前編記事では、スマホと一眼レフの大きな違いを解説しました。
今回は後編記事として、実際に発売されている撮り鉄・編成写真という視点に特化しておすすめカメラの紹介と、ついに鉄道写真ではマイナーなミラーレス機に凄いカメラが登場しているので、合わせてお伝えします。
前編記事はこちら
多くの撮り鉄さんが使っている一眼レフは?
前編記事でも記しているようなスペックを満たすカメラとして、撮り鉄界隈で根強い人気を誇るのが光学ファインダーの一眼レフです。
最近では少しずつミラーレス機の使用例も見かけるようになっており、若い世代・学生さんを中心に見かけるようになってきました。
この記事では、鉄道写真で人気のAPS-C機とベテラン撮り鉄さんに人気なフルサイズ機から14選、そして最近台頭しているミラーレス機から3選。
沿線撮影地でよく見かける=鉄道撮影で使っている方が多そうなおすすめ機材を紹介していきます。
この記事ではユーザー数の多い会社のものに絞って紹介していますが、登場していない各社のカメラも個人的に気になるものもありますので、何かの機会に紹介できればと思っています。
レンズ一体型一眼レフも入門機向き
レンズ一体型一眼レフは通常の一眼レフと異なって、レンズを変えることでの画角の変更ができません。
遊び幅に制約がある反面、デフォルトで広角から望遠まで幅広い画角をカバー出来るレンズが搭載されているので、気軽に使える点は入門機としては大きなメリットと言えるでしょう。
今後機材を上級機にグレードアップする場合にレンズ・本体共に初期投資が必要というデメリットも存在します。
鉄道撮影においてはレンズの選択肢が多い方が慣れてきてからのことを考えると良いかなと思いますが、検討してみる価値はありそうです。
Nikon APS-C機おすすめ
Nikonではエントリーモデルが少ないというデメリットこそあるものの、唯一の現行エントリー機であるD3500でさえしっかりとした機能を持っています。
また、撮り鉄さんのユーザーが多い=情報共有もしやすいということは大きなメリットです。
Nikon APS-C機スペック早見表
D500 | D7500 | D5600 | D3500 | |
有効画素数 | 2088万画素 | 2088万画素 | 2416万画素 | 2416万画素 |
AFシステム | 153点 | 51点 | 39点 | 11点 |
連写性能 | 最高10コマ/s (AF,AE追従) | 最高8コマ/s (AF,AE追従) | 最高5コマ/s | 最高5コマ/s |
感度 | ISO100〜51200 | ISO100〜51200 | ISO100〜25600 | ISO100〜25600 |
メディア | XQD SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC |
無線 | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi Bluetooth | Bluetooth |
バッテリー込重量 | 860g | 720g | 465g | 415g |
本体相場感 | 15万円程度 | 10万円弱 | 7万円弱 | 4万円弱 |
Nikon D3500〜身軽なボディで気軽に楽しめるエントリー機
現行モデルで唯一の初心者向け・エントリーモデルとなっています。
このD3500の最大の特徴は、やはりその軽量さと小型ボディです。
学校帰り・仕事帰りの撮影が多いという方、電車移動で撮影に行くので身軽な装備で動きたいという方にはおすすめです。
一方で、やはり機能面では劣る点もありますので、本格的に撮り鉄を頑張りたい方の1台目には次のD5600がおすすめです。
Nikon D5600〜中級機だけど1台目にもおすすめ
このD5600は、学生撮り鉄さんから社会人撮り鉄さんまで多く使われている、万人に愛される機種となります。
Nikonでは中級機として発売されているものの、鉄道撮影に必要な機能が多く詰まっていますので、腕を磨くのに最適な機種と言えるでしょう。
いきなりD7500を買われている方もいますが、個人的にはこのグレードで腕を磨いてから自分に適した機種にチャレンジするのがコストパフォーマンスに優れているかなと思います。
Nikon D7500〜APS-Cの上級機
APS-C機の中では上位モデルとなります。
機能面ではD5600に比べて優れている点も多いことから、初めてだけど本気で取り組みたいという方や、APS-C機の既存の所有機の次としての購入といった方におすすめです。
Nikon D500〜APS-C機を極めたい方へ
APS-C機の最上位モデルとなります。
撮り鉄界隈では2台目・3台目にフルサイズ機を買われている方も多いですので、1台目でこちらをチョイスするのは費用面からあまりおすすめはできません。
D5600などのグレードを使いこなしたのち、APS-Cのメリットを生かした写真を極めたいという方におすすめです。
Nikon フルサイズ機おすすめ
一眼レフユーザーの夢の1つであるフルサイズ機。
しかし、鉄道撮影ではAPS-C機ならではのメリットも多く存在するため、それをカバーするための腕・レンズなどの投資が多く発生します。
その壁を超えてフルサイズ機にチャレンジしたい方におすすめを紹介します。
