【東武】SL大樹C11-207に続き2機目を導入?どの機関車?なぜ?

スポンサーリンク

東武鉄道から、かねてから噂となっていたSLの2機目の導入が正式に発表されました。

東京スカイツリー開業からどんどん挑戦的な施策を取り入れている東武鉄道ですが、今回も挑戦的です。

なぜ2機目の投入に至ったのか、そしてどの機関車が選定されたのかをまとめてみました。

東武鉄道のSL復活運行にまつわる歴史

東武鉄道自身のSLの歴史は長く、特に関東私鉄では珍しく貨物輸送を晩年までやっていた会社でした。

といっても東武鉄道から蒸気機関車がなくなっからははんたのは昭和41年で半世紀近く経過していました。

日本有数の観光地、日光・鬼怒川エリアへの観光需要の呼び起こし・地域振興の一環として、SL復活運転という挑戦に挑むことが発表されました。

鉄道産業文化遺産の保存と活用、地域振興という鉄道会社としての誇りに懸けたこのプロジェクトは、多くの同業他社の支援も受けて行われ、東武鉄道の同業他社とのつながりの強さに驚かされるエピソードともなっています。

SLはJR北海道(貸出)、後部補助のディーゼル機関車はJR東日本、客車にはJR四国、車掌車はJR貨物とJR西日本、転車台はJR西日本。

機関士の養成にはSL復活運転の実績があった秩父鉄道・大井川鐡道・真岡鉄道。

これだけの大規模な挑戦をする会社は過去にも先にも出てこないだろうという衝撃の発表となりました。

現在活躍中のC11 207号機

この機関車は1941年12月26日・日立製作所笠戸工場(折しも現在の東武50000系・60000系を製造した工場です)にて製造、現役は全て北海道でした。

1974年の廃車後は北海道日高郡静内町(当時)にて静態で余生を過ごしていましたが、2000年に動態保存に復元、北海道の雄大な景色を再び駆けることとなりました。

JR北海道で長らく蒸気復活運転に使用されていましたが、ニュース等で話題となっている通り、最近はとても観光列車を走らせている体力がありません。

苦しい思いをしているところに白羽の矢が立ちました。

C11形はもともと低規格=ローカル線での活躍を目的として小柄な車体で、JR北海道のほかにも真岡鉄道と大井川鐡道でも活躍しています。

特徴的なカニ目と呼ばれる2つのヘッドライトを輝かせて鬼怒川線の急こう配を走ります。

機関車の活躍を支える数奇な運命の車両たち

このプロジェクトに際し、客車や車掌車、ディーゼル機関車、転車台が全国から集まりました。

出白が個性的なものも多いです。

JR四国から譲渡の客車・トップナンバーでJR東海在籍!?

14系客車は国鉄が製造した急行用客車で、客期の波動輸送などで活躍していました。

国鉄分割民営化でJR東海に継承されたのち、JR四国に譲渡されて臨時快速ムーンライト松山・高知として活躍していました。

同列車運転終了後は香川県の多度津工場で何年も放置され、このまま解体かと思われた矢先の大抜擢です。

スハフ14-1,オハ14-1,オハフ15-1という、本来ならJRグループの博物館に収容されそうなトップナンバー、大手私鉄の東武鉄道で国鉄時代の内装にリメイクされて活躍しています。

営業運転には使用されていないものの、12系客車が2両、運行開始後のJR北海道から14系客車4両も追加で調達していることから、今後様々な運行に期待が集まっていました。

12系客車もJR四国時代にグリーン車オロ12として改造されている特殊設備と窓が開くという構造から集客力もあるので、活躍に期待したいところです。

DE10 1099 知る人ぞ知る不思議な機関車

DE10 1099号機は国鉄からJR東日本に継承されていました。

この機関車の特徴は、近年は大宮工場=現・大宮総合車両センターの入れ替え機関車として双頭連結器を装備していたり、普段工場から出ないことから、おふざけでお召し機関車風の銀差し塗装がされていたりしていました。

