【キハ40以外にも】小湊鐵道がレール輸送用“チキ”・バラスト輸送用“ホキ”を相次いで導入

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2020年に車両譲渡・2021年に営業運転を開始したキハ40形が注目を浴びている小湊鐵道。

2021年5月22日から23日にかけて、JR東日本でレール輸送に使用されていた貨車3両が小湊鐵道へ譲渡のため輸送されています。

レール輸送用貨車は3両導入

小湊鐵道では、開業時に新製した貨車のうち6両が現役とされており、線路保守作業などでごく稀に本線上に姿を現します。大正時代に製造された“骨董品”ですが、これまで明確な代替車両が存在せずに動向が注目されていました。

一方で、お隣のJR東日本では2021年3月のダイヤ改正に合わせる形で、越中島を拠点に関東甲信越各地へ向けて実施されていたレール輸送を新型キヤE195系気動車へ代替しており、レール輸送用貨車の廃車解体が進められていました。

正式な発表は記事公開日現在はありませんが、これらの背景から両社間で譲渡が実現したものと推測できます。

これらの貨車は2021年5月22日から23日にかけて、京葉臨海鉄道千葉貨物駅〜小湊鉄道上総山田駅まで陸送(トレーラーでの輸送)が実施されています。これに先立ち、21日には新小岩操車場から千葉貨物まで定期貨物列車に併結されている姿が確認されていました。

今回譲渡が実施された車両は、チキ5200形2両(チキ5252・チキ5254)とチ1000形1両(チ1111)の合計3両です。

小湊鐵道の上総山田駅にてトレーラーから鉄路に載せられたのち、その作業のクレーンを生かしてか早速レール積載が実施されている姿も確認されています。

小湊鐵道の保守用列車は営業車両であるキハ200形が牽引するスタイルとされており、今回の編成も近日中にキハ200形またはキハ40形、里山トロッコ編成のいずれかにより輸送されるものと推測できます。

輸送された貨車2形式を見る

今回譲渡された車両のうちチキ5200形は、国鉄1966年から製造したコキ10000形コンテナ貨車をベースに、1979年からコキ10000形の車体とコキフ50000形の台車を組み合わせて改造製作された車両です。

2両1組で25mの“定尺レール”を輸送するため車体長を切り詰めたほか、輸送時のレール緊締(きんてい)装置が設置されています。

JR各社に引き継がれて全国で見ることができましたが、JR東海に続いてJR東日本ではレール輸送の気動車化が進められており、廃車解体が進められている最中でした。

今回の譲渡対象とされた2両は、ともに全般検査を2020年に施工したばかりの車両でした。

この2両以外の越中島常駐貨車は既にレール緊締装置が撤去済となっていましたので、JR東日本からの譲渡は今回の2両のみと見て差し支えなさそうです。

もう1両のチ1000形は、1957年より改造製作された長物車です。10t積載の貨車ですが、基本的には長物輸送時の遊車(荷重がかからない状態で、前後車両のはみ出した荷物を輸送するために連結)として使用されていました。

戦前製造の2軸貨車をベースに製造されており、車齢だけで見るとかなり長寿の車両です。

JR東日本ではチ1000形+チキ6000形+チ1000形で編成を組んでの活躍が基本となっており、チキ2両と同様に定尺レール輸送で使用されている姿を見ることができました。

今回譲渡されたチ1111はチキ6051・チキ1160とともに活躍している機会が多い車両でした。

こちらは検査時期ベースで見るとより近くに検査を受けた車両がありますが、車両の状態などからの選定でしょうか。

バラスト輸送用“ホキ”も関東鉄道から購入予定

昨年から現在まで、小湊鐵道が購入した車両はキハ40形2両とレール輸送用貨車3両ですが、彼らは全てJR東日本所有の車両でした。

2021年6月には新たにバラスト(線路の砕石・騒音や振動の軽減目的で使用されている)の輸送・散布作業用貨車である国鉄ホキ800形2両の入線が予定されていますが、こちらはJR東日本からではなく関東鉄道からの譲渡とされています(関東鉄道公式HP)。

ホキ800形は1957年から1000両以上と私鉄向け同形貨車が製造されており、現在もJRだけでなく大手から中小、無車籍ながら新幹線の保守作業まで、様々な鉄道事業者にて使用されています。

小湊鐵道では令和の時代に国鉄製造の車両を導入する動きが相次いでおり、お隣のいすみ鉄道ともどもファンにとって嬉しい話題が続いています。特に首都圏から近い路線での実現となり、関東圏からのアクセスが良好であることも嬉しいポイントです。

営業用車両以外にも事業用貨車3形式が加わることで、ますます“動く博物館”となりつつある小湊鐵道。

自社発注車のキハ200形・大正時代からの古典貨車の今後が心配ですが、代替車も貴重な車両ですので、キハ40形の追加購入がいつ実施されるのかなど、ファンにとっては引き続き目が離せません。

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