【増援に向かうも】東北新幹線不通区間は短縮・E653系臨時快速は当面運休に

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2022年3月16日の福島県沖を震源とする地震により大きな影響を受けている南東北エリア。

東北新幹線の不通区間のうち那須塩原駅〜郡山駅・一ノ関駅〜盛岡間駅が22日より運転を再開し、在来線の臨時快速列車も郡山駅〜仙台駅間で6往復・仙台駅〜一ノ関駅間で3.5往復体制と増強されることが発表されたものの、その後の線路支障により郡山駅〜仙台駅間の運行は中止とされています。

東北新幹線・常磐線の再開見通しが公表

JR東日本では2022年3月16日の福島県沖を震源とする地震により、南東北エリアを中心に被害が発生しています。

東北新幹線ではやまびこ223号に使用されていたH5系H2編成+E6系Z9編成が脱線したほか、架線柱・軌道・土木構造物や駅構内に損傷が発生しており、復旧の長期化が見込まれる状態でした。

在来線の多くは18日までに順位運転を再開していますが、震源に近い常磐線については記事公開現在も一部区間が不通となっています。

17日から羽越本線特急「いなほ5号・10号」1往復を酒田駅〜秋田駅へ延長運転をする体制が採られているほか、18日からは東北本線の那須塩原駅〜仙台駅間でE653系を使用した臨時快速列車が2往復・仙台駅〜盛岡駅間でキハ110系を使用した臨時快速列車が1往復運転されています。

21日の発表では、既存の不通区間の運転再開見通しが公表されたほか、22日からの不通区間の減少により臨時快速列車の運転体制も変更されます。

21日まで那須塩原駅〜盛岡駅間で運転を見合わせていた東北新幹線では、那須塩原駅〜郡山駅間と一ノ関駅〜盛岡駅間の運転が再開されます。これにより東京駅〜郡山駅間・仙台駅〜新青森駅間の運転が再開されますが、両区間ともに臨時ダイヤでの運行とされています(外部PDF 東京駅〜郡山駅一ノ関駅〜新函館北斗駅)。

残りの不通区間については、郡山駅〜福島駅間は4月2日ごろ・仙台駅〜一ノ関駅間は4月4日ごろの運転再開計画と、その後4月20日前後の全線運転再開を目指すとしています。

常磐線については、21日まで富岡駅〜新地駅間で運転を見合わせが続いており、このうち富岡駅〜原ノ町駅間については22日始発列車より運転を再開するとされています。残される原ノ町駅〜新地駅間についても、復旧作業が順調に進めば24日に運転再開の見込みが示されています。

既に原ノ町〜仙台駅間については速度を落としての運転・本数減少が併せて示されており、今後臨時ダイヤを公表するとしています。

いわゆる“仙台ひたち”3往復についても、21日までいわき駅〜仙台駅間が区間運休とされていましたが、22日は区間運休が原ノ町駅〜仙台駅に縮まることも発表されています(水戸支社発表 外部PDF)。

東日本大震災以前のダイヤでは651系使用の原ノ町駅始終着の「スーパーひたち」が運転されていましたが、E657系で運行が再開された2020年3月改正以降は原ノ町駅始終着の運転は見られなくなりましたので、懐かしく感じる地元ユーザー・沿線ファンの方も多そうです。

24日以降も都心側の変更が難しい“仙台ひたち”3往復を中心とした発着時刻変更が予想されるほか、2021年2月の長期不通時同様に実施されて今回も臨時列車運転が示されている、いわき駅発着「ひたち」の一部列車の延長についてもダイヤの調整が必要となりそうです。

在来線臨時列車も運転区間・本数が変更に

新幹線の運転再開区間が生じたため、21日まで運転されていた臨時快速列車の運転体制も変更が示されました。

東北本線では、3連休期間中に那須塩原駅〜仙台駅間をE653系7両編成で2往復・仙台駅〜盛岡駅間をキハ110系で1往復設定されていましたが、22日からは郡山駅〜仙台駅間が6往復(リンク割愛)・仙台駅〜一ノ関駅間で3.5往復(外部PDF)の体制とされることが公表されました。ただし後述の通り、郡山駅〜仙台駅間の臨時快速列車については、当面の間運転を取り止めとされています(本社発表 外部PDF)。

22日からの臨時列車増強に向けて勝田車両センターのE653系K70編成(国鉄色)が21日午後に仙台へ向けて回送されていましたが、こちらも宇都宮で運転打ち切りとなっています。

