【車内販売】JR東・観光特急車内販売営業終了へ・新幹線も区間短縮?

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JR東日本の首都圏発着の観光路線特急列車と、新幹線の多くの列車について、車内販売営業を2019年3月15日で終了することが一部駅の掲示で明らかとなりました。

各地で止まらない車内販売営業縮小、最大手・日本食堂直系NREの采配とともに、縮小の事情を探っていきます。



今回発表された車内販売営業列車・区間

例年以上に大規模な縮小となっています。

全区間の営業終了列車

東北新幹線『やまびこ』

東海道線・伊豆方面『踊り子』

高崎線・吾妻線『草津』

JR・東武線相互直通特急『日光』『きぬがわ』『スペーシアきぬがわ』

区間営業短縮

東北・北海道新幹線『はやぶさ』『はやて』JR北海道区間【新青森~新函館北斗】

秋田新幹線『こまち』【盛岡~秋田】

羽越本線『いなほ』【酒田~秋田】

列車別詳細~新幹線

はやぶさ・はやて号~北海道新幹線開業で延伸するも即撤退

北海道新幹線開業に伴って延伸された新青森駅~新函館北斗駅間の区間短縮となります。

この区間は在来線特急時代から車内販売が営業していた線区(開業前に一部列車のみに削減されていた)でもある一方で、新幹線開業もNREの新幹線アテンダントの越境乗務となっていました。

今回の削減は乗車率の低い末端区間の削減・長時間乗務となるアテンダントの労働環境改善という経緯かと思われますので、北海道新幹線札幌延伸後は復活の可能性も大きくあると言えるでしょう。

こまち号~売り上げの良かったはずの秋田新幹線で大胆な削減

秋田新幹線は乗車時間が4時間近く、車内販売利用は比較的多くあった路線です(乗車時間が3時間を超える路線は利用率が高い傾向にありますが、公式の資料は各社出ていません)。

今回改正では秋田新幹線としての単独運行区間である盛岡駅~秋田駅間が区間短縮となっています。

これが吉と出るか凶と出るか……というよりは、拠点削減のためにやむなく、といったところでしょうか。

やまびこ号~削減の末に廃止

はやぶさ号・はやて号の増加に伴って影が薄くなってきたやまびこ号。

ダイヤ改正ごとに削減が続いていましたが、今回ついに全廃となります。

理由はもちろん要員不足でしょう。選択と集中という観点から、中途半端なやまびこ号は廃止の運命だったものと思われます。

特筆すべき点としては、併結相手の山形新幹線が車内販売の稼ぎ頭ということもあり全区間営業を維持・山形以南というほとんどを維持(2/17訂正)・やまびこ号は全区間非営業という点でしょうか。

列車別詳細~在来線特急

踊り子号~季節により需要の差が大きかった観光特急

今回廃止となることが明らかになっているのは、特急踊り子号の定期列車3往復・土曜の臨時行路1往復です。

スーパービュー踊り子号は現状維持と思われるほか、マリンエクスプレス踊り子号については詳細不明となります。

今回対象となる削減列車

3025M・下田編成【踊り子105号】~3026M・下田編成【踊り子106号】

3027M【踊り子107号】~3028M【踊り子108号】

3035M・下田編成【踊り子115号】~3034M・下田編成【踊り子114号】

9131M・東京以南【踊り子131号】~土曜・8030M【踊り子110号】

踊り子号は現在のような河津桜まつりシーズンや夏休みのような繁忙期と、それ以外の時期の需要の差が激しかったことが問題と言えるでしょう。

この時期の期間雇用=大学生アルバイトなどぴったりかと思うのですが、大きい会社だとなかなか厳しかったのでしょうか。

草津号~需要に加えて上野発着も痛手か

草津号は、上野東京ライン開通後も上野駅発着となっていました。

常磐線特急ひたちも延伸当初は上野駅から乗車していましたが、現在では新幹線の拠点があるであろう東京駅にて乗降しています。

ブルートレインや常磐線特急を担当していた上野という拠点が使われていないことから、高崎線・吾妻線特急草津号については東京駅~上野駅を新幹線の便乗としており、積み込み等の不便さがあったことも大きな理由としてあげられるのではないでしょうか。

尤も拠点をつぶしたことは自社都合ですので自業自得ですし、以前から廃止したかったのでその理由が作れたといったところが実情なのではないでしょうか。

いなほ号~全列車廃止からの復活劇・しかしやはり苦戦か

いなほ号の車内販売はいったん全列車で廃止されたのちに、試験的な要素も兼ねて復活した経緯があります。

今回の特筆すべき点は秋田新幹線と同時に区間短縮ということで、これは秋田の拠点を廃止することによる人件費削減も狙いかと思います。

となると、これが今年秋運行開始のHB-E300型『海里』にあわせた新たな基地を用意するという可能性も考えられます。

今後の海里のサービスにも方向性が見えてきたのかなと思いますので、こちらは続報に期待してもよさそうです。

日光・きぬがわ・スペーシアきぬがわ号~東武商事側からの動きに期待

運転開始時には全列車にて車内販売営業が行われているほか、東武鉄道から委託業務料という収入源もあったこの路線。

片道運転の臨時列車営業終了→臨時列車全てで営業終了→定期列車も平日の営業を終了となるべく残そうという努力も垣間見れたものの、やはり厳しい現状だったのか廃止となりました。

