【山手線E231系】線路内乱入撮り鉄で離脱〜JR東のイベントはなぜ荒れる?

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山手線E231系の華々しいラストを彩るため、最後に残されたトウ506編成にヘッドマークが掲出され、多くのファンが別れを惜しんで乗り納め・撮り納めをしていました……という明るいニュースで済まなかった今回のラストラン。

主要な3つのイベントが何かしらトラブルを招く格好となりました。

線路内立ち入りをした輩が非難されるのは当然のことですが、私個人としては、JR東日本のイベント企画方針・トラブル対応の甘さも気になります。

E231系500番台転用とイベント

今回話題となっているのは、E231系500番台が山手線から撤退するため、ヘッドマーク掲出・スタンプラリー・大崎駅ミニイベントといった3つのイベントが実施されたことです。

ヘッドマーク掲出では、線路内に学生世代と見られる“迷惑撮り鉄”が侵入、列車のダイヤを乱すというトラブルが発生してしまいました。

翌日以降、当初の運用計画を変更し、E231系は予備車として車庫へ収容、そのまま本日の転用改造入場まで姿を見せないという最悪の終わり方となってしまいました。

これ以外のイベントは小規模なものが2つ実施されていました。

スタンプラリーでは、その小規模さからは想像できないほど多くのファンが集結。

大塚駅での景品交換待機列が捌けなくなり、開始30分で急遽打ち切り。

この影響もあってか、大崎駅のイベントは当初2時間という短い時間設定を3時間に延長することとなりました。

悪質な撮り鉄が揶揄されているけれど……

ファン思いでこういった企画をしてくれる各現場の皆様・承認してくれた役職持ちの皆様の努力は相当なものだったかと思います。

池袋・大崎の乗務員さんや29駅の関係者の方などには落胆の声もあったのではないでしょうか。

……そのようなことは私も重々承知していますが、都心の大動脈を担う山手線でこういった混乱が起きることを想定していなかった、JR東日本東京支社の予想の甘さが気になります。

そもそも、これだけトラブルが起きることはファン・利用者目線でも明らかだったと思います。

東京駅100周年Suica発売でもファン層以外も多く足を運んでいたように、都心という混雑する立地や、山手線という一般利用者にも注目されやすい路線という特性から、多くのファン・利用者が足を留めることは想像に難くありません。

そして、ファン人口が多い以上、危険行為に躊躇しない人間が発生することは不思議ではありません。

どんなにモラルを訴えかけても、どの世界にもこういう残念な人間は一定数おり、彼らにどんな警告をしても言うことを聞くわけではありません。

そのため、そもそも混乱が起こらないようなイベント施策計画を練るのは、イベント企画という業界では極々当たり前の発想です。

当サイトでも各社のラストランや1番列車のニュースを多く取り扱っていますが、JR東日本東京支社のイベント力に疑問の声が上がるのもやむなしでしょう。

イベントでのトラブルは今に始まったことではなく、東京支社管内だけでも常磐線各駅停車の207系900番台や、2018年の東京総合車両センターでのEF58 61号機の展示トラブル、東京駅100周年Suica発売など、以前から様々な問題が発生しています。

特に準備不足と感じさせられたのは3駅合同スタンプラリーで、開始早々(30分程度)に引き換えの列が長くなり過ぎて急遽打ち切りとなっています。

これについては完全に駅側の読みが甘く一般利用者の支障となる状態になっただけで、並んでいたファンが何かを起こしたわけではありません。

東京駅Suica販売同様に、予想を上回る人数の客を捌けなくなってしまった……という結果の出来事でした。

相手がファン層だからかそこまで大きな問題になっていませんが、これ目的で鉄道利用の需要喚起をしていながら、景品なし……もっと問題視する声が上がってもいいとも感じました。

大崎駅のイベントについても、当初の2時間から3時間に延長していましたが、短時間に制約するから捌けなくなるのでは……?という点は違和感を感じる内容でした。

同業他社の最近の事例では、新京成電鉄が8518編成の営業運転終了後にその旨の告知とともに、社内の撮影画像をSNSで公開するのみとしていました。

また、イベントを行う場合でも、事前応募制としたり、団体臨時列車で車庫内のみでヘッドマーク掲出したりといくらでもトラブル回避をする方法はありました。

今回の山手線であれば、どうしても過去の形式の慣習に沿ったヘッドマーク掲出をしたいならば、せめて複数編成在籍している頃から長期間実施するなど、なるべく一極集中・トラブルとならない方法を採ることは可能だったのではないでしょうか。

JR東日本の会社方針としては駅単位などでイベントを進めたい?

JR東日本としては、中期経営計画などを読む限り、支社・駅・車両センターなどの小さい単位の社員発信でイベント企画をしていきたいという方針がありそうです。

武蔵野線205系の譲渡配給イベントなどが話題となっているように、各駅でミニイベントをする……といった活動が今後の主流となるでしょう。

本社は現業社員さんに色々企画させたいようですが、全く畑の異なる鉄道現業育ちの社員さんたちにその基礎知識を求めるのは難しい面もあると思います。

イベント企画に長けたjeki(ジェイアール東日本企画=JR東日本の広告系の子会社)などと連携して、イベント企画ノウハウの共有・スキルアップをする必要があるのではないでしょうか。

一般利用者・ファンが出来ることは各々がマナーを守ることくらいですので、関係者の今後のイベント企画スキル向上に期待したいところです。

……せっかくイベント企画してくれた東京支社の現業社員さんたちに苦言を呈するのも忍びないところですが、チャレンジ精神の強さがJR東日本の社風だと思いますので、今後も違う形でファン・一般利用者・親子連れなどの幅広い層が楽しめるイベントの展開で楽しませてくれることを願って止みません

イベントをやるならどんな方法があった?

