名鉄では近年、3500系の機器更新工事が積極的に進められてきましたが、一部の編成では内装にも本格的に手が加えられていました。
2021年8月11日、それらより古い6500系で車体に大規模なリニューアルを施した車両が登場し、注目を集めています。
複雑な進化をする名鉄6000系列
名鉄6000系は、現在の名鉄で主力となっている3扉車の基礎を築いた形式です。
1976年から投入が開始されましたが、4両編成は1984年から6500系・2両編成は1987年から6800系に移行しています。末端線区では回生ブレーキの効果が薄いゆえに形式変更が見送られたことが背景ですが、年次・車体設計と形式名に相違があり、少しややこしい印象です。
大きな車体設計の変更は2度行われており、6500系登場時に前面形状や扉位置などの車体構造が、1989年度には大型曲面ガラスを採用した現代的な前面デザインと車体構造へ変更されました。
西尾線・蒲郡線・三河線のワンマン運転開始に合わせて、初期に製造された車両を中心に改造が行われています(名鉄では重整備・特別整備という呼称)。
最近では、他社・他形式でも時々みられる、改造を受けた経年車が残存・これらの整備を受けなかった後期製造の6000系が廃車となる動きが進行しています。
外見は3500系そっくり
今回リニューアルの対象となったのは、6500系の6522Fの4両です。8月11日に舞木検査場を出場し、試運転が実施されました。
この編成は1989年以降に製造された、前面デザインが変更された“金魚鉢”と通称されるグループのうちの1つです。6500系のうち編成番号が大きい7編成が該当します。
名鉄ではここ数年、3500系の機器更新工事が進行しているほか、このうち一部編成は内装のリニューアルを受けた編成やワンマン対応工事を受けた車両が登場していました。
6500系の“金魚鉢”車体設計で走行機器をVVVFインバータ制御に改良して製造された車両が3500系のため、スカート(排障器)がないものの3500系の更新工事を受けた車両に近い外観になりました。一方で、走行機器類は従来同様となっています。
このほか、6522Fについてもワンマン運転対応工事も同時に実施されています。
今回の工事により、6500系の後期車両についても、3500系と同様に引き続きの活躍が約束された格好です。
三河線の経年車を代替?それとも?
これまでの名鉄では、6000系列より経年が浅いものの、ラッシュ時などの運用に難があった2扉クロスシート車両5300系・5700系の置き換えが進められていました。これが完結したことにより、今後は6000系の置き換えが更に進行しそうです。
今回登場した6500系のリニューアル車両について、改造の経緯が気になるところです。
まずは4両編成でワンマン運転を行なっている路線である、三河線の6000系初期車両の置き換えが考えやすいところです。
6500系の“金魚鉢”世代は経年30年を過ぎた程度ですが、現行のワンマン車両のうち、三河線ワンマン運転で使用されている6000系4両編成は今年で製造から45年が経過します。
この動きが完結したことで、今後は9100系・9500系投入による玉突き転用で、6000系の置き換えを進めることが想像出来ます。
3500系世代は既存の各形式と併結出来る一方で、6000系世代とはブレーキシステムの違いから通常運用での併結が出来ません。本線系統の置き換えを優先している意向が読み取れます。
現在は経年を問わず6000系のワンマン運転非対応編成の置き換えを優先しているものの、その後に行うワンマン運転対応編成の代替に向けた改造も進行させている……と考えることも出来そうです。並行して置き換えを進める可能性も否定出来ず、今後も複雑な動きが進行しそうです。
このほか、他社でも進められているワンマン運転の拡大は名鉄でも中期経営計画に記しており、地上設備の更新状況(ホームへミラーを設置)から将来的に各務原線のワンマン化を目指していることが伺えます。
6522Fや3500系の一部で行われたワンマン対応は、将来的な各務原線のワンマン運転開始に関係しているのではないかという声もあるなど、ファンの予想も様々です。
直近の10月の大規模な減便を含めたダイヤ改正など、輸送状況に合わせた動きは今後もありそうで、引き続き動向が注目されます。
画像元ツイート紹介
記事内掲載写真は、フォロワーのよっしー様(@Yossyn_T)より掲載許諾を頂いています。
コメント