Nikon フルサイズ機スペック早見表
フルサイズ機 | D5 | D850 | D750 | D610 |
有効画素数 | 2082万画素 | 4575万画素 | 2432万画素 | 2426万画素 |
AFシステム | 153点 | 153点 | 51点 | 39点 |
連写性能 | 最高12コマ/s (※14コマ) | 最高7コマ/s (※9コマ) | 最高6.5コマ/s | 最高6コマ/s |
感度 | ISO100〜102400 | ISO64〜25600 | ISO100〜12800 | ISO100〜6400 |
メディア | XQD 又はCF | XQD SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC |
無線 | × | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi | × |
バッテリー込重量 | 1405g(XQD) 1415g(CF) | 1005g | 840g | 850g |
本体相場感 | 50万円以上 | 30万円程度 | 13万円程度 | 9万円弱 |
Nikon D610〜フルサイズ機へのステップアップに
フルサイズ機で最も廉価でありながら、求められる性能を達成している。
後述のようなフラッグシップ機ではないものの、フルサイズセンサーで鉄道を捉えるのにおすすめなのがこのD610です。
APS-C機の最上級機であるD500に比べて劣るスペックもいくつか存在していますので、あくまでフルサイズ機で今後撮影をしていきたいという方にだけおすすめの機種です。
自分がどちらの方向の写真を撮っていきたいかで慎重に検討すべきでしょう。
Nikon D850〜一眼レフの完成形
ネット上で見かけるかっこいい鉄道写真を撮影されているベテラン撮り鉄さんが多く愛用しているのがこのD850です。
フルサイズ機ならではの強みと、フルサイズ機の苦手分野である明るさなどもしっかりカバー出来ている、フルサイズモデルの上位機種となります。
最近の撮り鉄さんに嬉しい転送機能の充実も魅力的ですね。
Nikon D5〜プロ御用達の化け物スペック
本気で撮り鉄をしたい、将来的に写真で収益を建てたい。
そんな方は、スペック全部が全振りのD5が最上グレード・フラッグシップ機となります。
AF追従で秒間12コマ、高速連写モードでは秒間14コマという驚異の連写性能は、高速走行をする列車撮影というジャンルでは大いに役立つ機能でしょう。
もちろん、化け物スペックということはそれに対応するレンズを含めた費用面も凄いことになりますので、多くの方の普段使いには不向きでしょう。
Nikon一眼レフユーザーで、撮影の腕もある方の今後の機材グレードアップを考える時の最終目標にいいかもしれません。
ちなみに、Canonのフラッグシップモデルよりもカタログスペックで勝る点も多く存在します。
Canon APS-C機おすすめ
Canonの大きな特徴の一つに、初心者向け=エントリーモデルがkissブランドを中心に多く存在することが挙げられます。
しかしながら、これらの中でも廉価なものは、鉄道撮影で重要視されるAFが省略されていますので、編成撮りとしての選択肢にはあまりおすすめはしにくいです。
Canon APS-C機スペック早見表
APS-C機 | 7D MarkⅡ | 80D | 9000D | kiss X9i | kiss X10 | kiss X90 |
有効画素数 | 2020万 | 2420万 | 2420万 | 2420万 | 2410万 | 2410万 |
AFシステム | 65点 | 45点 | 45点 | 45点 | 9点 | 9点 |
連写性能 | 10コマ/s | 7コマ/s | 6コマ/s | 6コマ/s | 5コマ/s | 3コマ/s |
感度 | ISO100 〜16000 | ISO100 〜16000 | ISO100 〜25600 | ISO100 〜25600 | ISO100 〜25600 | ISO100 〜6400 |
メディア | CF SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC |
無線 | × | Wi-Fi | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi Bluetooth | Wi-Fi |
バッテリー込重量 | 910g | 730g | 540g | 532g | 449g | 475g |
本体相場感 | 10万円強 | 8万円弱 | 8.5万円前後 | 8.5万円前後 | 8万円弱 | 5万円弱 |
Canon EOS kiss X9i
エントリーモデルのブランドであるEOS kissの中では比較的お値段の張る機種となります。
しかし、鉄道写真において重要となってくるオートフォーカスが、中級機と同様の45点となっている点が大きなポイントです。
特に不慣れなうちはAFに頼ることが多いですので、このモデルのクラス以上を選択肢とすることをおすすめします。
Canon EOS 9000D
NikonのD3500とD5600の中間程度に当たる中級機です。
