【2月デビュー】東京メトロ17000系 乗り入れ各社で試運転が続く

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東京メトロ有楽町線・副都心線では、有楽町線開業以来使用してきた7000系の代替車両として、2020年より17000系の導入を進めています。

営業運転は2021年2月からと発表されており、2020年には自社線内での各種試験や乗務員訓練、乗り入れ先の東武・西武・東急線内では深夜帯を中心に試験が続けられていました。

2021年に入り、乗り入れ先となる西武池袋線、東急東横線と横浜高速鉄道みなとみらい線にて連日試運転が進められています。

17000系の投入と7000系の代替

現在の東京メトロ副都心線系統では、有楽町線開業からしばらく増備が続けられた7000系と、副都心線開業を主目的に開発・製造された10000系の2形式が活躍しています。

7000系は副都心線対応工事の際に編成短縮を行った8両編成15本のほか、10000系と共通運用で10両6編成も活躍しています。

有楽町線は部分開業と増結を重ねた歴史があるため、7000系は車歴や車両構成、そして修繕工事(B修繕)の実施差異などがまちまちでした。

このため、有楽町線・副都心線用として生き残ることとなった車両と解体・海外譲渡された編成に分かれました。

10000系の増備過程で7000系の置き換え数の計画変更こそありましたが、副都心線対応改造を終えた後は現在の布陣で運用が続けられています。

今回製造されている17000系は7000系の代替として開発・製造されており、最終的な投入予定本数・両数も7000系と同じとされています。

そして、17000系では10両編成を日立製作所、8両編成が近畿車輛にて製造されることとなっており、2020年には10両3編成が落成しています。

17000系落成から現在

17000系は2020年1月に17101F、4月に17102F、111月に17103Fが日立製作所笠戸事業所(山口県、山陽本線下松駅付近)にて落成し、甲種輸送(貨物列車としての輸送)により綾瀬検車区へ搬入されています。

その後は和光検車区や新木場CRの構内で試験が長く続き、2020年9月末から有楽町線の日中試運転、10月初めから他社線での深夜帯の試験が始まりました。

その後も乗り入れ先の各線を走行するシーンは深夜に限られていましたが、年が明けた2021年1月からは有楽町線新木場駅〜西武池袋線小手指駅にて17102Fが、副都心線新宿三丁目駅〜東急東横線〜みなとみらい線元町・中華街駅にて17101Fがそれぞれ日中時間帯に試運転を始めました。

これにより明るいトンネル外で見られる区間が一気に増え、新しい光景が相次いで実現してファンや利用者から注目されています。

最近の電車は試験項目が多い?

東京メトロ17000系では丸1年の入念な試験が続けられており、この期間の長さは新幹線を除けばかなり特徴的な部類です。とはいえ、最近の大手各社ではデビュー前の試験を丁寧に行っている印象を受けます。

最近製造される車両はVVVFインバータ制御を採用しており、これらの機器から発せられるノイズが線路を流れる踏切や信号設備などの微弱電流に干渉する誘導障害問題が発生する事例が存在します。各鉄道会社によってシステムが異なることから、すべての会社のシステムで問題なく運行できなければ、ソフト改修(制御プログラムの修正)などを行う必要が生ずることとなります。

特に最近製造される車両ではsIc(炭化ケイ素)による省エネルギー設計が主流ですが、明確な因果は明らかにされていないながらもデビューが遅れるほどに苦戦した都営浅草線5500形の事例などもあります。

また、保安装置などの拡充により試験項目が増えていることも背景として考えられます。

最近はホームドアの設置により、自動的に列車を正しい停止位置に止めるATOやTASCが採用される事例が増えてきました。

技術レベルが上がることで、車両とシステムの相性は特に重要視される項目になっています。同系統では副都心線開業とともに自動列車停止装置を乗り入れ各社の車両にも整備していますが、開業直後には停止位置がズレることなどにより遅延が常態化。社会問題にまで発展した苦い経験を有しています。

会社跨ぎが多く、直通運転の歴史が複雑ゆえに各社のシステムがばらばら。それゆえに試験が念入りに行われる傾向が強かった副都心線系統ですので、これまで以上に慎重さを求める……という方針からこれだけの期間を設けたこと自体は妥当と言えそうです。最近頻繁に行われている試運転の設定経緯はこの関連とみられます。

在来形式がデビュー後に克服した天候による制動距離のズレ(当初は地下鉄線内のみだったが、現在は東横線内も対象)など、素人目線でも大変そうな印象です。

乗り入れ先も多いこの系統では試験項目が膨れ上がることは容易に想像ができますが、最近の試運転は平日・土休日問わず実施されており、デビュー前月にと考えると切迫している印象も受けます。その割には納車以来動きのない17103Fの存在や、日中の他社線走行試験は東急・西武で始めたばかり……という現状です。

何らかの不都合があってスケジュールが押しているのか、もしくはそもそも有楽町線内完結運用のみに充ててデビュー以降に乗務員訓練を行う前提なのでしょうか。はたまた、ここから怒涛の追い上げで訓練も終えるのでしょうか。

デビューまでの道のりはもう少しありそうですが、17000系デビューによる7000系の代替開始は目前に迫ってきました。

多様な種別・行先があるこの系統では、東上線の小川町駅乗り入れ・西武池袋線の8両優等やダイヤ乱れ時の池袋駅入線など、ぜひ乗車・撮影をしておきたい珍しい列車がいくつもあります。

早期の代替が予想できる10両編成・花形優等種別を中心に、乗車や撮影はしっかりと行っていきたいところです。

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