東京メトロでは、長年使用してきた8000系を新型18000系により置き換える動きが進められています。
2021年8月のデビューが報じられていますが、6月後半より乗り入れ先の東急田園都市線・東武スカイツリーライン(伊勢崎線・日光線)で日中時間帯の試運転が本格化しています。
半蔵門線の世代交代
半蔵門線は最初の渋谷駅〜青山一丁目駅間が1978年・永田町までが1979年に開業しましたが、その時点では東急車(8500系)の片乗り入れとされていました。
営団地下鉄として自社所有の車両が投入されたのは、1981年となりました。この時に営団8000系が初登場しており、6両編成・8両編成が用意されました。
その後も三越前・水天宮前と延伸されるとともに車両増備がされたほか、利用者の急増とともに増発・増結も繰り返され、1994年には8000系の全19編成が10両編成となりました。増備の過程で一時的に東西線で使用されたり、最後の増備となった中間車は05系と同等の車体設計とされたりと個性的な形式です。
一方で、2003年の水天宮前駅〜押上駅間の延伸開業・東武伊勢崎線,日光線との直通運転にあたっては新形式となる08系6編成を投入しています。この08系は帝都高速度交通営団(営団地下鉄)として最後に投入された車両です。
8000系は2004年から順次大規模なリニューアル(B修工事)が実施されており、最後の修繕は2015年の8110Fです。もうしばらくの活躍が期待できるかと思われましたが、新しい保安装置CBTCの導入に向けて新型車両18000系へ代替されることとなりました。
18000系の投入終了は当初発表の2022年度から2025年度まで延期されているものの、最終的な投入予定本数は変わらず19編成190両のされており、8000系の全編成を代替予定としています。
これにより8000系全編成が淘汰される一方で、08系は引き続きの活躍が約束されている格好です。
半蔵門線へのCBTCの導入は2024年度としていましたが、こちらについても2025年度の18000系投入完了まで延期されるものと考えられます。
急速に進む各社での準備
18000系で最初に落成した18101Fは2020年10月2日から5日にかけて甲種輸送(貨物列車としての輸送)と東急9000系牽引による鷺沼検車区への輸送が実施されたのち、11月4日終電後より夜間の試運転が続けられていました。
その後も鷺沼を拠点として、乗り入れ各社を含めて深夜帯の試験が長らく続けられてきました。
2021年6月18日に東急田園都市線で初めて日中の試運転が実施されたのち、その後は平日・土休日問わず各社線で試運転が実施されています。
現在落成している2編成ともが使用されている日程もあり、既に18000系同士の離合も実現しているなど賑やかです。
デビュー日は非公開?
東京メトロの新型車両としては、2020年1月に落成して2021年2月に営業運転を開始した17000系の事例が直近ですが、デビュー月は公開されていたものの日程・運用は非公開とされていました。
この事例に倣えば、18000系についても8月のどこかで予告なく営業運転が始まる流れが予想できます。
せっかくの新型車両のデビューは華々しく行った方が宣伝効果も期待できますが、昨今の状勢を考えると現実的ではありません。
車両のデビューを遅らせることで緊急事態宣言下を避けるといった対応も可能になようも思えますが、検査時期と車両導入時期の兼ね合い・比較的手狭な状態の鷺沼検車区の容量などを考えるとこちらも難しそうです。
17000系の事例ではデビューから数日は自社線内のみ・その後東武東上線・東急東横線・西武池袋線の順に運用範囲を拡大していきましたが、半蔵門線には自社線内完結の運用がないため、少なくとも東急田園都市線は同日にデビューすることとなります。
東京メトロ半蔵門線の車両運用としては、(いずれも平日)51S〜75Sまでの13運用が鷺沼スタート・77Sが渋谷・79Sが半蔵門・81Sが水天宮前・83Sが清澄白河・85Sが住吉・87S〜93Sの4運用が押上駅スタートとなっています。土休日は運用番号こそ異なりますが、鷺沼スタートが8運用減少していてそれ以外は同数です。
報道陣向けの発表などを考えると自社線内スタートの運用が好ましいようにも思える反面、鷺沼からの18000系送り込み・在来車の返却回送が発生することとなります。
この場合も、深夜回送としてしまえば地下鉄線内のどこで停泊しているかは利用者・ファンから目撃情報を頼りとした先回りも出来ませんので、一番列車を捉えるのは極めて困難となりそうです。
17000系の事例を考えれば、平日朝のみの運用のいずれかが選定されるのが自然でしょうか。
置き換えられた8000系は渡瀬で解体か
このほか、2021年5月28日の終電後には8000系8107Fを使用した試運転が東武伊勢崎線・佐野線経由で渡瀬北電留線まで実施されています。
ここはかつて北館林荷役所と呼ばれた貨物駅があり、現在は東武鉄道資材管理センター北館林解体所が設けられています。
18000系のデビューに先がけて、8000系を同所で解体することを目的としていると考えられます。
同所は東武鉄道で活躍していた車両の解体以外にも、最近では日比谷線03系や小田急電鉄各形式、過去には京王・京成・都営・北総・公団など幅広い事業者の車両の“墓場”となっています。
廃車に先がけた入線確認とみられる深夜帯の試運転は、同じく自走での廃車回送とされた日比谷線03系でも同様に実施されています。廃車回送を実施するための試運転……という何とも複雑な気持ちにさせられる動きです。
最近まで行われていた日比谷線03系の廃車の動きでは、千住検車区から同竹ノ塚分室へ回送されたのち、別日に竹ノ塚から渡瀬へ回送されていました。
半蔵門線8000系が東武鉄道の南栗橋や北春日部への回送を挟むかは明らかでないものの、廃車回送では伊勢崎線・佐野線を走る姿を見ることが出来そうです。
東急電鉄側の長津田から搬入され、東武鉄道側の北館林で解体されることとなることが確実視される8000系。製造・デビュー時は半蔵門線と東武線は繋がっておらず、半蔵門線の発展・ネットワークの拡充を見届けた車両に相応しい最後と言えるのではないでしょうか。
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コメント
現在インドネシアのジャカルタ鉄道ではチョッパ制御車の保守部品が極めて不足しており、かなり苦しい状況です。特に05系が頻繁に故障しており、且つコロナの影響で財政的に高価な新車が導入出来ない状況です。
e217系の譲渡が設計上白紙撤回されたとも言われる状況であり、8000系も経年の浅い6次車非組込編成を中心に館林でなく新木場に回送され輸出される可能性も十分考えられるのではないでしょうか。