京都市交通局では、開業以来使用してきた10系の置き換えを2021年7月に着手します。
後継新型車両の投入が明らかにされており、最初の車両となる6両が近畿車輛から竹田車両基地まで陸送(トレーラーによる輸送)が7月26日から28日にかけて実施されました。
今ドキの前面形状やパンタグラフの向きなど、なかなか興味深い車両となっています。
烏丸線の世代交代
京都市営地下鉄烏丸線は、1981年に北大路駅〜京都駅・1988年に京都駅〜竹田駅・1990年に北山〜北大路駅・1997年に国際会館駅〜北山駅と延伸が続けられた京都中心部を南北に走る路線です。
それぞれの延伸開業ごとに車両の増備が続けられ、これまで6両20編成が運用されていました。1988年からは近鉄京都線への直通運転も実施されています。
10系のうち、烏丸線開業時に投入された9編成は開業から40年が経過し、世代交代が実施されることとなりました。
新型車両のデザインは総合車両製作所が受注、その後3つの案が発表されたのち、車両製造は近畿車輛が受注していました。
車両形式が明かされていなかった新型電車ですが、近畿車輛で製造されている車両から車号が判明。新型車両の形式名は20系と見られ、編成番号は従来の10系から下2桁が重複しない31から付与されていることが判明していました。
烏丸線は建設時から将来的な8両化を考慮してホームは8両分とされたほか、10系も4・5号車に増結を想定した欠番となっています。しかし、直通先の近鉄京都線の有効長が6両編成となっていることなどの課題もあり、現時点では増結の具体的な計画はありません。
このほか、後期に製造された車両は最近までリニューアルが行われていました。そのため、当面の置き換えは初期車両に留まり、10系と新型車両がともに活躍することとなります。
新造された車両を見る
今回輸送された車両は、京都市交通局20系とみられる新型車両・2131編成の6両です。
26日に2131と2231・27日に2331と2631・28日に2731と2831がそれぞれ輸送されました。
今回の烏丸線新型車両は、総合車両製作所がデザインを落札、3つのデザイン案が発表されていました。このうちのB案が採用された格好です。
発表時点でこのB案は「前面の造形に曲面を多用した、より近未来的なイメージのデザイン」とされていました。
最近のトレンドに倣ったホームドアを意識した色配置・LEDヘッドライトを生かした前面形状など、今ドキの電車という印象が強くなっています。
車号は2131-2231-2331-2631-2731-2831となっており、従来の10系と末尾2桁での被りがないように付番されているほか、10系同様に将来的な8両化を想定した車両番号となっています。
新形式の第1編成を従来車の末尾と重複しないように付番している事業者はあまり多くないですが、ゆりかもめの7300系・7500系辺りが比較的近いでしょうか。
また、下2桁の重複を避けるだけであれば、21〜で付番することも出来たように思えますが、近鉄3220系との重複を避けた格好でしょうか。
従来車同様に、2131号が竹田側・2181号が国際会館側の先頭車となるものと見られます。
中間車貫通扉についても、昨今の鉄道車両でトレンドとなっている大型窓に装飾を入れたものとされています。最近の車両では設置する事業者がほとんどない、妻板窓も目を惹きます。
1両に2基設けられたパンタグラフの向きが揃えられており(< <)、この向きが選択された車両はほとんどありません。
製造メーカーである近畿車輛は近鉄系列ですので、機器の取り回しなどは近鉄のシリーズ21(5820系など)や特急車両群の血筋でしょうか。
京都市交通局としては、10系は下枠交差型・50系は小型菱形のものが設置されており、シングルアームパンタグラフは初採用とみられます。
今後の動きなどは明らかにされていませんが、各種試験が行われたのち近鉄線内でも試運転が実施されることとなりそうです。
烏丸線の新型車両という点以上に、乗り入れ先の近畿日本鉄道では優等車両を除いた新造車両が久しく投入されておらず、近鉄京都線・奈良線ユーザーにも注目される存在となりそうです。
画像元ツイート紹介
記事内掲載写真は、撮り乗り鉄さま(@torinoritetsu)より掲載許諾を頂いています。ツイート外のお写真もご提供いただいています。
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