東急大井町線の有料着席車両として登場したQ-SEAT。
慢性的な混雑が続く東急線では初めてとなる着席整理券発売の列車ですが、当初の計画にはなかった6000系の新造車が甲種輸送にて姿を現しました。
経緯を探るとともに、余剰車の組み替えについて考えます。
Q-SEAT登場の経緯と6020系への組み込み
東急電鉄では、田園都市線の慢性的な混雑の打開策として、大井町線の延伸による複々線化などの大井町線利用促進を続けています。
品川方面からの通勤利用客が平日夜に座れるサービスとして、このQ-SEATが新たに登場しました。
大井町駅始発の平日下り急行5列車(19:30から概ね50分〜1時間に1本ペース)の3号車にて運用されることとなっており、好評を博しています。
車両としては、前年度に新製したばかりの東急6020系が選ばれました。
これは、東急6020系が田園都市線にて増備が進んでいる2020系と共通設計を多く取り入れていたため、組み替えで余剰となる6321号・6322号(初代)を2020系に転用することが出来たためです。
登場から1年で置き換えるあたりはさすが東急電鉄といったところですが、5000系列のような番台ごとの車体設計や内装デザインなどの違いをほとんど作らず、なるべく共通化しておいたことが早速役に立つ格好となっています。
ここまでは順調ですが、2編成しか製造していない6020系でのQ-SEAT運用が2運用となり、予備車がないことが懸念となっていました。
そのため、6000系6編成のうちの1編成については、内装の改造工事によってQ-SEATを設置する計画であったことが以前報道されています。
組み替えと6000系余剰車の転用は?
今回製造された3代目の6301号・6302号は、7両化の際に組み込まれた2代目の6301号・6302号の代わりに挿入されることとなるでしょう。
どちらかの編成の使用を開始しないと6020系2編成・2運用という綱渡り状態が解消されないため、組み替えも比較的すぐに行われるものと推測できます。
そして、当初の改造計画とは異なって2両の新造となっていることが大きく注目されていますが、これが4編成配置・2運用となるのか、増発を目指しているのか、はたまた急行用全編成に組み込みを目論んでいるのか……転用計画が明らかになっていないので、続報に注目です。
そして、気になるのは余剰となる2代目の6301号・6302号ですが、5000系列の今後の大きな動きとしては目黒線用5080系の増結の動きが挙げられます。
東急6000系は5080系をベースとしており、5000系列の中でも搭載機器のメーカーまで共通しています。
もちろん5000系を5050系に転用したり、4000番台で異なるVVVFインバーター制御装置を使用している例もありますので偶然という面もありますが、目黒線の増結の動きがあったからこそ6000系Q-SEAT車は新造で賄う運びとなったはずです。
田園都市線5000系の6ドア車の廃車発生品を多く流用したこの2代目の6301号・6302号、実現すると6000系から5080系となり、部品単位で見ると田園都市線→大井町線→目黒線と転用されている格好です(車籍上の繋がりはありませんが)。
乗り入れ路線を含めると、この車両の生い立ちや経歴は複雑そのもので、東急5000系列ならでは……いや、東急電鉄ならではの転用劇と言えるでしょう。
コメント
車両組み替えが、かなり迷走していますね。