JR東日本との直通運転もすっかりお馴染みの存在となりましたが、その裏では在来車の世代交代が進められています。
7000系に続いて新7000系の廃車が進められていましたが、まだまだ若いイメージの8000系にも遂に置き換えの波がやってきました。
4月16日夜にかしわ台車両センターから陸路にて先頭車が搬出されています。
同時期製造なのに別形式?相鉄の新しい顔として登場
相鉄8000系は、1990年から1998年にかけて13編成が製造された
1993年から2001年にかけては9000系が導入されており、同一線区・同一用途の車両が別形式で並行導入されるという、極めて特徴的な車両導入を進めた点が彼らの特徴となっています。
彼らの違いは8000系は日立製作所・9000系は東急車両製造(現在の総合車両製作所)がそれぞれ開発・製造を手掛けた点で、長期間の並行製造となったため、両形式とも年次差が多く発生しています。
車体塗装も前面はアシンメトリーの色配置、側面は当時の相鉄の赤色と白帯を交えた独自のデザインが両形式異なるデザインで採用されています。
両者とも従来の相鉄車の設計を強く反映しており、ディスクブレーキ・直角カルダン駆動・客室窓も油圧式パワーウィンドウなどを継承しています。
ヘッドライトも特徴的で、JR東日本の651系・251系・E351系といった特急型車両や、公団9100形などと同様に前面ヘッドライトを中央部に集約した当時流行のデザインとなっています。
(参考)8000系と9000系の年次別製造数と変化
製造年 | 8000系 | 9000系 | 年次変化 |
1990 | 8701×10 | ||
1991 | 8702×10 8703×10 | ||
1992 | 8704×10〜 8706×10 | 9701×10 | 運用番号表示器マグサイン化 |
1993 | 8707×10 | 9702×10 | 車椅子スペースを8000系にも |
1994 | 8708×10 | 行先表示器LED試験採用 補助電源装置にSIV採用 | |
1995 | 8709×10 | 9703×10 | 行先表示器LED採用 |
1996 | 8710×10 | 9704×10 9705×10 | 車内案内表示器変更 |
1997 | 8711×10 | 内装レイアウト小変更(8000系) | |
1998 | 8712×10 | シングルアームパンタ | |
1999 | 8713×10 | 9706×10 | 8713Fは3000系の事故代替で追加発注 ドアエンジン変更 |
2000 | 新規製造なし | ||
2001 | 9707×10 | 以降は10000系に移行 |
経年29年・早すぎる廃車
最近は具体的な計画は明らかにされていないものの、12000系・20000系の投入予定数と、昨今の車両リニューアルの進捗から、8000系・9000系ともに1992年製までの初期車が置き換え対象(2016年ごろの複数商業誌に掲載されていた計画)から大きな変更なく進展している模様です。
既に大規模リニューアル・YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)への塗色変更が施工されている9000系では9701×10のみが対象外となっており、8000系についても床下機器更新が8708×10以降を対象で施工済ですので、特別事情が変わらなければ計画変更は今後もなさそうです。
新横浜線が大当たりで大盛況・運用数が想定より急増……となれば延命される可能性も捨てきれませんが、現時点では考えにくいところです。
残存している新7000系のほか、8000系6編成・9000系1編成が当面の置き換え対象となりそうです。
特に8000系初期車はこの計画が決まる直前までドア交換・行先表示器交換などもされており、2000年代〜2015年ごろまでの二転三転した計画変更に振り回される格好となりました。
今回の8702×10ですが、3月に中間車2両だけが先に搬出されており、引退まで暫定的に8両編成として使用するのではないか?という噂もファンの間で飛び交いましたが、4月16日に先頭車が搬出されたことで編成単位の廃車が確実になりました。
先輩たちと同様に、最後は陸路にて搬出・千葉県の解体業者まで運び込まれています。
編成単位の廃車自体は2例目?
相鉄8000系を語る上で外せない車両として、8707×10の存在は外せません。
2004年に湘南台駅にて保線用車両と衝突事故が発生してしまい、損傷の大きかった上り側2両が2006年半ばに解体されています。
残された8両の処遇に注目されましたが、こちらも同年末に全車解体となってしまいました。
製造から11年弱というあまりに短く、鉄道車両の減価償却期間である13年を待って解体されてしまった若きエース。ファンからは驚きの声が大きかった印象です。
この代替として登場したのは当時製造されていた10000系10708×10編成です。
代替が自社設計を捨てた10000系だったこともあり、当時の相鉄ファンにとっては残念がる声が大きかった置き換えとなりました。
当初計画外の新造となったため、末尾1,2は10両編成・それ以降は8両編成という付番の後、ラストナンバーとして登場しています。
もし代替新造がされていたら・もし残された8両で運転台設置改造で復活させていたら・後継車両も独自設計だったら……などと考えると、やはり全車両があっけなく解体されてしまったのは、不運だったことには違いないでしょうか。
今後は20000系新造へ移行
相鉄ではしばらくの間、JR線直通運転に向けた12000系の製造が続けられてきました。
今後は東急線直通・新横浜線全線開業に向けた20000系が順次落成・置き換え対象車両の代替を進めていくこととなります。
JR線との直通運転前夜、1編成だけが先行投入されて人気を集めていた20000系・20101×10が事故に遭って以来運用を離脱していましたが、最近修繕が完了した模様です。
8000系既存車も残存編成はリニューアルでYNB化がされていくほか、JR設計・E231系世代の10000系にも機器更新の動き(関連記事)が始まりました。
8000系・9000系のような完全な並行製造とはなりませんでしたが、外観を似せた2形式が新たな看板車両となる構図は、まさに相鉄の世代交代……といったところでしょうか。
今後は12000系・20000系を中心とした輸送体系に順次移行し、相鉄の新時代の動きが本格化していきそうです。
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