鉄道撮影のなかでも多くの方がチャレンジをされている編成撮影。
珍しい列車が走る有名なお立ち台では、高いカメラとともにゴツい三脚が大量に並ぶ光景が頻繁に見られますね。
写真趣味のなかでも鉄道写真では三脚ユーザーが多い理由と、撮り鉄に向いている三脚を考えていきましょう。
以前執筆した、撮り鉄がなぜ高いカメラを買うのかを記した記事も多くの反響を頂きました。合わせてどうぞ。
※ マナー論とは全く別の、写真技術の記事です。エントリーモデル以上のカメラを握ったことがある方をメインターゲットに記しています。駅構内の三脚使用可否などは会社により異なる(大手では禁止がほとんど)ほか、沿線での利用についても周囲の迷惑にならないのは大前提ですので、本記事のフォローの範囲外であることをご理解の上で読み進めてください。
鉄道撮影で三脚が役立つ理由は?
まず、鉄道撮影以外の世界に目を向けてみると、写真を趣味としている方の多くはカメラを首からぶら下げて旅行に行く……といったイメージでしょうか。
日常の何気ない景色をカメラに収めるために三脚で画角を定めて……なんてしませんよね。
写真全体で三脚を頻繁に使用する分野としては、星空や花火の撮影と並ぶくらい利用者が多いイメージのある鉄道撮影。
三脚は無くてもいい写真は撮れる!という意見や、三脚持たずに編成撮影なんて……という意見など、こちらも撮り鉄の中でも意見が割れるところかと思います。
しかしながら、雑誌掲載実績などもある有名な撮り鉄さんのほとんどは三脚を持ち歩いています。
これには三脚を使わないでも良い写真が撮れる場合もあるけれど、三脚があった方が確実に良い写真が撮れるシチュレーションが多い明確な理由があるはずです。
今回はこの理由について、例を添えつつ考えていきます。
事前に画角が定められる
作例だと、ロクマルとしてのベストな切り位置で撮った一方、主役のデゴイチに架線柱が重なるのはイマイチな感じです。
この記事では編成写真をターゲットにしていますので、事前にやってくる列車の両数・パンタグラフの位置・周辺の障害物の確認あたりをされることになるかと思います。
つまり、決まった画角の中にやってくる列車をベストのタイミングで収めるのが重要になってきます。
これらの諸条件を達成するには、三脚でカメラを固定しておくのが一番シンプルな対処法です。
手持ちで水平に・トリミング不要の編成写真をしっかり出来る技術は素晴らしいと思いますが、三脚で解決するならばそちらの方が確実でしょう。
「ピン甘」回避にも有効
また、近年のカメラではオートフォーカス(AF)がどんどん高精度になっていますが、鉄道写真においてマニュアルフォーカス(MF)を使用する人も依然として多い印象ですね。
これは構図やピントを既に定めておいて、理想の位置にお目当ての列車が来た瞬間にシャッターを押せば理想の写真になるという鉄道写真にはもってこいの方法です。
AFが予想外のところにいってしまい、お目当ての列車のピントが甘くなってしまうという経験をされた方もいらっしゃると思います。
特に交通費・時間をかけて遠方の撮影地に行った場合、この失敗はかなり痛いものとなるでしょう。
このリスク1つだけでも三脚の利用価値はあるとも言えそうですね。
珍しい列車=ネタものの列車の撮影となると、撮影地によっては狭いキャパシティの中に多くのファンが詰めかけることもしばしば。
こういった場合に、撮影地のキャパシティを最大限に活用するなら、各々が画角を定めて譲り合って撮影するのが最適です。
そのため、構図を定められる三脚の存在は重要なものとなってきます。
近年はハイアングル・被り付きがトレンド?