初めての1台に選択される方も多い機種で、kissシリーズの重視している使いやすさと、中級機の腕を磨くという両者の双方の要素を持ち合わせている点が魅力でしょうか。
一方で、kissシリーズを既に持っている方なら次は80D以降をおすすめしたいところです。
というのも、この9000Dはkissシリーズでこそないものの、やはりエントリーモデルに分類されますので、費用対効果としては大きな違いは感じられないと思います。
Canonの公式サイトでさえ『丸みのあるフォルムが特長のEOS Kiss X9iと、少しカッチリしたデザインのEOS 9000Dですが、カメラの機能はほとんど同じです。どちらも画質や撮影性能には大きな差はありません』と掲載しているくらいです。
Canon EOS 80D
NikonのD7500と同等の、APS-C機の上位モデルとなります。
撮り鉄さんでも多く使っている方を見かける機種ですが、NikonのD5600に相当する中級機が存在しないこともあり、1台目で買われる方も少なからずいらっしゃる印象です。
本気で撮り鉄を頑張りたいという方なら、長期的な目線で見ればいい選択肢となってくることでしょう。
記事公開時点では先述のエントリー機より安く手にはいる場合もあるようですので、狙い目と言えそうです。
Canon EOS 7D MarkⅡ
CanonのAPS-C機の最上位モデルとなります。
こちらもAPS-C機を極めたい方向けのカメラであり、フルサイズ機に挑戦したくなる方も多いと思いますので、自分の作風や、好みのアングルが出てきてからチョイスすべき機種となります。
Canon フルサイズ機おすすめ
Canon フルサイズ機スペック早見表
フルサイズ機 | EOS 1D X MarkⅡ | EOS 5Ds | EOS 5D Mark Ⅳ | EOS 6D MarkⅡ |
有効画素数 | 2020万画素 | 5060万画素 | 3040万画素 | 2620万画素 |
AFシステム | 61点 | 61点 | 61点 | 45点 |
連写性能 | 14コマ/s(16コマ/s) | 5コマ/s | 7コマ/s | 6.5コマ/s |
感度 | ISO100〜51200 | ISO100〜6400 | ISO100〜32000 | ISO100〜40000 |
メディア | CF/Cfast | CF,SD/SDHC/SDXC | CF,SD/SDHC/SDXC | SD/SDHC/SDXC |
無線 | × | × | × | Wi-Fi,Bluetooth |
バッテリー込重量 | 1530g | 930g | 890g | 765g |
本体相場感 | 50万円弱 | 35万円程度 | 25万円程度 | 14万円程度 |
Canon EOS 6D MarkⅡ
Canonのフルサイズ機の中では最も廉価なモデルがこちらです。
こちらもNikon D610同様、APS-C機の最上位機である7Dにスペックで劣る点もいくつか存在します。
それでもフルサイズ機にチャレンジしてみたい!そんな方におすすめです。
又、フルサイズ機ながらWi-Fi・Bluetooth転送に対応しているほか、ISO40000まで対応しており、これらを使用する機会の多い方には馴染みやすいですね。
Canon EOS 5D Mark Ⅳ
Canonのフルサイズの上級機では、この5Dと5Ds,5Ds Rが存在しており、画素数といったスペックでは後者が上となります。
しかしながら、高画素数が鉄道撮影で求められる機会はほとんどありませんので、ISO感度や連写性能に優れた5Dの最新機種Mark Ⅳを選択する方が無難なほか、この辺りの違いを検討されている方はカタログをしっかり読んでいらっしゃる方がほとんどかと思います。
Canon EOS 1D X MarkⅡ
NikonのD5に相当するCanonのフラッグシップ機がこのCanon EOS 1D X MarkⅡです。
カタログスペックでは、D5に少々劣るものの、Canonの得意分野である鮮やかな写真や、AF性能などを重視している方、Canonで揃えている方の憧れの機材ですね。
こちらも費用面と、対応するレンズのスペックが大きなものとなりますので、最終目標と言ったところでしょうか。
撮り鉄さんでは扱っている方はそこまで多くないですが、この機種はフォトスタジオなどの人物撮りの世界ではプロ御用達となっており、職業カメラマンさんで頻繁に見かけることができます。
一眼レフはちょっと……という方におすすめ
以上のような光学式の一眼レフカメラは、費用面だけではなく維持費がかさむこと、そして何より重量や大きさがあるために、学校帰り・仕事帰りにふらっと……という用途には少し不向きな点も多いです。
鉄道写真特有の先述の課題はクリアしつつ、気軽さ・費用面でちょうどよいカメラとして、最近急成長をしている「ミラーレス一眼」もおすすめです。
ミラーレス一眼にも通常の一眼レフ同様、APS-C機とフルサイズ機が存在しており、レンズの選択肢こそ少ないものの、ハイグレード機種の技術進化も著しくなっています。
◎ 性能の割に軽いので気軽に持ち運べる
◎ 設定調整なども容易で費用対効果は大
▲ 選べるレンズの選択肢が少ない
▲ 将来、光学式の一眼レフを購入する際には初期投資がかかる
ミラーレス一眼は今後さらに勢力を増す?
