増やしたい……とも読み取れますが、最終的には大多数となる221系による形式統一のメリットもありますので相殺できそうです。平日のみやこ路快速も6両編成で統一できそうですね。
以上の奈良地区の状勢を考えると、網干時代の編成そのままだと少々使い勝手が悪そうにも感じるほか、置き換え対象のような6両編成のみで組成すると中間車4両が余ってしまいます。
221系は2両単位で編成組み替えが容易な編成構成となっていますので、この特徴を生かし、何らかの方法で行うものと推測できそうです。
103系・205系はどうなる?
以上のように、車両数・運用整理・予備車削減を考えると103系2編成は代替できそうですが、205系0番台4編成と1000番台5編成の置き換えは難しそうです。
103系2編成ですが、前回検査からの期間を考える(両編成とも検査切れまで1年を切っています)と225系3次車の納車を待たずに運用離脱する可能性も捨て切れません。
2020年3月改正で早くも動きがあるかもしれませんので、早急に記録をしておきたい車両であることは間違いないでしょう。
一方の205系ですが、今回の代替が保守の難しい電機子チョッパ制御の201系を優先しており、各地に残存する113系・115系・117系を後回しにしていることを考えれば、向こう数年は安泰でしょうか。
奈良支所の車両については、将来的に3扉車両で統一したい方向が見えてきました。
ファン目線で想像できる動きとしては、201系の次に代替すると考えられる京都支所の113系・117系の置き換え時、4両8〜9編成程度を多めに投入する形で奈良支所へ転用・奈良支所の221系への形式統一……といった動きが現実的でしょうか。
おおさか東線にホームドアがなかった理由はこれ?
2019年3月改正で悲願の全通となったおおさか東線では、近年の新規開業路線では珍しいホームドア非設置路線となりました。
今回の車両置き換えにより、大阪環状線同様に4扉→3扉車への代替が行われますので、これを待っていたと考えることができそうです。
大和路線・奈良線に残存する形となる4扉車の205系をどうするか……という課題はあるものの、おおさか東線については221系転用完了が済んだらホームドア設置となる可能性が考えられますね。
二転三転!?直通快速の使用車両も注目!
おおさか東線では、2008年の部分開業とともに朝夕時間帯に東西線経由の“直通快速”が設定されました。
当初は223系のうちパンタグラフ増設がされていた宮原支所所属の223系6000番台(トンネル区間の集電安定化のため)の限定運用となっていましたが、東西線へのホームドア設置が進められることとなり、東西線車両となる207系・321系へ運用持ち替えが行われました。
2019年3月ダイヤ改正でおおさか東線が全通したことにより、この直通快速が東西線を経由することはなくなったものの、当時の名残で207系・321系による運用となっています。
上記のようなおおさか東線のドア数統一を進める場合、この4扉で残存する直通快速がネックとなりそうです。
先述のように、網干本所から転入できる221系の車両数を考えると、221系にこの運用を担当させることは難しそうです。
想像しやすい置き換えとしては、この直通快速運転開始当初のような223系宮原支所車両に戻す……といったものがあります。
ドア数・編成構成が同一の221系と旅客案内上の違いがないので、221系に混じって奈良地区の間合い運用を任せることもできそうです。
207系・321系の次世代車のドア数はどうなる?
さらに長期的な視点では、JR西日本は4扉車をなくしたいのか、現状の4扉車を使用している路線ではそのままとしたいのか……という疑問も生まれます。
4扉車に合わせたホームドアを設置していること、短区間利用を想定している車両のために乗降客の入れ替わりが多いことなどを考えると、今のところは4扉車両を継続運用することに軍配が上がりそうです。
207系の体質改善工事が続いていますので、当面は現状維持でしょう。
次の転機となるのは207系の代替車投入・321系の更新時期が想像できます。
3扉車両を投入する場合、ホームドア移設などの工事が必要なほか、世代が異なる207系・321系を同時に置き換えるというややこしさも生まれます。
その一方で、複々線で並行する東海道本線(JR京都線・JR神戸線)についてはホームドアの課題を完全に解決するコストが膨大になるほか、中長期的な車両転用に大きな制約が生まれます。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、JR西日本が頭を悩ませている最中でしょうか。
ファンとしては地方転用に期待?
広島地区では227系が、金沢地区では521系がそれぞれ直接投入されたものの、JR西日本管内では依然として113系・115系・117系といった国鉄型車両が多く残存しています。
それぞれの地元としては新製投入が望ましい一方で、JR西日本の黎明期に誕生した珍車を多く知るファンからは、そろそろJR西日本ならではの車両改造を見たい……という声もあります。
113系3800番台や115系、213系、キハ41形など先頭車化改造を多く手掛けてきており、現在もその多くが活躍しています。
今話題の221系についても、223系が製造されている最中に切妻のモックアップの写真がネットを騒がせたことが知られています。
10年以上前のネット掲示板で出どころ不明ですが、JR西日本の子会社で車両改造を手掛けてきたJR西日本テクノス内にあったとされています。
この時点では221系の広島地区転用が選択肢の1つとされていたものと思われますが、現在は227系が投入されているのは皆様ご存知の通りです。
223系2000番台では、将来的な運転台設置を想定した設計になっています。
221系代替で扱いに困りそうな223系6両編成の処遇など、今後の車両転用が気になるところですね。
コメント
私は組成変更なしと予想します。
8両はそのまま転属しても大和路快速は4+4の運用していますからそれに充てることが出来ますよね。
6両は転用すれば23本になるので、現状の201系22本の代わりになるでしょう。クロスシートの件は、JR西日本の場合改造する財政的余裕はないのでそのままだと思います。
4両は大和路快速の4+4運用またはみやこ路快速でしょう。、みやこ路快速は奈良線の複線化で4本/hに増発されることは容易に想像できますし、実現すれば6両×2本/hより輸送力があります。
また奈良線は京都~城陽間が完全複線化するので、朝ラッシュは221系6両編成をあまり投入しなくても本数での対応ができます。ピークの普通は205系、ピークから少し外れると221系運用となるのではないでしょうか。
221系は201系の置き換えよりも117系の全廃の方を優先させるべき。
117系の全廃を優先させる理由:
1.直流専用の一般車で、普通鋼製車体でありかつ扉が2つしかない。
2.正面の運転台が非貫通。
大和路にゴミばかり押しつけて腹立たしい。
今頃の指摘で恐縮ですが、225系8両I編成は記事の時点では7編成ではなく9編成ですね(0番台7編成、100番台2編成)。
なお、このコメント書き込みの時点で早くも225系増備車(8両=I10編成)が出てきてしまったようで…、103系と201系の動向が注目されます。