【奉祝・改元】平成を掛けたお召し列車〜E655登場・令和の運行はどうなる?

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令和元年5月1日。新しい令和という時代が始まりました。

天皇陛下即位を謹んでお祝い申し上げます。

平成の30年と5か月の間、平成の天皇陛下・明仁さま(現:明仁上皇陛下)がさまざまな公務やご静養をされる折、お召し列車・御乗用列車が運転され、われわれ鉄道趣味人をも盛り上げてくださいました。

鉄道趣味サイトとして、今までの公務でのご活躍をお召し列車の変化とともに振り返り、令和のお召し列車像について考えます。


「平成時代」のお召し列車

即位前には8500系にもご乗車

明仁さまと美智子さまのエピソードとして欠かせないのは、昭和の時代に「こどもの国」開園20周年記念の式典のため、現在の東京メトロ半蔵門線~東急田園都市線という経路で向かわれたことでしょう。

連休最終日の道路混雑を避けるため、鉄道利用となりましたが、当時の地下鉄・東急所有車両でお召し列車にふさわしい装備の車両が存在しませんでしたので、東急8500系にご乗車されています(即位前ですので、お召し列車ではなく御乗用列車となります)。

一号編成とロイヤルエンジン

平成時代のスタートと同時期となるイベントとしては、2年前となる1987年(昭和62年)の国鉄解体・分割民営化があります。

一号御料車を含む一号編成客車5両・ロイヤルエンジンの愛称をもつEF58 61号機は当時からの所属そのままにJR東日本に継承され、それ以外のJR各社は自前の看板車両を使用することとなります。

出番が一気に減った一号編成によって運転された最初のお召し列車は、なんと1996年(平成8年)です。

9年ぶりの運行は、天皇・皇后両陛下とベルギー国王一家がご乗車されたため、「ロクイチ」に掲げられた国旗も日本国旗とベルギー国旗となり、両毛線を運行しました。

その後は1999年(平成11年)に天皇・皇后両陛下とルクセンブルク・ジャン大公夫妻がご乗車になり、中央線を走行しました。

こちらも日本国旗とルクセンブルクの国旗を掲げています。

「ロクイチ」の出番は平成の間は少なかったものの、非電化区間での一号編成客車の運行実績は多く、DD51 842号機牽引で各地を走行しています。

このほか、1993年(平成5年)には、秩父鉄道長瀞駅→高崎線上尾駅にて、185系+クロ157形でのお召し列車が運行されており、クロ157-1の平成唯一の使用実績となっています。

西はサロンカーなにわがメイン・ほかJR各社の運行実績

関西・北陸での運行ではサロンカーなにわの使用が多く、サロンカーなにわは第三セクターののと鉄道を含めて数々のお召し列車を歴任しています。

一方で、直流電化区間のみの運行の場合は281系が使用されています。

2002年(平成14年)には長崎県を訪問され、キハ185系を使用しての運行があり、この際にはキハ185系の先頭に菊の紋章と日本国旗が掲げられています。

あまり実績のないJR東海管内の在来線も、キハ85系での運転実績があります。

平成最大の変化はE655系「和」と御料車E655-1

お召し列車使用を主目的とした車両として、E655系が登場したことは最大のニュースであったと言えるでしょう。

2007年(平成19年)、次世代型お召し「電車」E655系が登場して大きな話題となりました。

御料車として製造されたE655-1をのぞいた5両編成には「和(なごみ)」という愛称が付与され、新造のジョイフルトレインという位置づけです。

しかしながら、これを使用したツアー列車については、登場当初は大人の休日倶楽部向けばかりであったほか、平成が終わる2019年(平成31年)現在でもあまり運行頻度は高くありません。

彼の初登板は翌2008年の天皇・皇后両陛下とベルギー国王一家が茨城県を訪問されたときのことですが、この際に大きく話題となったのは後述のお戻りの際でしょうか。

新幹線での運行も大幅に増加

平成の大きな変化としては、新幹線のネットワークの拡充により新幹線のお召し列車運行が大幅に増加したことも挙げられます。

防弾ガラスの編成が用意され、必ずその編成が充てられることが特徴的です。

その路線の最新形式を用意することが通例ですが、上越新幹線での運行の際は、当時の長野新幹線用E2系が充てられています(Maxじゃさすがに……といった経緯でしょうか)。

車両は当然ピカピカですが、趣味的には外観的にどうしても差異が出ないため、乗降される駅での写真が多くなってしまいます。

私鉄も看板車両で運行・つくばエクスプレスやトロッコも御乗車

私鉄でもさまざまなお召し列車が運転されており、西武鉄道が1993年(平成5年)などに運転されたほか、箱根登山鉄道や埼玉新都市交通でも運行されています。

初めてのE655系でつくばを訪問された天皇・皇后両陛下とベルギー国王一家、お帰りのお召し列車はなんとつくばエクスプレス線にて運行されました。

つくばエクスプレスでは開業後の利用者増から増備車を投入しましたが、そのうちの1編成を防弾ガラス装備とし、営業運転を一切せずにこの列車に充てました。

JRのお召し列車同様に銀色に塗られた連結器と、青地に金色のTXロゴマークを誇らしげに掲げ、TX-2000型自慢のボックスシートに天皇・皇后両陛下とベルギー国王一家がご乗車されています。

これが気に入られたのか、2010年(平成22年)には往復で運行されています。

さらに2014年には、わたらせ渓谷鉄道にて運行されましたが、なんとこの際には一部区間でトロッコ車両にご乗車されました。

防弾ガラスに交換することが通例ななか、防弾ガラスどころかガラスがないお召し列車は、当然ながら前代未聞のことです。

このほか、伊勢神宮が存在する近鉄では、以前から看板車両を随時投入・お召し列車運行実績が多数ありますが、50000系しまかぜ号登場により今後もしばらくこちらで運行されることでしょう。

一方で、JRとの乗り入れを積極的にしている伊豆急行(公務での利用はなし)・現在の京都丹後鉄道・先述の秩父鉄道ではJR車の乗り入れとなっています。

新しいお召し列車の形態が出てきた理由は?

平成の天皇陛下・明仁さま(現:明仁上皇陛下)は、自身のためのお召し列車運行のために莫大な費用がかかることを嫌っていたという考え方が趣味人のなかでは定説となっています。

これが本心かどうかはさておき、明仁さまが退位の際に仰っていたように、「象徴天皇としての在り方」というところにポイントがあるように感じます。

一般の国民が乗っている列車・車両を積極的に使われるという結果も、そのために考案されたのではないかと考えるのが一番自然でしょう。

これは令和の時代にも引き継がれるものと思われますが、E655系やサロンカーなにわのお召し列車を見たい一方で、運行実績のない路線で意外な車両が充てられる可能性もありますので、令和もお召し列車が趣味人を虜にしてくれるでしょう。

動画資料集

YouTubeチャンネル【鉄道ファンの待合室資料館】にてこの列車についての動画を公開しています。チャンネル登録・コメント・評価もお願いします。

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