電子式ファインダーゆえのデメリットもいくつか存在しますが、性能に対する圧倒的な軽量・小型さは、かなり魅力的です。
一眼レフのメーカーといえばNiconとCanonの2強のイメージが強い一方で、近年台頭してきたミラーレス機は世界で初めてミラーレス機を発売したPanasonicのほか、SONYが勢力を持っています。
カメラだけでない広い分野で先進的な開発をしている各社が台頭していますが、性能面では鉄道写真においてはSONY αシリーズが選択肢の多さで軍配が上がりそうです。
デメリットは先述の電子ファインダーゆえのタイムラグや、ブラックアウト時間が挙げられますが、この辺りも最近の機種では改善傾向ですので、今後はミラーレス機を使う撮り鉄さんも増えてくることでしょう。
……私自身もミラーレスに未だに抵抗がある世代ですが、小柄なボディが撮影地でカッコがつかないくらいで、スペックに関しては本当にびっくりするほど急激な進化をしています。
この記事を作成しながらも、ミラーレス機だけの特集記事も作りたくなってきました。
SONY α6400〜小型軽量だけど遊び幅も!
ミラーレス機はSONYの独壇場となっていますが、これはラインナップの豊富さゆえです。
鉄道撮影で要求されるスペックは散々記してきましたが、SONYのミラーレス機では最近登場のα6400がミラーレス機のエントリーモデルとなっており、適している性能も有していると言えるでしょう。
小柄なボディで持ち歩きの普段使いから、レンズ次第で様々なアングルにチャレンジできることなども魅力的です。
難点としてはエントリーモデルにしては少々値が張る点ですが、性能面と持ち歩きの気軽さを両立していることは大きいでしょう。
425点像面位相差AF/169点コントラストAF 「ファストハイブリッドAF」や、連写は最高約11コマ/秒(AF・AE追従)といったスペックは、先述の光学式一眼レフのハイグレード機も顔負けです。
SONY α7Ⅲ〜ミラーレスの上級機の実力は?
ミラーレスの上級機買うなら普通の一眼レフの方が……という先入観はもう時代遅れかもしれません。
上級機α9シリーズにミラーレス特有のEVFで劣るものの、コストパフォーマンスの良さは別格です。
α9譲りのAF性能と約10コマ/秒の連写性能はそのまま引き継いでいますので、それこそ「慣れちゃえば凄い」カメラと言えるでしょう。
693点像面位相差AFセンサーや、機能てんこ盛りでも約650gという気軽さは、今後の鉄道撮影の常識を変えていくことでしょう。
革命起きるか? OLYMPUSのミラーレス;OM-D E-M1Xが凄い!
OM-D E-M1Xは、2019年に発売が開始されたばかりのミラーレス機であり、使っているユーザーもまだまだ少ないですが、世界で初めてであろう鉄道撮影専用モードが搭載されているミラーレス機です。
鉄道車両を検知してオートフォーカスが追従してくれるという他で見ない独自の技術により、縦の手ブレを抑えつつ、横方向の背景はしっかり流れるなど、このカメラでしか撮れない素敵な作例も拝見します。
今後の鉄道撮影・撮り鉄業界に一石を投じる機材が、従来は鉄道撮影で不向きと言われていたミラーレス機で登場したことは特筆できますね。
ミラーレス機は慣れが必要……などと記されることが多いですが、この機の親となっているOM-D E-M1 MarkⅡの登場以降はプロのカメラマンさんでも活用している方が出てきています。
今後は急速に普及が進みそうで、とにかく目が離せない機種です。
先進技術が多く詰まっている分、お値段がするのが大きな難点ですが、今後、このAF機能が搭載された中級機あたりが登場してくれると嬉しいですね。
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サムネイル画像:写真ACより
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