東京メトロ日比谷線で置き換えが進んでいる03系ですが、熊本電鉄に続く2例目となる譲渡先として北陸鉄道に向けて03-129F,139Fの譲渡甲種が行われます。
東西線深川検車区ではこの他にも03系が多数疎開されており、今後も多くの車両の譲渡が行われる模様です。
日比谷線の置き換え状況
日比谷線と乗り入れ先の東武スカイツリーラインでは、既存の18m級車両がホームドア設置の障壁となることが課題となっていましたが、これを18m級8両編成から20m級7両編成に改めることで解消することとなりました。
このために製造されているのが東京メトロ日比谷線用の13000系と、東武スカイツリーライン用の70000系です。
置き換えとなる車両について、東武鉄道は東武宇都宮線などの老朽化した8000系置き換えに使用している一方で、自社線内に同規格の路線がない東京メトロでは廃車となっています。
しかしながら、3ドア車両の先頭車・中間車の一部が東西線の深川検車区行徳分室に順次陸路にて運び込まれており、今後の動向が大きく注目されていました。
北陸鉄道譲渡を巡る動き
北陸鉄道では、石川線(架線電圧600V)と浅野川線(同1500V)の2路線を営業しており、車両の行き来はありません。
石川線では元東急7000系が2両5編成と元京王3000系が2両1編成、浅野川線では元京王3000系が2両5編成在籍しています。
北陸新幹線の開通前には年間1億円程度あった赤字経営について、北陸新幹線開業後に存続を検討するとしていましたが、車両更新を行うことが安全報告書などから判明しています。
そして、2019年初めの運賃改定申請にて、浅野川線の車両更新を行うことが明らかになっています。
この譲渡車両について、以前から東京メトロ03系なのではないかという推測が多く出ていました。
今回の甲種輸送により、多くのファンの予想通り、今後は北陸鉄道にて2両編成として運行されるものとみられます。
この03系について、同じ1500Vの浅野川線に行くのではないかという意見や、富山県・伏木のリサイクルセンターに搬入された02系中間車の電装品(600V)と合わせて石川線に行くのではないかという意見もあり、今後の投入本数・路線については公式発表を待つこととなります。
なお、両路線とも03系での置き換えとなった場合は最大で11編成前後の大規模な車両更新となります。
他に03系を狙っている会社はどこ?
既に運用入りしている熊本電鉄、今回譲渡が明らかになったと言われている北陸鉄道のほかに、今回の03系を購入するのではないかと言われているもう一つの私鉄が長野電鉄です。
以前にも東京メトロ=当時の帝都高速度交通営団から日比谷線の先代3000系を購入した実績があります。
この3000系の経年劣化はもちろんのこと、置き換え用に購入した東急8500系6編成が登坂能力の関係で現在も一部区間で使用できないという運用制限も発生しています。
同時に放出される東急8500系と東京メトロ03系。
どちらも譲渡前と見られる動きがありますので、どちらを選択するのか、はたまた運用線区を分けつつ両方購入となるのか。今後注目となりそうです。
地方私鉄が03系を狙っている理由は?
03系は地方私鉄にとってかなり良い出物と言われています。
主な理由としては、関東では珍しい18m級かつ1067mmという基本構成であること、短期間に大量の廃車が発生するため複数まとめて購入出来ること、アルミ車体で無塗装・軽量であることなどが挙げられます。
同時期に廃車となっている他社車両としては、こちらも譲渡前と見られる動きのある東急8500系が挙げられ、こちらには電装工事という改造費用がいらないというメリットこそあるものの、車体長から譲渡先の選択肢が減ること、そもそもの車齢が高いことなどのデメリットも見受けられます。
既に東急1000系を手にしている福島交通や上田電鉄、一畑電車などを除くと、電装工事費用を考えても長く確実に使える小型車としては最も良い出物と言えるでしょう。
関東で小型車両を使っていた京王井の頭線や東京メトロ日比谷線では車両の大型化がされているため、小型車両の廃車は今後少なくなりそうです。
今これらの車両を見送ると、次にこの規格の車両の廃車が発生するのは、それこそ日比谷線から転用されたばかりの東急1000系列や東武20400系列まで出てこない可能性もあることから、東急7000系列・京王5000系列以来の大量譲渡となるかもしれません。
養老鉄道が東急7000系列を経年80年程度まで使用するという攻めた動きもある一方、新車を購入する体力がない会社が多いのも現実です。
今後の地方私鉄各社がどういった車両更新をするのか、引き続き注目です。
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