近年はいわゆるハイアングルを好むファンの方も多いですね。
このハイアングル趣向は特に近年顕著に感じますが、これは沿線各所にタイガーロープの設置が行われているのが大きな背景でしょうか。
保線作業を行う際に、作業の反対側の線路にはみ出さないように複線以上の線路で設置がされているものですが、これが鉄道撮影においては台車周りの障害物となってしまいます。
これを避けるのに手っ取り早いのが、ハイアングルです。
見下ろす構図となるため、ロープが相対的に下の方に行くため目立ちにくくなります。
この他、混み合っている撮影地では先客の後ろからでも構えることが出来るため、お目当ての列車の追っかけ撮影のような、通過直前の到着となる場合にも重宝します。
これらのハイアングルでは踏み台・脚立を併用することとなるので、画角をしっかり定めたい編成撮影では三脚も併用される場合が非常に多くなってきます。
また、近年は一眼レフで主流な3:2のアスペクト比に合わせて上下左右が満遍なく収まっている写真が好まれる傾向にあります。
昔からカメラを握っていた私の世代では、甲種輸送や配給輸送のような機関車よりその後ろが珍しい列車では、側面が目立つように写真を撮られる方が多かったです。
最近はこういった写真を紐アングルなどと言われることもあるようで、これはSNSの発展でいろんな写真を簡単に見比べることが出来る世代の方々ならではかもしれませんね。
線路に寄った写真では、画角の調整はより難しくなってきます。
上下左右を満遍なく入るようにしつつ、被り付きの画角をきれいに収めるのは高い技術といわゆる練習電を生かした調整が欲しいところ。
そして、望遠での撮影は微調整が大変なほか、
これを実現するためには、やはり三脚で画角を定める方が有利になってきます。
夜間の撮影では必須アイテム
ここ数年までは、主要駅で珍しい列車の長時間停車では、三脚のひな壇構成が当たり前でした。
夜間の撮影では、シャッタースピードを遅くする=長時間露光をすることで暗い場所でも綺麗に撮影することが出来ます。
秒単位で露光をしている写真を手持ちで撮影することはほぼ不可能です。
ここ数年は三脚禁止の駅も増えてきましたが、昔から夜間に走る珍しい列車には三脚担いて撮影に臨まれるファンは多く存在していました。
三脚を持って撮影に行くメリット・デメリット
編成撮影での失敗リスクを大幅に減らせる・水平で理想の構図でしっかり撮れるといったメリットをたくさん取り上げましたが、デメリットももちろん存在します。
学生の方を中心に多く見かける、駅構内・駅先ではほとんどが三脚禁止となっているという点が最大のデメリットでしょうか。
普段は駅先なんかじゃ写真撮らないよ!という方でも、時間的制約で撮影地の選択肢が限られている場合や、京葉線のように沿線撮影地が皆無な路線(千葉みなとの千葉ポートタワー俯瞰くらいでしょうか)ではどうしても駅先撮影となってきます。
そのほか、やはり機動性に欠けることもあり、基本的には車移動をされる撮り鉄さんが多くなってくるのも納得でしょうか。
撮り鉄に向く三脚はどれ?
撮り鉄向きの三脚選びですが、こちらもある程度用途が決まってくる以上、選択肢を絞ることが出来ます。
まず、カメラ編でも記していますが、撮り鉄のみなさんは望遠レンズの登場頻度が高くなってきます。
カメラと一緒に動画を回したり、フィルムとデジタルを併用したりと、1つの列車を複数機材で撮るという楽しみ方をされる方も多いでしょう。
これらを踏まえると、重量にしっかりと耐えられる三脚が欲しいところですね。
そして、先述のように、ハイアングルでの撮影という機会は他のジャンルで一般的な分野ではないため、対応する三脚は案外少ないものです。
この2点を基本として考えていくと、沿線で多く見かける三脚の種類は案外少ないとも言えそうです。
撮り鉄に大人気のカーボン三脚
三脚の安定度あいが重要なことは先述の通りですが、三脚の安定度は自重以上にパイプ径が関わってきます。
基本的には重い三脚が安定しやすくて、軽い三脚は持ち運びが便利と真反対に位置します。
そのなかで、パイプ径が太い割には軽量なカーボン三脚が近年台頭しており、特に電車移動をされる若い撮り鉄の方にはおすすめ出来ますね。
ベテランの方でも最近はカーボン三脚を使用する例が多くなってきました。
難点としては、少しずつ安くなってきたものの、やはり高価な買い物になってしまう点でしょうか。
いい三脚買う前にいいレンズが欲しくなるでしょうし、その前に腕を磨いたら?という意見もありそうです。
上記2つを達成した後に欲しいカーボン三脚として、最近発売の下記のものがおすすめです。
・SLIK ライトカーボンE93
三脚大手SLIKさんの最新作です。
高さ2m超えが可能で、メーカー公式ホームページで「鉄道などの撮影にも最適」と記しているくらい、ハイアングル頻発な撮り鉄さんを意識してくれた嬉しい設計となっています。
同時リリースの4段のE94は高さ1.99mまでですので、4段三脚の魅力である持ち運びの利便性とのバランスはお好みになりそうですが、少なくとも車移動でライトカーボンの三脚を検討する場合はやはりこちらのE93でしょう。
重さと機能性のバランスも良いですので、多くの撮影地で役立ちそうな期待の新作です。
結局ハスキーが一番人気?