当サイトには、ありがたいことに様々な鉄道会社の様々な部署の方にもお読みいただいております。

鉄道屋を齧りつつ、現在はファン目線で各社の動向を見守っている私から、こんな鉄道イベントならトラブル要因が少なく楽しめるのでは?というアイデアをいくつか提示させていただきます。

内輪だけでやるのが一番

鉄道現業の皆様にとっては、思い入れのある“職場”である自社の電車の最後を彩りたいという気持ちがあることも

究極の対応としては、一般利用客に告知なく、社内で楽しんでいただくのが一番です。

イベントをやるのは大規模?小規模?

これについては賛否が分かれるところで、需要創出で運賃収入等が増加するなら、鉄道事業各社も取り組みたいところでしょう。

イベントの規模の大小は問題ではなく、需要に沿ったキャパシティを提供することがイベントを行う上では重要です。

親子連れ向けのイベントが定番だけれども……

最近では、親子連れ限定イベントが各鉄道会社の主流です。

これ自体はとてもいい取り組みかと思いますが、なぜかマニア層が親子連れ限定イベントに潜り込む……といった手段を問わない例も。

イベント運営側の負担こそありますが、トラブル回避の観点では、親子連れ向けとマニア層向けの双方を実施して棲み分けをするのが一番です。

熱血なファン層には有料の団臨・撮影会

撮り鉄対策で警備員配置……とコストをかけるくらいなら、有料の撮影会を開催できればそれがベストです。

今回のE231系500番台であれば、新旧カラーのE231系・E235系とE231系0番台といった同僚を並べて珍表示を出してくれれば

撮影会系のイベントですが、無料だと混雑で対応能力が問われます。

ある程度の値段でも行きたいコアなファンは多いので人件費や諸経費はペイできるでしょう。

(鉄道業界にはない発想ですが、安い客ほど揉めるし、高い客ほど平和的……という傾向は他の接客業では常識です)

同様に、乗り鉄層へのイベントはミステリー列車形式での団体臨時列車運行が理想でした。

先述の207系900番台のイベントは経路が明らかにされており、沿線には大量の撮り鉄ー特に若年層ーが集まる結果となっています。

ヘッドマークの掲出をして本線走行となれば、各地でトラブルが起きることは必至です。

ヘッドマークを掲げるのであれば、車庫内で行うか、引退前最後の走行ではないタイミングで行えば混乱は少ないでしょう。

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コメント

  1. 通りすがり より:

    JR東はJR東海をみならったほうがいいと思いますが、イベント、観光列車、マニア大嫌いな会社をみならって勉強すればいいのでは、いっそうイベント類を抽選で見せるとか、親子参加式のイベントにすればいいのでは

  2. 名無し より:

    結局こういうイベントなんかしないのが1番
    ヘッドマークなんか出さずある日突然引退、その方が断然良い

  3. 個面ライダー1号 より:

    まぁ、大体こういうのやっているのは学生と年取ったおっさん。自分が人が居ないと思って行った駅は何もしなくても寄ってくる。カブトムシのように。

  4. キモ鉄 より:

    正直な話、大昔から関東地区の撮り鉄マナーは下の下と言われていました
    これはいわゆる「仕切り屋」がいなかったことに尽きると思います
    地方の場合は有名所の撮影地に出向くとその地方では著名な撮り鉄さんがいて
    利己主義ではなくみんなが良い写真が取れるよう位置決めなりをしてくれていました
    たまにマナーがなってない撮り鉄を見かけると注意したり
    最悪刃向かうようなことをすると一脚を振り回して粛清したりと大活躍した結果
    マナーは維持できていたんだと思います
    いかがでしょうか?

  5. あっきぃ38 より:

    私はヘッドマークを期待して撮り鉄を楽しんでいますが、やはりヘッドマークとなると撮り鉄が殺到し、特に東京近郊となると混雑し、中には情報を公開しない貸切列車まであるほどで、私も逃すと悔いが残ります。
    夜間で何とか撮影し、単発で運転するより機会は多いが、突然の取りやめはマナーの問題があると思います。
    これが原因で、JRの首都圏イベントも車両展示を取りやめ、東京近郊もヘッドマークで問題となる鉄道会社もあるほどです。
    各種イベントや展示会、学校行事も撮影禁止が増える中、鉄道も撮影可能である、自動車の東京モーターショーや東京オートサロンのように、単発ヘッドマークの常時撮影チャンスを鉄道博物館や鉄道公園などを活用するか、これが不可能なら最悪、ヘッドマーク掲出が廃止となる可能性もあるので、自動車イベントをヒントにして鉄道も対策をして欲しいです。

  6. TRX より:

    当然の結果でしかない。
    鉄道車両の撮影禁止措置しか予防策はない。
    駅構内や路線沿線など場所と一切の例外を認めない。
    鉄道会社もそのくらい毅然としないと他の利用客に迷惑がかかる。