
JR東日本・千葉支社が管轄する内房線君津以南・外房線上総一ノ宮以南・鹿島線の乗降客数が少ない区間について、ワンマン化を示す動きが同社の労働組合発表により明らかとなっています。
これによると、2020年度末に実施をする見通しとなっていますが、現時点で車両の動きについては一切の発表がされていません。
新車によるワンマン化だとすると、労使で揉めていて発表が出来ていない可能性も考えられますが、そもそも房総の閑散区間に突然新車導入というのも不思議な話です。
今回は、既存の情報を基に、房総半島の普通電車の動きを推測していきます。
2020年5月12日に、正式に千葉ローカル運用へのE131系導入が発表されました。
JR東日本千葉支社の合理化案とは?
現在、利用客数の減少が進んでいる内房線君津以南・外房線上総一ノ宮以南について、同駅での運行系統分離とそれによる閑散線区のワンマン化が検討されています。
また、鹿島線についてもワンマン化が示唆されています。
JR他支社でも乗務員確保(と人件費削減)を目的とした合理化案が上がっていますので、この流れは加速していくことでしょう。
しかしながら、現状の209系2000・2100番台は4両・6両とそれを組み合わせた8両・10両での運転となっており、ワンマン対応設備を一切持っていません。
2020年度末にワンマン化実施を見込んでいるとのことですので、少なくとも2年後の2020年夏~秋ごろには車両投入または改造といった動きが出始めるでしょう。
現状、209系2000番台・2100番台が6両×26編成・4両×42編成あり、この全部または一部が改造・または新造でワンマン対応機器設置をすることとなります。
JR東日本でワンマン対応車種はE129系のみ
現在のJR東日本の新型車両で、直流型・ワンマン運転に対応している車種は新潟地区で投入が続いているE129系のみとなります。
こちらについても、2両編成でのワンマン運転のみとなっており、旧来の3両編成までという制約のなかで運用されています。
新潟支社では形式統一による合理化という大義名分のもと、211系転入の計画を崩してまで新車投入を勝ち取った経緯があります。
運用分離後もワンマン車と都市部車両の混用が出来るような運用が組まれる可能性は十分考えられます。
常磐線がローカル線区にE531系を投入したのも、都市部と閑散区での共通運用化が目的であり、黒磯~新白河間などで活躍する3000番台も時折品川まで乗り入れる柔軟な活用がされています。
房総地区についても、総武線用E235系・京葉線用E233系があるなかで都市部用と閑散区用が別形式なのは非常に不合理です。
よって、ワンマン化が実施されたとしても既存の総武線快速用E235系・京葉線用E233系・房総ローカル用車両(一部?ワンマン対応)といった形になる可能性が高いでしょう。
そして、過去の新形式投入時の動きでも分かるように房総南部を新型車両で統一する計画があるとしたら、すでにプレスリリースで発表しているはずです。
JR東日本の傾向として、新型車両投入時には2年前に正式発表されるのが通例です。
具体的なタイミングとしては、2020年度に投入が始まる横須賀線・総武線快速用のE235系が発表された際に一緒に発表するのが自然でしょう(新潟支社のE129系などの例)。
特にJR東日本の中長期計画「ベスト・プラクティス」や労組発表で一切触れられていないで新型車両投入ということはあまり考えられません。
E531系寒冷地対応車での安全確認カメラの設置
規制緩和による4両編成以上でのワンマン運転実施に向け、JR東日本水戸支社・勝田車両センターのE531系3000番台のK553編成(5両編成)において、「安全確認カメラ」の設置試験が行われています。
これは、JR九州がワンマン運転用に821系電車に採用したものとほぼ同一のものとみられており、黒磯~白河間または常磐線北部・水戸線などでワンマン運転が可能かの試験が行われるものと思われます。
都市型ワンマン(地下鉄など)で実施されている、各駅ホーム設置のカメラを運転台に中継する仕組みに比べ、初期投資が安価で済むことが特徴です。
国鉄千葉動力車労働組合からも「5両編成でもワンマン運転可能な車両を開発している」というアナウンスがあるのはこの車両のことと思われ、JR東日本が4両編成以上での(都市型でない)ワンマン運転実施を検討していることが明らかです。
E231系の転出は待たない?