どうしても機材マウントを取る風潮が抜けない撮り鉄業界。人気ブランド「ハスキー」への憧れはやはりありますよね。
カーボン三脚を超える金属製の安定度は、重量機材を山積みで撮影する撮り鉄の憧れ的な存在でもありますね。
ただし、重量が相当なものになってきますし、使いこなす用途からはカメラやレンズも重たい方に限られると思うので、車移動が基本の方にしかおすすめ出来ないものになります。
この重量感が大事になるシチュレーションはあまり多くないので、ほとんどの撮影地ではカーボン三脚の同径種で対応出来ることを考えると、電車移動・普段使いには明らかなオーバースペックです。
そのなかでも、車移動が主であれば、高さのスペックが嬉しいハスキー5段が選択肢としては最有力でしょうか。
金属三脚ならではの、大きさの割に意外と高くない(それでも安いカメラ1台買えてしまう金額ですが)のも嬉しいポイントですね。
コメント
【次世代撮り鉄】銀箱は古い?カーシェア急増?撮り鉄事情の今昔6選 _ 鉄道ファンの待合室
https://train-fan.com/toritetsu-imamukashi/
でもコメントさせて頂きましたが、
三脚については鉄道会社がかなり神経をとがらせているので、
三脚での鉄道の撮影は実質不可能であることを鑑みて、
迷惑行為の加担にならないようにこのページはすぐに閉じるべきです。
「手持ちじゃだめ?」ではなく、
現実には「手持ちで我慢して撮影しろ!!三脚の使用は絶対に許さない!!」なのです。
この記事は”撮り鉄叩きの自粛警察”が喜ぶだけです。
以下のTwitterより
https://twitter.com/Tokipate_Fe/status/1307247368690040832
>他方、大都市以外ではOKな駅も依然多く、使うべきではないと記述するのもミスリードかなと。
私のコメントに対する批判だと思われるので、ご回答させて頂きます。
撮影マナー悪化よりも「過剰な批判をする人・それで飯を食うクソメディア」のせいで、
鉄道会社も厳しい対応を取らざるを得ず、
今後、三脚の使用を禁止する駅が増えてくると思います。
「過剰な批判をする人・それで飯を食うクソメディア(自粛警察?)」は、
https://twitter.com/Tokipate_Fe/status/1303273552775241730
https://twitter.com/Tokipate_Fe/status/1289866940966514688
(OOOOの鉄道旅行記やoooo-ooooooo.com)
でしょうか?
こいつらがいなくならない限り、
突然、三脚の使用が禁止されていたり、
三脚の使用が禁止されているのを知らずに三脚を使用して駅員等に怒鳴られて不快な思いをするのなら、
最初から三脚を使用しないのが無難であるのが明白です。
つまり無用なトラブルに巻き込まれる・不愉快な思いをする前に”先手を打って自衛しろ(三脚を使うな)”ということです。
言い争いの為の書き込みではありません。
どうぞよろしくお願い致します。
閲覧・コメントありがとうございます。
批判の意図は特にありませんでしたが、不快に感じられたようでしたらお詫び申し上げます。
記事内でも記していますが、弊サイトとしてはマナー論争についてはフォローの範疇としていません。
マナーを守った上であれば、より良い写真が撮れる機材の使用を否定する必要はありません。
昨今の背景はSNSの普及・カメラの性能向上や低価格化・趣味人口の増加など複合要因であり、貴殿の意見は短絡的で飛躍があります。
貴殿の理論で記してしまえば、無用なトラブルに巻き込まれる・不愉快な思いをしたくなければ写真を撮らなければいい……となってしまいます。
手持ちでマナーを守って撮影していようと、注意を促してくる現業職員・警察官などは既に多数見かけますので、三脚の使用有無は論点ではありません。
今後、マナー論争についてのコメントをされた場合もサイト方針として非掲載としていますので、ご承知おきのほどお願いします。
鉄道ファンの待合室
駅で三脚を使う是非では無く、
「三脚を使った事による利点」というのがこの記事であり、推奨された三脚には参考になる事が有りました。
きちんと記事を読んでください。
「駅で使うべき」なんて誰も言ってませんし自分も持ち込んではいません。