大宮工場公開での展示機関車の入れ替えで年に1回注目を浴びる程度の地味な機関車でした。

まるで車籍のない構内機関車かのような扱いを知る世代のファンなら、ヘッドマークを掲げて私鉄を走るなど信じられないです。

ヨ8634 ナンバーで選ばれた?幸運の車両

ヨ8000形は貨物列車の車掌車として登場しました。

今でこそ珍しい貨物列車の車掌車ですが、コンテナ輸送が主力となる前は当たり前の存在でした。

下三桁が【634】のヨ8634がスカイツリーの高さと同じということで東武鉄道で第二の人生を歩むこととなりました。

この車両には保安装置(ATS)をSLの代わりに搭載する為に連結されています。

独特の編成に当初は疑問の声もありましたが、今となってはすっかりSL大樹らしい姿としてなじみましたね。

東武鉄道2機目導入の背景

関係者の多大なる努力により無事に運行を開始した東武SL大樹。

大成功を収めた、と判断される前に、C11-207号機の持病であった調子の悪さに手こずっていました。

また、そもそも、南栗橋や下今市に新たに建設した設備群や関係者の発言から、複数機での運行体制が想定されているという説が有力でした。

SL大樹の商標登録時、東武鉄道はほかにもSL葵・SL轟という商標も取得しています

これが複数列車としての運行時の名前なのか、検討段階での案だったのかわかりませんが、運行開始後に4両の客車を調達しています。

客車の出物が少ないことから確保できるうちに……という推測が大きかったところに、東武鉄道の中長期計画でSLの2機目の検討・会津方面への運行の検討といった文字が並び、これが確実視されるようになりました。

そしてついに、正式なアナウンスがされました。

予想通りの動きではあったものの、やはりファンとしては嬉しく思います。

特に筆者はスカイツリー開業前の地味な東武鉄道沿線出身ですので、スカイツリー開業後のイケイケな東武鉄道の動きはとても魅力的に感じます。

気になる2機目はどんな機関車?

東武鉄道からは、北海道で静態保存されていたC11形機関車の動態復元と発表されています。

静態保存されていた機関車を動態復元するのは大手私鉄では初の事例となり、東武鉄道の経済力とチャレンジャー精神には脱帽です。

具体的な番号については触れられていませんが、江若鉄道(滋賀県)発注のC11-1号機(国鉄の同番号とは別)だそうです。

同機は湧別炭礦鉄道・釧路開発埠頭と北海道を渡り歩き、日本鉄道保存協会によって保存活動が行われていました。

復元は20年冬を目標としており、東武鉄道の技術力が集う南栗橋のSL検修庫内にて行われる模様です。

東武鉄道の野望は?

今回の選定にあたり、東武鉄道としては、現在使用中のC11形のノウハウを生かすべく同型機を探していたと推測されます。

今回の投入後は、通年運転のほか、他線区でも走らせられると発言があり、期待が高まります。

そして、SLの技術力向上を含めた動態復元プロジェクトでしょう。

となると、ファンとしては、東武博物館にて静態保存されている東武ゆかりの5・6号機の復活に期待が強まります。

本プロジェクト以前にもこういった計画が立ち上がったという話もありますので、ゆくゆく上手くいったら手がけてほしいところです。

SL大樹号はプラレールでも製品化!

動画資料集

YouTubeチャンネル【鉄道ファンの待合室資料館】にてこの列車についての動画を公開しています。

チャンネル登録・通知ON・コメント・評価もお願いします。

おすすめ記事はこちら

コメント

  1. 関 圭輔 より:

    大手鉄道模型会社KATO(関水金属)が東武鉄道とJR四国が新規参入でNゲージで製品化されるので(JR四国は製品化済み)SL.ディーゼル機関車.14系客車(JR四国仕様)も近い将来製品化されることに期待したいです。