明智光秀ゆかりの地をPRするために289系1編成(4両・FG401編成)がラッピング列車となりました。
現在放映されている、明智光秀を主人公としたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に合わせた企画で、その派手な外観で利用者・ファンから一躍注目の存在となっています。
289系ラッピング列車とは
JR西日本は特急「こうのとり」「きのさき」「はしだて」で使われている289系1編成(4両)をラッピング列車に仕立てました。ラッピングでは289系が走る北近畿エリアにある明智光秀ゆかりの地がデザインされています。2020年度のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」は明智光秀を主人公としているだけに、きっと沿線住民を中心に話題となることでしょう。
289系ラッピング列車が担当する特急列車は以下のとおりです。
「こうのとり」:新大阪~城崎温泉
「きのさき」:京都~城崎温泉
「はしだて」:京都~天橋立
運転期間は2020年8月8日~2021年10月末頃です。このラッピング列車は固定運用ではなく、運行初日を除きダイヤは発表されていません。
鉄道ファンなら「変わり種」といえる289系に目が行くかもしれません。289系は北陸本線の特急「しらさぎ」で活躍した683系2000番台を転用した車両です。289系が走る福知山線や山陰本線は直流区間なので、交流機器を停止させています。
2015年の北陸新幹線開業に伴い「しらさぎ」で活躍していた683系2000番台が余ってしまうことに。そこで、「くろしお」「こうのとり」で活躍していた381系を置き換えるために、289系に改番した上で転用しました。かつて福知山線を走っていた特急「北近畿」の485系と改造車183系の関係に似ています。
現在は「こうのとり」「きのさき」「はしだて」以外に「くろしお」にも使われています。「こうのとり」「きのさき」「はしだて」は4両編成と3両編成、「くろしお」は6両編成と増結用の3両編成が在籍しています。
287系と混同されがちですが、289系の一部先頭車は流線形のグリーン車となっています。「こうのとり」「きのさき」「はしだて」に使用される289系は福知山電車区所属です。
まるで広島地域色? 黄金の289系ラッピング列車
289系ラッピング列車は8月8日にデビューし、初列車は福知山発新大阪行き「こうのとり10号」となりました。当日、福知山駅と柏原駅では沿線の光秀ゆかりの地をPRする団体によるお見送りが行われました。筆者は大阪駅で289系ラッピング列車を撮影しました。
10時20分頃、大阪駅11番線に289系ラッピング列車が入線しました。大阪方は貫通型タイプで、前面は黄色一色でした。見かけたときは「何かの色に似ているなあ」としか思わなかったですが、よくよく考えると中国地方を走る一般形車両で採用されている黄色一色の「広島地域色」に酷似しているように感じます。それくらい、前面の黄色一色はインパクトがありました。30代以上の方なら、かつて福知山線で走っていた103系カナリア色を連想するかもしれません。
ラッピング列車は各車両ごとにデザインが異なります。
1号車にはりりしい明智光秀と御霊神社が描かれていました。明智光秀は本能寺の変を起こした人物として「謀反人」呼ばわりされることが多い人物ですが、近年では再評価されています。
明智光秀がJRの特急列車にラッピングされたことを考慮すると、戦国時代の見方も大きく変わってきたといえるでしょう。御霊神社は京都府福知山市にあり、明智光秀を祭神としています。
1号車と4号車には「明智光秀の足跡を辿って」という大きな文字がよく目立ちます。
福知山城のシンボルであり、明智光秀の居城でもあった福知山城も描かれていました。福知山城は各車両に描かれています。
3号車には武将姿の明智光秀と細川幽斎がいます。細川幽斎は明智光秀の盟友として知られていますが、本能寺の変には参加しませんでした。なお、車内のレイアウト等は変わっていません。
289系の特徴ともいえる流線形タイプの先頭車です。こちらも黄色一色となり印象がガラリと変わりました。白系の色が多いJR西日本の特急電車において、本当によく目立ちます。
「こうのとり」が狙いめか
先述したとおり、JR西日本は289系ラッピング列車のダイヤを公表していません。289系ラッピング列車は京阪神エリアと北近畿を結ぶ特急「こうのとり」「きのさき」「はしだて」に使われますが、運用上の観点から、最も出会う確率が高いのは「こうのとり」だと思います。
今後もJR西日本においてラッピング列車が登場するのではないでしょうか。心待ちにしたいと思います。
(参考)289系FG編成 運用表
289系FG編成が所定となっている289系使用の営業列車のみを抜粋しています。
また、掲載時刻は平日ダイヤとしており、土休日は一部に分単位の違いがあります。
289系の運用自体が3泊4日行路と日帰り行路に大別されており、ダイヤ乱れや突発的な変運用がなければ順番通りに流れることも多いため、ある程度推測がしやすいかと思います。
運用①(402) 福知山出区〜向日町停泊
3010M | こうのとり10号 | 福知山 | 9:50 | 新大阪 | 11:29 |
3013M | こうのとり13号 | 新大阪 | 14:05 | 城崎温泉 | 16:50 |
3026M | こうのとり24号 | 城崎温泉 | 17:41 | 新大阪 | 20:44 |
運用②(403) 向日町〜豊岡停泊
3001M | こうのとり1号 | 新大阪 | 8:08 | 城崎温泉 | 10:58 |
3014M | こうのとり14号 | 城崎温泉 | 11:33 | 新大阪 | 14:29 |
3017M | こうのとり17号 | 新大阪 | 17:05 | 豊岡 | 19:07 |
運用③(404) 豊岡〜向日町停泊
3012M | こうのとり12号 | 城崎温泉 | 9:33 | 新大阪 | 12:29 |
3015M | こうのとり15号 | 新大阪 | 15:05 | 城崎温泉 | 18:00 |
3028M | こうのとり28号 | 城崎温泉 | 18:53 | 新大阪 | 21:44 |
運用④(405) 向日町〜福知山入区
3003M | こうのとり3号 | 新大阪 | 9:04 | 城崎温泉 | 11:52 |
5016M | きのさき16号 | 城崎温泉 | 12:32 | 京都 | 15:07 |
5087M | はしだて7号 | 京都 | 15:25 | 天橋立 | 17:28 |
5090M | はしだて10号 | 天橋立 | 19:17 | 京都 | 21:19 |
5019M | きのさき19号 | 京都 | 21:37 | 福知山 | 22:52 |
運用⑤(406) 福知山日帰り
5010M | きのさき10号 | 福知山 | 9:45 | 京都 | 11:07 |
5005M | きのさき5号 | 京都 | 11:25 | 城崎温泉 | 13:49 |
3020M | こうのとり20号 | 城崎温泉 | 14:35 | 新大阪 | 17:27 |
3021M | こうのとり21号 | 新大阪 | 19:06 | 福知山 | 20:58 |
運用⑥(407) 福知山日帰り
3004M | こうのとり4号 | 福知山 | 6:52 | 新大阪 | 8:46 | 平日のみFH編成増結 |
3009M | こうのとり9号 | 新大阪 | 12:05 | 城崎温泉 | 14:54 | |
3022M | こうのとり22号 | 城崎温泉 | 15:30 | 新大阪 | 18:28 | |
3023M | こうのとり23号 | 新大阪 | 20:06 | 福知山 | 21:56 | 平日のみFH編成増結 |
愛称と運行区間
こうのとり:新大阪〜福知山・城崎温泉
きのさき:京都〜福知山・城崎温泉
はしだて:京都〜天橋立
まいづる:京都〜東舞鶴(綾部まできのさき・はしだてに併結) =所定287系が担当
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