伊豆急行では、2100系リゾート21のうち、R-3編成“キンメトレイン”(KIMME TRAIN)の定期検査とリニューアル工事を2021年2月ごろより実施していました。
2021年6月1日に出場試運転・10日にお披露目が実施されたのち、11日のA運用より定期列車運用に復帰しています。
ファンから経年を心配する声もありますが、当面は安泰と言えそうです。
2017年登場!キンメトレイン
リゾート21は伊豆急行と直通先の伊東線の普通列車で使用されており、全盛期は5編成が在籍していました。
山側と海側で異なる構造、赤と青のトリコロールカラーなど、斬新な外観で1986年のブルーリボン賞を受賞するなど、ファン・一般利用者の注目を浴びてバブル期の伊豆観光の魅力向上に大きく貢献しました。
今回話題となるR-3編成は、1988年に落成し、それまでのR-1編成・R-2編成と異なり走行機器を新造品としたほか、細部の構造に改良が加えられました。
東急各線で走行したのち、当初は臨時快速「リゾートライナー21」・特急「リゾート踊り子」で都心部発着の観光列車にも使用されるなど華々しいデビューを飾っています。
しかしながら、1990年にはR-4編成“リゾート21EX”・1993年にR-5編成“アルファ・リゾート21”が登場したことで、都心方面への乗り入れ運用から外され、伊東線・伊豆急線の普通列車での活躍に専念しています。
その後は2004年から2008年に200系電車とともにR-1編成からR-3編成が8000系導入により置き換えられる計画となりましたが、後にR-3編成は残存する計画に変更されたことで、幸運にも生き延びることとなりました。
その後はR-1,2編成が除籍済・R-5編成はクルーズ列車“THE ROYAL EXPRESS”(ザ・ロイヤル・エクスプレス)として使用されており、現在普通列車で活躍しているのはR-3編成・R-4編成の2本となっています。
2011年にはリニューアルとともに“リゾートドルフィン号”として100系のハワイアンブルー塗装となり印象が変わりました。
そして、2017年に現在の“Izukyu KINME Train”(キンメトレイン)として赤色の塗装隣、沿線自治体とともに伊豆名産の金目鯛のプロモーション車両として活躍していました。今回は現行塗装で初めての定期検査通過となります。
早々に特急「リゾート踊り子」の使命を解かれたR-3編成ですが、2019年にはJR東日本の熱海駅を超えて東京駅・横須賀駅へ一度ずつ入線しています。およそ四半世紀ぶりの入線となったものの、同系車両が頻繁に都心部へ乗り入れており、大きな話題とはなりませんでした。
ロゴマーク・屋根塗装……外装も変化
今回の定期検査では、従来グレーに塗装されていた屋根上・白に近いライトグレーで塗装されていた冷房装置についても赤一色に塗り直され、伊豆高原駅や俯瞰撮影のような上から見下ろすアングルだと印象が様変わりしています。
細部では、前面のIzukyu KINME Train・Resort21のロゴマークがなくなってスッキリとした印象となっている一方で、側面には新たにイメージキャラクター「ニツケちゃん」をモチーフとしたロゴが加わっています。
利用者目線では、R-4編成同様にコンセントが増設されるなど、観光客にとっても嬉しい車両となりました。
それ以外のかわいいシートモケットなどは健在で、より魅力的な車両となりました。
2021年改正で運用は微減
リゾート21の定期運用はA運用とB運用と通称される運用があり、A運用は所定がリゾート21・B運用は所定が8000系6両とされています。
2021年3月のダイヤ改正では、午後〜夕方のダイヤ移行時間帯に伊東〜伊豆高原駅間1往復相当の運行本数が減らされており、これに関連してB運用夕方に設定されていた伊豆高原〜熱海〜伊豆高原駅間の往復の運用が減少しています。
8000系についても運行本数が減少していることから、全体の走行距離バランスを加味しての判断と推察できます。
走行距離を抑制することで検査までの期間を伸ばし、延命措置とも捉えることができます。
当面は安泰か
前回定期検査を施工した“黒船電車”に続き、コンセント設置などのリニューアルが施されたR-3編成。
2019年にはR-4編成“黒船電車”についても同様のリニューアルが施工されており、当面は伊豆急行の看板車両としての活躍に期待が持てそうです。
特にこのR-3編成については、8000系導入時点で置き換え対象とされていた車両だけに置き換え中止から10年以上も活躍し続けている点は意外にも思えます。
伊豆急行ではファンの間で新形式の導入がかねてより噂されているものの、先の置き換え対象はリゾート21ではなく8000系となりそうです。
リゾート21は河津桜まつり開催期間中の運用が外されるなど年々活躍の場を狭めており、今後の去就が心配される最中でした。相次ぐリニューアルと走行距離の変化などから、当面は安泰と言えそうです。
2019年から2020年の特急車両世代交代で多くのファンが足を運んだ伊豆急行線。2021年も新たな話題でファンを楽しませてくれそうです。
コメント