横須賀線に続いて、東海道線・宇都宮線・高崎線(上野東京ライン・湘南新宿ライン系統)にE235系が投入・それに伴う大規模転配が予想されています。
しかしながら、E231系の転出については、最速でも2020年度~2021年度と推測されていることから、今回のワンマン化の時期には間に合いません。
それまでの間、千葉地区で運用できる車両の転出計画も考えられないことから、千葉地区に中古の形式が入ることも考えにくいという推測ができます。
これにより、ワンマン化は209系2000・2100番台の安全確認カメラ設置改造により実施されるのではないかという見通しが出来るのではないでしょうか。
まとめ
以上のように、新型車投入の気配がないこと・転用車両の置き換えまでに期間がかかることから、E231系の転入や新型車ではなく、既存の209系2000・2100番台の転用の可能性が高いでしょう。
改造工期に関しては、予備車確保のあてもないですから、比較的長期間に渡るものと推測されます。
また、209系2000番台・2100番台についても今後の運用体系の見直し・E231系(あるいはE233系)小山車・国府津車の転出によっては置き換えがはじまることも考えられます。
209系をはじめとする今後の動向に注目するとともに、今の姿の記録はお早めに!
コメント
はじまして。面白いサイト見つけてしまいました。しばらくお邪魔します。
千葉地区のワンマン化は興味深いですね。JRの標準車両って4両以上が基本な気がするし。
川越線で走っていた209系はワンマン化工事に伴って千葉へ移転されるのでしょうか。
371系あさぎりさま
閲覧・コメントありがとうございます。
千葉南部は列車本数の少なさから混雑する列車もあるので、減車をしての別形式とは考えにくく、4両以上でのワンマン化技術とは切っても切れない関係にあるかと思います。
改造予備については、2019年度末の相鉄直通運転開始で横須賀線の減便分で賄うのかなと予想していますが、改造対象数・改造時期の長さによっては予備車の確保の可能性もゼロではないかとは思います。
予備車を作るなら候補は仰る通りの3000番台が手っ取り早いですので、今後の展開に注目ですね。
車両側の改造をどれぐらいで済ませるのかというのも重要かもですね
実はJR東でもすでに仙台空港線で最長6両でのワンマン運転を実施していますが、この場合も車両に車外監視モニター等を取り付けてますので、仮に209系を同等のものにする場合はそれなりの改造を伴うことになります(MON形では恐らく対応できない)。
ただ209系に関しては房総地区向けの改造からすでに年数が経っていることと、今後他路線から車両が転属してくる可能性がある事を考えると、そこまで大掛かりな改造をするというのは考えられにくいですね。
なのでドアスイッチの改造や自動放送装置の取り付け等といった感じで、車両側は最低限のものを準備し、駅ホーム側にバックミラーや監視モニタを設置する形になるのではないかと(4両編成までの都市型ワンマンは大体この形をとっています)
それと横須賀線減便はあり得ないでしょ・・・混雑率が190%越しているのに・・・
しつさま
閲覧・コメントありがとうございます。
(私も存在を失念してましたが)仙台空港線はいわゆる都市型ワンマンでしたね。
本件の推測が難しいポイントとしては
・既存の209系を改造するには余命が短い
・転用車は手玉がない
・わざわざ新製車入れる費用対効果
どれをとっても微妙な点です。
車両側の改造については動労千葉の発表を基にした推測でしたが、車両側で対応することは可能性に触れているのみなので、まだ断定はできませんね。
仰るような駅設備側で対応する可能性もあるかとは思います。
新製車入れるなら減車(2~3両・E129系ベースの2両あたり?)がセットかなあと推測しています。
>横須賀線減便
相鉄直通後の朝ラッシュ4本/hが丸々増発も線路容量的に困難かと思う(ライナーの東海道線経由化で捻出したとしても)ので、若干の減便で朝ラッシュのみの運用が削られるかなという推測です。
むしろ2019年3月改正からの1年間は増発必須な状況ですね……。
ワンマンということは大半の普通列車で発車メロディ廃止か…まだ未収録のものもたくさんあるのに…
メトロ黄銀祐天寺さま
コメント承認遅くなりまして申し訳ございません。
ワンマン化は労組発表から確定的ですので、発車メロディについてもおそらく仰るような展開が予想されます。
まだ2年程度ありますので、しっかり記録しておきたいですね!
細かいところですが、
>しかしながら、現状の209系2000・2100番台は4両・6両での運転となっており、ワンマン対応設備を一切持っていません。
は8両・10両の運用も少なからずありますので、「最短で」を付けるべきですね。