【ロマンスカーミュージアム】SE車が深夜に本線走行!3000形3両牽引回送

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小田急電鉄では、2021年春に海老名駅前に開業する予定の「小田急ミュージアム」の準備が進められています。

歴代の小田急線主力車両の深夜回送が続けられていますが、2020年9月13日未明には、初代小田急ロマンスカーとして活躍したSE車3両が深夜の小田急線を走行しています。

ミュージアム建設と保存車の動向

小田急電鉄では以前より歴代活躍してきた車両が編成単位で保存されており、車両保存に熱心な鉄道会社としてファンから知られていました。

関東圏では、東武鉄道が東武博物館・東急グループが電車とバスの博物館を運営しており、車庫公開のみでしか見ることが出来なかった保存車たちを日常的に見学できる施設の開発計画に多くのファンからの期待が寄せられていました。

喜多見検車区についても相模大野の大野総合車両所に移動されて保存対象外の車両を脱車する動きがあったのち、2020年夏からはロマンスカーミュージアムの建設工事が大詰めを迎えたことで、大野総合車両所から海老名検車区へ深夜回送する動きが始まりました。

今回輸送されたのはSE・SSEの愛称で運行された3000形3両です。2020年8月17日未明にLSE=7000形・8月30日未明にモハ1形が同様の経路で輸送されており、これに続く動きとなっています。

3000形SE車では、引退時の第3編成5両がそのまま保管されていましたが、サハ3023・デハ3024の2両が2019年8月に解体されていました。今回輸送されたのは残された両先頭車と中間電動車の3両で、1000形による牽引にて運転されています。

小田急SE車といえば、デビュー前に国鉄(当時)の東海道本線で高速走行試験を実施したことのほか、デビュー後は小田急ロマンスカーの”走る喫茶室”のイメージ戦略で一躍その名を轟かせた存在です。

国鉄東海道本線では、函南駅〜三島駅〜沼津駅間の下り線にて最高時速145km/hは当時の国内最速記録を更新したことでも知られており、その個性が強すぎる設計は後年の高速鉄道開発に多大な影響を与えました。

今回の深夜輸送でも、一般的な電車構造の1000形と比べ、高速化のための独特な丸く低重心の車体形状が目立ち、小田急の個性的な車両群のなかでも飛び抜けた存在です。

“走る喫茶室”の特徴があった中間付随車を残すか、東海道本線で高速走行試験をした走行性能を誇った電動車を残すかは苦心したことと推察できますが、中間車で保存対象となったのは電動車です。

両先頭車のうち新宿方のデハ3021・デハ3022はSE車時代の前面形状へ復元されているほか、デハ3025はSSE車として5両編成での運行をしていた晩年の姿の前面形状・塗装を維持しています。

海老名検車区からは陸路での移動か

今回の輸送では海老名検車区まで低速での深夜回送となっていますが、ロマンスカーミュージアムは本線と直接線路では繋がっていない構造となっており、過去の2形式についても数百メートルの短距離ながらトレーラーに載せ替えて陸路での輸送(陸送)が実施されてきました。

今回のSE車3両についても同様の形態で輸送されるものと思われます。遠い未来に展示車両の入れ替えなどを実施しない限り、屋根のないところで車両の姿を見ることが出来るのはこの陸送が最後となります。

今後も同様の輸送か

残される展示予定車両としては、NSE=3100形・HiSE=10000形・RSE=20000形の3形式4両となります。

今回まで3回が概ね同様の形態で隔週設定されていることを考えると、残された形式についても順次輸送が進められることと予想できます。

展示対象外の車両の行く末もまちまち

今回のロマンスカーミュージアム建設にあたり、車庫用地捻出などの都合から保存車の一部が解体となったことも記憶に新しいところです。

複々線化工事の進展により車両所用数が増加したことなどもあり、保存車両のうちミュージアム展示車両から漏れた片側の先頭車・中間車の解体が相次ぎました。

これまでに保存対象から外されて解体となった車両は、先述のSE車2両のほか、通勤車2200形で2両中1両、ロマンスカーでは3100形=NSEで6両中3両、7000形LSEで2両中1両、10000形=HiSEで3両中2両、20000形=RSEで3両中1両となっています。

引き続き社内で保管されているものの、ロマンスカーミュージアムの展示車両から漏れる格好となった通勤形車両(2200形・2600形・9000形)の行く末も心配なところです。しかしながら、彼らは喜多見検車区から海老名検車区へ移動しており、屋根の元で保管されています。

車庫公開イベントなどでの展示ももちろんですが、他の博物館などでもあまり実施されていない、将来的なミュージアム展示車両の入れ替えなどにも期待したいところです。

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