参考:仙台以南臨時快速 過去事例との比較

・下り列車

2022年
3/23〜
2022年
3/23〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/19-21
2022年
3/19-21
2021年
2月
2021年
2月
那須塩原 発10:2019:2811:0018:47
新白河 発11:0219:5811:2519:13
郡山 発8:138:5614:1716:5319:0221:1111:3720:4011:5619:45
福島 発8:569:3314:5217:3019:4021:5112:1321:2312:3220:21
白石 発9:2610:0415:1917:5720:1022:1812:4021:5112:5920:48
仙台 着10:0310:4115:5918:3820:4722:5113:1822:2413:3221:25
https://www.jreast.co.jp/aas/20220321_o_tohokurinji_01.pdf

・上り列車

2022年
3/23〜
2022年
3/23〜
2022年
3/22〜
2022年
3/23〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/19-21
2022年
3/19-21
2021年
2月
2021年
2月
仙台 発5:526:5711:5614:5616:5518:546:5714:566:5814:36
白石 発6:297:3812:3515:5317:3419:347:3915:337:3915:18
福島 発7:008:0613:0416:0518:0620:048:0716:058:0815:47
郡山 着
   発
7:39
8:41
13:40
16:41
18:41
20:46

8:45

16:55

8:45

16:24
新白河 発9:1517:369:1716:54
那須塩原 着9:4118:049:4217:19
https://www.jreast.co.jp/aas/20220321_o_tohokurinji_01.pdf

参考:仙台以北臨時快速 過去事例との比較

・下り列車

運転年2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/19-21
2021202120212021
仙台 発9:2011:4414:4918:1913:2611:3312:4014:4918:41
小牛田 発10:0012:1915:2418:5514:0112:1913:1315:2419:29
石越 発10:2512:4315:4519:2314:2112:4813:3415:4619:54
一ノ関着
10:44
12:59
16:00
19:41

14:40
13:04
13:52
16:02
20:11
20:20
水沢 発14:5920:39
北上 発15:1220:50
花巻 発15:2421:10
盛岡 着15:5121:39
https://www.jreast.co.jp/aas/20220321_o_tohokurinji_02.pdf

・上り列車

運転年2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/22〜
2022年
3/19-21
2021202120212021202120212021
盛岡 発7:096:25
花巻 発7:426:54
北上 発7:557:10
水沢 発8:107:25
一ノ関 着

9:58

13:21

16:07

8:35
7:45

10:00

11:14

13:23

16:08

19:15

21:50
石越 発10:1413:3716:238:5310:2611:3113:4116:3019:3122:05
小牛田 発10:3513:5816:459:2510:4811:5214:0317:0020:0422:26
仙台 着11:0714:2917:1810:0511:2712:3114:3517:3920:4823:01
https://www.jreast.co.jp/aas/20220321_o_tohokurinji_02.pdf

このほか、羽越本線経由の秋田方面へのアクセス路も維持されています。

17日から開始されている特急「いなほ5号」の酒田駅→秋田駅間を延長する臨時快速列車(9835M)・「いなほ10号」の秋田駅→酒田駅間を延長する臨時快速列車(9842M)の運転と、「いなほ9号」の酒田駅到着(19:25着)を待ってから酒田駅発秋田駅行き普通列車(557M・19:08発)を発車させる措置について、いずれも「当面の間」実施が継続されることが示されています(秋田支社発表 外部PDF)。

「線路支障」で運休に

21日夕方には、東北本線の東福島駅〜伊達駅間の橋脚に損傷が見つかり、発表された臨時列車のうち郡山駅〜仙台駅の臨時快速列車の取りやめが追加で発表されました。

東北本線の普通列車も福島~藤田駅間の上下線で終日運転を見合わせとなるため、鉄路での南北移動は再び大きな制約を受けることとなりました。

運転状況から当該橋脚は下り線とみられ、公式Twitterで公開された写真ではコンクリートが大きく剥がれ落ちている状況が確認できます。

運転再開の見込みは立っていないとされており、少なくとも22日は終日運休とされています。

(3/22 11:00加筆)作業が順調に進行したため、昼ごろから運転を再開するとしています。臨時快速列車も運用都合で上り1本は運休となるものの、順次運転が再開されます。

