【廃車進行・地方私鉄譲渡】引退せまる初期ステンレス車両〜南海6000系

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2020年に入り、初期ステンレス車両の南海6000系が話題となっています。

7月には6000系2両が静岡県の大井川鐡道に搬入され、“先輩”である21000系との再会が実現します。

今回は引退がせまる初期ステンレス車両、南海6000系を取り上げます。

南海6000系とは

南海6000系は「日本初のオールステンレス20m車両」として1962年にデビューしました。同時に南海初の高性能通勤型電車でもあります。同期はオールステンレスの東急7000系や京王3000系で、「第一世代ステンレスカー」の代表車両として知られています。

車体は全長20.7m、4扉車の片開式で、走行機器は抵抗制御を採用。ブレーキは電磁直通式で発電ブレーキを使います。橋本方の複線化対応として抑速ブレーキの追加や抵抗器の増強などが行われています。営業最高速度は時速100キロです。

デビュー当初、南海の電車線電圧は600Vでしたが、1973年に1500Vに昇圧しました。そのため、6000系は製造途中からどちらの電圧にも対応したつくりとなり、同時に主電動機も交換されています。また、冷房化改造は1985年から1989年にかけて行われ、その際にパンタグラフはひし形から下枠交差式に変更されています。このように車体自体は50年選手ですが、足回りは交換が行われているため、まだまだ衰えていません。

当初は3両編成でデビューしましたが、その後の車両増備により編成の組み換えが実施されています。現在、4両編成と2両編成が存在します。

6000系は20m車両のため、急こう配が続く橋本駅~極楽橋駅間には乗り入れることができず、難波駅~橋本駅間で活躍しています。橋本駅への乗り入れを果たしたのは1992年のことです。現在では高野線難波駅~橋本駅間の他に泉北高速鉄道にも乗り入れ、各停や急行などさまざまな種別で活躍しています。

6000系に似た車体を持つ車両として6300系が存在します。6300系は6100系として1970年にデビューしました。6000系との大きな違いは6000系の扉が片開式なのに対し、6300系の扉は両開式です。また、6000系にはスカートはありませんが、6300系にはスカートがあります。

ところで、6000系は南海線や空港線には導入されていません。南海線にステンレス車がデビューしたのは1985年のことです。南海線は踏切が多く、踏切事故対策として普通鋼の車両が製造されてきました。

無骨なデザインが愛らしい

6000系に乗車するために難波駅へ向かいました。しばらくすると、泉北高速鉄道直通「区間急行」和泉中央行きが入線しました。編成は4両+2両+2両の8両編成でした。

無骨なステンレス車両ですが、今から見るとかえって愛らしいデザインに見えます。近年のステンレス車両では見かけなくなったコルゲートがいいですね。

前面をよく観察すると器用に丸みをおびたステンレスとなっています。この丸みのおかげで同時期に製造された東急7000系と比べると、柔らかな印象を持つのかもしれません。

方向幕は前面、側面とも小ぶりなつくり。「泉北 和泉中央」が窮屈そうに書かれています。

車内は大きなリニューアル工事が施されず、昭和時代の通勤電車の特徴を色濃く残しています。荷物棚は今では見かけることが少なくなった網棚のままです。また、南海電車は関西私鉄では珍しく蛍光灯はカバーなしとなっています。

6000系の特徴のひとつが片開式のドアです。片開式ドアを持つ京急800系、阪神7801形・7901形が相次いで引退したことにより、6000系の希少価値が高まっています。ちなみに、6000系のドアには金具が取り付けられており、完全には開きません。

ドア周りを観察すると、6000系が丸みを帯びた車体であることがよくわかります。ドア上の広告枠も小さいですね。

走行音は現在のVVVF車と異なり、重厚な走行音が聞けます。また発車時に聞こえる「リンリン」という電鈴もかわいらしいです。

6000系の今後は

長年にわたって高野線で活躍を続けてきた6000系ですが、カウントダウンの足音が聞こえつつあります。6000系は2019年度に廃車が開始され、2023年度に完了する予定です。現在は日中であっても数本やり過ごしたら6000系に出会えますが、今後は廃車が進行することから、すぐには出会えなくなるでしょう。

6000系の代替車として製造されているのが2015年に南海線でデビューした8300系です。2019年末に高野線でもデビューしました。8300系が増備される度に6000系は姿を消していくことでしょう。4扉車であることを考えると22000系のようにワンマン改造をした上で支線に転属することもないと思います。

ところで、2020年7月に6000系2両編成が静岡県の大井川鐡道に搬入されました。大井川鐡道では6000系の導入により、16000系(元近鉄16000系)の引退が予定されています。大井川鐡道は6000系のさびにくいステンレス車体に目を付けたとのこと。ひょっとすると、ステンレス車体を活かして、2両編成が他の地方中小私鉄に移籍するかもしれません。

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