【東芝府中】103系クハ103-525,荷物車クモニ83006が陸送でポッポの丘へ

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昭和に除籍され、平成は実験車両として余生を送っていた旧型国電・荷物電車の奇跡の生き残り、クモニ83006。

そして、現存する103系でも原形に近いとも言われるクハ103-525。

両車とも東芝府中事業所にて余生を過ごしていましたが、2020年4月14日から15日にかけて、新たな場所へ“転属”するため、深夜の東京を大移動しました。

解体ではなく保存!実績多数の“ぽっぽの丘”へ

今回の輸送は、東芝府中事業所から千葉県いすみ市にある“ポッポの丘”へ譲渡されるために実施されています。

東芝府中から甲州街道・環状八号線・東京湾臨海道路・京葉道路などで都内を横断、いすみ市内に点在する急カーブを通って搬入されています。

どちらも国鉄時代を中心に活躍した車両ですが、営業車としての使命を終えた後も解体されず、東芝府中事業所にて実験車両的な色合いで動態の車両となっていました(詳細な経歴は後述)。

今回の輸送にあたり、103系には“東芝府中 103系 さようなら 2020・4・14 TOSHIBA”のヘッドマーク・”むさしのドリーム 北府中”(東芝府中は武蔵野線北府中駅隣接)の方向幕が用意されたほか、クモニ83006には“北府中ー上総中川”(上総中川はポッポの丘の最寄り駅)が用意され、ファンを魅了しました。

103系の保存車で一番原型?

東京湾岸道路を走行中の陸送車両
助手席から撮影した動画の切り出し

国鉄分割民営化ではJR東日本・JR東海・JR西日本に継承された103系は、総製造数3,447両を誇る直流型通勤電車の“顔”でしたが、気づけば現役車両も関西圏に少数が残るのみとなっています。

どこでも見ることが出来る存在だったこの車両ですが、他形式を考えると製造数の割に残存している車両はほとんどありません。

この東芝府中に残存していたクハ103-525は引退時期が早かったため、JR東日本所有車両で施工された前面強化改造(踏切事故対策)が施工されていません。

浦和電車区・下十条電車区・三鷹電車区・豊田電車区・中原電車区と関東を渡り歩き、1994年(平成6年)除籍となった車両です。

また、ATS-Bの車上子が残存していて往年の姿となっているほか、現役時代の改造の特徴としてヘッドライトが右肩下がりという特徴があり、ファンに人気の車両でした。

関東圏では鉄道博物館にクハ103-713(京葉線などで活躍)がカットボディで展示されていますが、数年前に水玉模様の塗装となって原型からかけ離れています。

関西圏でも保存車両として、京都鉄道博物館にトップナンバーのクハ103-1が展示されていますが、こちらは現役時代に施工された戸袋窓埋め込み改造などを受けたままですので、こちらも原型とは大きく離れています。

このほか、クモハ103-110がスカイブルーで消防学校の訓練施設に、クモハ103-147がエメラルドグリーンで個人宅にて静態保存されていますが、いずれも一般公開はされていません。

残存車両は以上4両ですので、このクハ103-525が最も原型で一般の目に留まる存在です。

103系は中央線・武蔵野線・大阪環状線とオレンジバーミリオンのイメージという方も多いと思います。

陸路で久々の動きを魅せてくれたことはもちろんですが、従来は滅多にお目にかかれない存在だったこの車両、今後は千葉に行けば見学が出来る存在となったことは嬉しいですね。

改造を重ね続けて75年⁉︎ 超幸運の骨董品

北府中ー上総中川の方向幕が特徴的です。
こちらも助手席動画より。

今回の陸送では、103系の方が注目されがちですが、車歴に関してはクモニ83006の方がはるかに“先輩“です。

中央線沿いの国分寺市・鉄道技術総合研究所から2008年に譲り受けた車両で、VVVF試験車・クモハ103-58を置き換える形で牽引車に近い仕事をしていました。

荷物車自体が非常に貴重な今日この頃ですが、この車両は“旧国”と呼ばれる旧型国電の車体載せ替えで製造された経歴を有しています。

当時は72系・モハ72107を名乗っていましたが、この形式自体も戦時設計・私鉄への”割当”という日本中の鉄道会社に大きな影響を与えた特異な形式・国鉄63系の改造です。

モハ63373として製造されたのは終戦間もない1946年。

度重なる改造が行われているほか、鉄道総研譲渡以降の改造も加わっていますが、最近まで電気を流して自走出来たのですから驚きものです。

御年75、遂に安住の地を見つけたのでしょうか。

最大の難所?敷地内の急勾配に備えて最終準備

東芝府中のコレクションは他にも

東芝の鉄道車両と言うイメージは最近あまりありませんが、かつては鉄道車両を数多く手がけてきた事業者です。

最近では機関車を稀に製造する程度の存在ですが、東芝は鉄道車両製造の現役の会社です。

東芝府中事業所では、往年のブルートレインを牽引したEF65 535号機のほか、最近では近江鉄道からED31 3号機を入手したばかり。

滅多に一般の目には止まらない車両たちですが、今後の展示・イベントに期待したいところです。

なお、EF65 535号機については、先週ごろより武蔵野線・北府中駅から見られる場所に留置されていました。

今回の陸送に関連した動きだったものと推測できます。

ポッポの丘もコレクション多数!

現在は社会情勢を鑑みて営業自粛中のポッポの丘。

こちらにも、千葉を中心に活躍した様々な引退車両のコレクションが多数保存されています。

若手のファンでも知るいすみ200型・千葉都市モノレール1000形・久留里線キハ38形・銚子電鉄デハ700形などの千葉県で活躍した車両を中心に、全国各地から様々な車両を数多く購入・保有しています。

コンスタントに車両購入を続ける財力も凄まじいところですが、20両を超える車両管理実績があり、信頼できる場所に譲渡されてファンとしても一安心なのではないでしょうか。

今回輸送された2両については、クレーンでの吊り上げ・オンレールは記事公開をしている8時から実施とのことですが、関係者以外は立ち入り禁止。

ファン人気の熱い、いすみ鉄道から車ですぐの好立地ですので、公開が再開されたらぜひ訪れたいポイントですね。

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コメント

  1. sekisuikinzoku より:

    通りすがりにすいません。

    103系の保存車、放置されているので保存と言えるかは分かりませんが、一応JR東海の美濃太田に居る、クモハ103ー18もありますよね。

    ただ、この車両は最近の情報が無く、今どうなっているのかは不明ですが。。。少なくとも解体されたという話は聞かないので、まだ美濃太田に居ると思われますが・・・。