2021年8月7日に後継車両となる18000系がデビューした東京メトロ半蔵門線。
週明けの9日より早くも、置き換え対象の8000系のうち8107Fが鷺沼検車区から東武鉄道の渡瀬北留置線(北館林荷役所)へ“廃車回送”が実施されています。
3編成が落成した18000系
東京メトロでは、半蔵門線で活躍していた8000系19編成の置き換えのため、2020年度より新型18000系の導入を進めていました。
2020年10月にはトップナンバーの18101F・12月に18102Fが落成し、乗り入れ先を含めた試験・訓練が続けられてきました。
2021年7月にはデビューを目前にして18103Fが落成したのち、8月7日より18101Fの営業運転が開始されました。
解体は東武鉄道の北館林で
18000系の導入準備とともに代替される8000系の“終活”の準備も進められていました。2021年5月28日の終電後、8000系8107Fを使用した試運転が東武伊勢崎線・佐野線経由で渡瀬北留置線まで実施されていました。
同所は貨物輸送を行っていた時代の跡地を活用した東武鉄道資材管理センター北館林解体所があり、東武鉄道以外にも関東一円の鉄道車両解体を幅広く手掛ける電車の“墓場”のような場所です。
東京メトロでは路線ごとに異なる場所に搬出されており、最近では丸ノ内線02系は富山へ・有楽町線の7000系は千葉へトレーラーで輸送されています。
そして、東武鉄道と線路が繋がっている日比谷線03系では、自走回送で渡瀬北電留線まで回送されたのち、譲渡予定車両をトレーラーで東京メトロの検車区に戻す動きとなっていました。
この試運転により、同所での解体が確実視される状態となっていました。
最初の廃車回送となった8107F
今回の半蔵門線8000系についても、東武本線に直接接続しているメリットを生かして、自走での廃車回送となりました。
最初の廃車となったのは検査期限が最も近かった、8107Fの10両です。
1982年に永田町から半蔵門への延長で増備された8両と、全編成10両化のために1994年に増備された、東西線05系の設計を反映した中間車2両で、凹凸のある外観が目立つ編成のうちの1つでした。
また、3色の行先表示器・パッとビジョンと広告用ディスプレイの併設となっていました。
到着後は早速作業が開始され、東京メトロのシンボルマークと、その下に残されていた紫色の営団ロゴマークが外されている姿も確認されています。
帝都高速度交通営団の車両として生まれ、民営化後に世代交代ペースが上がっても全車両が健在だった8000系。長津田から搬入されて館林で解体と、半蔵門線の歴史がつまった車両らしい“最期”となりました。
今後も検査順序に倣って置き換え進行か
当初は2022年度までに19編成導入するとしていた18000系ですが、昨今の減収により設備投資計画の見直しがあったため、2025年度まで3年延期となっています。
東急電鉄の田園都市線所属車両で3.5年程度・それ以外の2社は4年程度で周期しています。
8000系は車齢のバラつきが大きい形式ですが、2021年度から2025年度までの4ヵ年であることを考えると、車両投入時期を調整することで“検査切れ”のタイミングで廃車となる動きが想像できます。
検査明けの美しい姿を見ることは難しそうにも思える一方で、年度ごとの投入本数を平すと2023年前後の検査対象車両が多く、08系の大規模修繕が進行することも加味すると1〜2編成程度は定期検査を通過する動きは否定できません。
今後の検査の有無こそ断定できないものの、直近で検査を受けた8104Fや8106Fが晩年まで活躍することとなりそうです。
最近の事例だとJR東日本横須賀線・総武線快速のE217系の置き換えにも当てはまりますが、車齢が若い車両が先に置き換えられ、経年車が晩年まで残る……という、一見すると不可思議な置き換え順序ですが、この辺りは大量投入が可能な、体力のある事業者ならではの動きとも言えそうです。
2021年度に4編成が投入されることを考えると、後年まで使用する車両を休ませつつ検査が近い車両をギリギリまで走らせるといった調整も考えられます。
少なくとも、2021年度に4編成の投入が予定されていること・18000系が3編成体制となり車庫内を圧迫していることを考えると、検査期限順序で最も早い8111Fの置き換えは比較的早い段階で行われそうです。
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