E657系が活用出来ない歯痒さ

東北本線の臨時快速列車では、新潟から遠路はるばるE653系が駆けつけて運転される体制が採られています。2021年2月の地震の際にも全く同様の体系で運転した過去があり、今回は地震発生から臨時快速列車運転開始までの時間を昨年と比較して大きく縮めており、褒められるべき対応の迅速さです。

一方で、震源に近かった常磐線では運休期間が長めとなっており、仙台車両センター停泊のE657系1編成のほか、いわき駅〜仙台駅の区間運休で1運用相当が余剰状態となっています。

E657系を使用することが出来れば普通車3両分の輸送力が増強でき、三連休・新生活準備で移動が活発な時期に7両編成のE653系1編成・2往復の臨時列車運行は力不足となっていたのも否定できません

E657系は郡山総合車両センターで定期検査(指定保全・装置保全等)を受けるため、東北本線の小山駅〜郡山駅間の走行実績を有します。また、“仙台ひたち”の運転区間である岩沼駅〜仙台駅間に加え、これに先駆けた乗務員訓練で白石駅〜岩沼駅間の走行実績があります。

未入線区間となっているのは郡山駅〜福島駅〜白石駅間のみとなっており、人員面についても福島総合運輸区の乗務員と郡山運輸区の車掌に乗務員訓練を済ませていればE657系の使用が可能だったことが想像出来ます。

東日本大震災以降にも福島県・宮城県沖を震源とする地震は度々起こっており、常磐線側のみ不通・東北本線は活用可能という今回のような事例は想定できたはずです。岩沼駅停車の「ひたち19号」・「ひたち30号」で乗務員の技量維持をすることも出来るだけに、E657系が使えれば……といったファン層の指摘も(費用対効果を除外すれば)あながち間違ったものとは言えません。

地震活動が活発化している以上は東北の大動脈である東北新幹線が再び長期不通となる可能性も十分に考えられ、今回も前年の事例の活用で早期代替経路確保が叶っているとも言えます。

起きて欲しくない“次”が発生した場合はより柔軟な代替経路確保が行われることに期待したいところです。

使用車両の他運用への影響は

2022年3月のダイヤ改正では、新潟車両センター所属のE653系の運用数は7両編成が4運用・4両編成が3運用とされているものとみられますが、「いなほ5号」「いなほ10号」の延長は「いなほ3号」「いなほ10号」に「しらゆき」用4両編成充当から7両編成への増強がセットで実施されています。

そのため、東北新幹線全線復旧を示しているとみられる「当面の間」は7両編成5運用・4両編成2運用状態がしばらく続くこととなりそうです。

明日以降は2編成体制で運転されているE653系使用の臨時快速列車ですが、4月以降は週末にE653系を使用する臨時運用が設けられており、影響が懸念されます。

運転日列車名区間車両
4月2日
4月3日
特急
いわき
八王子〜いわき勝田車
7両
4月2日
4月3日
4月9日
4月10日
快速
高田お花見号
新潟〜高田新潟車
7両
4月9日特急
宮城・福島花めぐり号
水戸〜福島
岩沼経由
勝田車
7両
4月16日
4月17日
特急
青の絶景ネモフィラ号
大宮〜勝田勝田車
7両

4月2日以降の土休日は新潟エリアで所要6編成+勝田車が臨時1運用となっており、東北新幹線代行の臨時快速列車に使用できる車両は新潟車の1編成のみとなる計算です。

一方で、4月2日には東北新幹線の郡山〜福島駅間の運転を再開させる計画です。このことから、同日以降は福島駅〜仙台駅間を1編成でピストンする体制が組まれることが予想されます。過去事例でも6往復は維持できるものとみられます。ただし、新幹線の復旧が進まない場合には計画の修正を余儀なくされるため、かなり綱渡りな計画です。

このほか、4月2日から10日までの土休日は、東北本線でもキハ110系2両編成を使用した快速「花めぐり」も運転される計画です。キハ110系小牛田車が使用されることとなりますが、こちらは陸羽東線快速「湯けむり」が設定されていないため、車両運用への影響はありません。

21日までは仙台駅〜盛岡駅間の臨時快速列車にキハ110系が使用されていますが、こちらは盛岡車の運用でした。22日以降の使用車両は明記されておらず、小牛田車両センター所属車両の運用の可能性も否定は出来ません。ただし、2021年2月の地震の事例を考えると、定期列車の間合い運用で構成されているものと考えられ、こちらも特別の車両不足等は起きないと考えられます。

参考:今回地震に関連した動き

その他関連記事

・E653系の運用変化

・2021年2月の運転事例

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