【SL】茶畑を疾走!大井川鐵道SLの魅力と未来

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日本で唯一、4機の蒸気機関車(SL)を動態保存している私鉄である大井川鐵道。

冬場を除いてほぼ毎日運行・従える客車も旧型客車という運行スタイルで、他のSL運行ノウハウのある会社の上を行く独自色が魅力です。

現役機の生い立ちを振り返るとともに、大井川鐵道のSL運行の未来を考えていきます。

大井川鐵道SL運行概要

大井川鐵道は、JR東日本と並んで4機の動態保存機を運用している会社です。

出身と外観の異なる4機の機関車たちが、大井川と茶畑の美しい景色の中を今日も駆け抜けています。

1976年(昭和51年)にSL運行を開始しており、これは日本国内で最初のこととなっています。

現在では沿線人口減少もあり、鉄道営業収入の9割をSL運行に頼っており、観光鉄道としての色合いが非常に強い路線です。

もしSL運行をしていなければ今日の運営はなかったでしょうから、先見の明があったと言えるでしょう。

年間300日以上・冬季を除いてSLの毎日運行をしている会社は今日も日本で唯一の存在です。

4機の個性豊かな機関車たち

C10 8

C11型が低規格路線向けとして知名度でも保存数でもメジャーな一方で、このC10型を保有・動態保存しているのはここ大井川鐵道が唯一です。

C11型と同じサイズながら、煙突横のデフレクター(除煙板)が付いていない素朴な外観は愛嬌があり、短編成の旧客列車が似合う可愛らしい外観の機関車です。

大井川鐵道で最古となる1930年(昭和5年)製造で、大井川鐵道では1997年(平成9年)10月14日より運行しています。

C11 190

長らく活躍していた九州で静態保存されていたのち、2年もの歳月をかけて復元、2003年(平成15年)に運行開始しました。

大井川鐵道としては今のところ最後の復元機であるものの、真岡鉄道のC11 325号機購入に意欲的であったように、今後は別の機関車の復元もありそうですので今後に注目でしょうか。

執筆日現在は定期点検とともにボイラーの修繕の為に入場中となっており、今後ピカピカになった姿をお目にかかることが出来るでしょう。

C11 227

大井川鐵道の復活SLとしては第一号となる、1975年(昭和55年)入線、翌年運行開始した機関車です。

現在も、4機の大井川鐵道のSLの看板車両として、ポスターなどに起用されることが多い機関車です。

SLマン・トーマス号といったイベント塗装にも積極的に登用されており、この夏季前後のお色直しもあるため、常にピカピカの外観となっています。

2018年(平成30年)には定期検査も終えた227号機。

これからも大井川鐵道の広告塔として活躍してくれることでしょう。

C56 44号機

この形式はC12型の設計を基に、炭水車を別にした中規模線区向けの機関車で、JR西日本で160号機が本線走行から引退して話題となった形式です。

この44号機は、製造後すぐに太平洋戦争の煽りでタイに転属してメートルゲージ化(1000mmレール)、終戦後はタイ国鉄の機関車として現役時代を過ごしました。

1979年(昭和54年)に日本にまさかの帰国、大井川鐵道に移籍しました。

大井川鐵道においても2007年(平成19年)〜2010年(平成22年)にはタイ国鉄仕様の外装で活躍したのち、国鉄仕様に戻されました。

JR西日本で160号機が活躍を終えたため、本線走行をするC56形蒸気機関車はこの大井川鐵道の44号機が唯一となります。

また、大井川鐵道では他の機関車に比べて一回り大きく、その構造から機関車ジェームス号としても活躍しています。

大井川鐵道のSL運行の未来

昔からSLの動態保存で有名な大井川鐵道ですが、経営についてはかなり苦しい状態です。

SL運行による行楽需要が稼ぎ頭の同社にとって大きな打撃となった要因として、2011年の東日本大震災による観光需要低下と、2013年(平成25年)に施行された高速バスの運行規制強化があります。

後者は往復400kmを超える場合は原則としてバス運転士を2名体制とする必要があり、東京エリアからギリギリ届きません(例:東京駅〜新金谷駅は道路だと片道約211km)

これにより、東京からのツアーは距離の割に運行経費が嵩むということで敬遠されるようになってしまい、SL利用者を大きく減らす障壁となってしまいました。

この経営再建のアイデアで生まれたのが、2014年(平成26年)に始まったトーマス号の運行であり、これが功を奏して家族連れの利用者を増やしています。

2015年(平成27年)には北海道でホテル事業を運営するエクリプス日高・静岡銀行などの支援により経営再建に着手しています。

しかしながら家族連れの方のニーズとしては、趣味的な価値の高い旧型客車での運行よりも親子ともに快適なエアコンの付いた客車運行が適していることが挙げられ、これは大井川鐵道が12系・14系購入に至った大きな要因と言えるでしょう。

客車購入こそ実現したものの、大量に所有しているSL関係の車両だけでなく、定期運用の電車についても整備が追いついていないのが大井川鐵道の現状であることから、今後の運営についてはまだまだ苦しいところでしょう。

2018年(平成30年)には定期運用の電車の故障と検査が重なってしまい、なんと非冷房の客車で電車列車の代走をするという珍事も引き起こしています。

また、大井川鐵道のSL運行を大きく支えていたナショナル・トラストによるSL運行もここ数年は機能しておらず、ナショナル・トラスト所有機関車であるC12 164号機も運行休止で痛々しい外観となっています。

やはり趣味的に魅力的な路線ですので、趣味人の支援を含めた経営改善に期待です。

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