特急車の京阪8000系 PREMIUM CAR・プレミアムカー連結開始で大成功を収めた京阪電車。
大方の予想通り、元中之島線用に新造され、現在では特急運用もこなす3000系についてもプレミアムカーの連結がされる報道が7月にされていました。
今回、2020年度中の導入・日中10分間隔という具体的な投入計画で特に注目を集めた点として、8000系では改造だったプレミアムカーを3000系では新造する点があります。
同業他社では今後新造の他形式流用前提の東急大井町線Q SEATの例がありますが、どうしてこのような経緯となったのか、編成表も合わせて推測していきます。
京阪3000系の生い立ち
中之島線用として開発されるも……
京阪3000系は、新線開業となる中之島線開業のフラッグシップ車として、特急型8000系とロングシート通勤車の間となる、3ドアクロスシート車として開発されました。
開業当初は京阪本線系統の特急と、中之島線系統の快速急行が交互に走る格好のダイヤを使用する力の入れようでしたが、中之島線はご存知の通り閑古鳥が鳴く状態でした。
京阪もそんなリスクは承知の上だったようで、特急や急行としても使える2+1のクロスシート配置、将来的に4,5,7両編成にも組み替えられる機器配置としていました。
結果として、本線系統の半数以上あった9000系などの8両編成のロングシート特急の代わりに充当されるようになり、8000系とともに活躍しているほか、急行などにも充てられるなど京阪のオールマイティーな車両として活躍しています。
最近では、2014年ころに編成の固定編成化がされたほか、ノンストップ快速特急運転開始に合わせ、フルカラーの前面愛称表示機も追加され、特急車としての色合いが強くなっています。
弟分の13000系が現在も製造中
京阪3000系の4,5,7,8両編成という柔軟な組成ができる床下機器配置は、老朽化した2000系列の置き換えに最適でした。
3000系の一般形・ロングシートバージョンとして、弟分の13000系が続々と製造されています。
まずは交野線・宇治線を10000系と共通で運用・ワンマン化するための4両編成。
続いて本線系統を置き換える7両編成が製造されました。
上記の編成組み換えを柔軟に行える床下配置に加え、13000系では4+4の8両編成という組成が出来るように幌設置などが出来るようになっており、奇数番号編成+偶数番号編成という設計がユニークです。
試運転で4+4両編成が運転されたほか、7両編成が4両編成の予備車を兼ねており編成短縮。
2018年に入ってからはその編成短縮で余った中間車を活用した8両貫通編成も組まれ、設計をフル活用した、京阪ならではの運用がされています。
3000系と13000系の編成表
3000系 8両×6編成
パンタ | > | > | < | |||||
形式 | 3000 | 3500 | 3600 | 3700 | 3150 | 3550 | 3750 | 3050 |
床下 | Mc | T | T | T | M | T | T | Mc |
運転台 | ← | 簡易+ | +簡易 | → |
13000系 4両×7編成
パンタ | ◇ | ◇ | ||
形式 | 13000 | 13500 | 13650 | 13050 |
床下 | Mc | T | T | Mc |
運転台 | ← | → |
13000系 7両×7編成(2018年度+2編成) 末尾+20で附番
パンタ | ◇ | ◇ | ◇ | ||||
形式 | 13000 | 13500 | 13700 | 13150 | 13550 | 13750 | 13050 |
床下 | Mc | T | T | M | T | T | Mc |
運転台 | ← | 簡易+ | +簡易 | → |
今回のプレミアムカーは新造
京阪8000系は従来車の改造だったのに……
失敗するリスクもあったこと、経年車である8000系に新造車を繋げると置き換え時に煩雑になること等が理由と思われますが、8000系では改造にて設置されました。
窓割が合わない・改造中の減車などの難点があり、特に行楽需要も大きいプレミアムカーでは、駅窓口にて景色の見やすさが確認できるなどの対策が取られています。
結果的には大成功を収めましたので、続いて改造されると思われていた3000系では、なんと車両新造が発表されました。
8000系同様に改造するのだろうという見方が強かった一方で、なぜこのような動きとなったのでしょうか。
プレミアムカー組み込みで余剰となる車両の転用は?
6両のプレミアムカー新造によって、6両の中間付随車が発生してしまいます。
これについては
・廃車
・3000系の増編成に組み込み
・他形式流用
以上の動きが考えられます。
廃車説
3000系の経年はまだまだ浅いです。
旧型車がごろごろしている京阪で、この選択肢はありえないでしょう。
3000系を廃車してまで新造車にこだわる理由が見当たりません。
3000系を増編成・増備車に組み込み?
3000系投入後も、9000系で1編成・6000系で14編成の8両編成が存在していますので、その一部もプレミアムカーつなげる代わりに3000系にて置き換え、ロングシート車は短縮して旧型車の置き換えという動きも考えられます。
上記編成表から、3500・3600の2両が中間運転台なしの付随車ですので、3編成分となります。
しかし、プレスリリースのプレミアムカー6両を新造という文言と矛盾が生じるのが気がかりです。
もしもプレミアムカー連結に伴って3000系を導入するなら、これらの発表と合わせて増備という流れが自然です。
ないとは言い切れませんが、他の可能性が高そうです。
他形式流用?
京阪13000系は3000系の設計を基本としていることから、今後製造される13000系に組み込むことを前提としていると推測できます。
内装のロングシート化のみで改造を済ませるのであれば13500・13550・13600の代用となると思いますので、7両編成のうち2両・もしくは4両編成のうち2両という組み込み車が3編成登場するのではないでしょうか。
先頭車化改造・電装・簡易運転台設置といった改造は技術の京阪ならお手の物でしょうけれども、その手間をするくらいならプレミアムカー改造で良かったはずです。
抜かりない京阪さんですから、きっと増備計画と合わせた抜かりない計画があることでしょう。
まとめ
以上の経緯を踏まえると、設計を近づけていた13000系に転用することを前提とした新造車製造という可能性が高そうです。
また、今回の組み換えで、近年少しずつ進んでいた3000系の優等車としての運用方法が決定的となります。
3000系製造の時点で組み換えを想定していたこと、13000系が3000系を基に開発していたこと。
この辺は10000系の7連化でも感じていましたが、京阪の車両屋さんの設計思想が極めて優秀なことを感じます。
そして、今後も奇想天外なビジネス展開と車両活用をする京阪電車の新たな話題が楽しみです。
コメント
6両目のサハを廃車し、神戸電鉄の特快(もちろん毎時運転前提)専用車として3両編成を4両化に使うか、ノロデンの特急日生エクスプレス用(こちらも毎時運転前提)に8両1本取得し、中間6両をこれにしてもいいと思います。