……とここまでは容易に推測が出来る経緯である一方で、気になるのはスカイツリー・SL大樹で絶好調の東武鉄道です。

中長期計画では常に挑戦的な計画をして実現させている東武鉄道ですが、新型フラッグシップ特急の開発・都心乗り入れの検討・インバウンド需要の獲得といった多くの攻めた検討をしています。

そもそもこの直通運転がJRグループのNREに委託された経緯として、東武商事側がスペーシアに在庫を積みっぱなしで日光・鬼怒川に車内販売の拠点を設けていなかったことが挙げられます。

しかし、現在はSL大樹運行開始にあわせて、現在はリニューアルされた鬼怒川温泉駅に新たな拠点を設けています。

車内販売準備室のないリバティでも一部で車内販売を始めた東武鉄道。

今後の車内販売拡大は東武商事にかかっているかもしれません。

今後のJR東・NREの戦略は?

今回の削減から、需要の波がある区間を中心に削減していると推察されます。

その一方で、グランクラスやスーパービュー踊り子号といったJR東日本からの委託業務路線については現状維持となっています。

このことから、今後の車内サービスはJR東日本からの委託業務料という確実な収入源がある路線にシフトしていくものと思われます。

JR東海の子会社、JR東海パッセンジャーズについても、車内警備業務とグリーン車サービス業務を兼ねることでのぞみ号・ひかり号の車内販売全列車乗務と、こだま号の区間便を除く列車の乗務を維持【2/18加筆訂正】しています。

その一方で、要員不足からか車内販売については16両編成を1人で担当している日があるという目撃情報も近年相次いでいます。

今後のJR東日本管内においても、さらなる車内販売の削減と、新しい形態での列車乗務が開始されると考えられるでしょう。

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コメント

  1. THE ALFEE より:

    山形新幹線の車販は全区間営業ではありません。既に山形-新庄からは撤退しています。

    • ときぱて より:

      THE ALFEEさま
      閲覧・コメントありがとうございます。
      新庄からの撤退をすっかり失念しておりましたので訂正いたしました。
      ご指摘ありがとうございます。

  2. ななし より:

    >秋田新幹線は乗車時間が4時間以上と長く、車内販売利用は比較的多くあった路線かと思います。

    なんだ、想像がソースか?

    • ときぱて より:

      ななし様

      閲覧・コメントありがとうございます。

      車内販売の売上に関する公式資料などの文献をご存知ならぜひご教示いただいきたいですね。
      JR北海道が車内販売終了にあわせて赤字の推移を出した以外は、車内販売の統計資料で掲載できるものは見当たりません。

  3. どくしゃ より:

    こだま号、車内販売とっくに辞めてるよ!
    東海道新幹線も全列車でやってるわけじゃないよ!

    • ときぱて より:

      どくしゃ様

      コメント・閲覧ありがとうございます。
      東海道新幹線こだま号車内販売廃止は存じておりましたが、現在ではこだま号のほとんどの列車にてパーサー乗務が復活しています(しかし車内販売はなし)。
      勢いあまって全列車と記しましたが三島発着などの一部便での乗務なしも確認できたので、訂正させていただきます。

      このあたりの動きは別記事で記す予定ですので、詳しくは近日公開予定の別記事をお読みいただければ幸いです。

  4. しつ より:

    記事の内容を見る限りここが変わった変わってないという内容だけで、縮小の背景について踏み込んでいないのはは少し残念です。
    コンビニ等で事前に用意することもありますし、ここ数年間で駅ナカなど駅構内の店舗がかなり充実しているので、来ることが不定期な車内販売を利用するという選択肢自体今はそんなに無いのではと思います。
    乗車時間が2時間以上になる長距離列車ならば多少有るでしょうけど、いずれにしても人件費の増大で収支が釣り合わなくなっているのかなと。
    (それと東海道新幹線もこだま号に関しては車販は廃止されてます)

    • ときぱて より:

      しつ様

      いつも閲覧とコメントありがとうございます。
      JR東日本公式プレスがどんな理由を付けてくるかを静観するために、執筆時点ではあえて経緯を記さずにいました。
      本日発表のプレスリリースではありきたりな経緯しか記していないほか(そもそも当事者のNREからの発表もろくにありません)、車内販売需要はまだまだ多い線区でも(北海道とは異なり黒字路線でも)あっさり縮小していますので、今後別記事にてしっかりとフォローをしていく次第です。

      JRCPのこだま号車内販売廃止→販売なしのこだま号パーサー乗務復活についてもそちらでフォローするつもりですので、誤解を招く表現の訂正だけさせて頂きました。