以前より多くの利用者から期待されている日比谷線直通のライナー列車と使用車両となる70090型。
12月14日から3日間の行程で、第一編成となる71791Fが近畿車両から東武鉄道に向けて甲種輸送(貨物列車として輸送)されています。
12月19日に列車の概要が発表されましたので、列車についての考察記事を記しました。
日比谷線直通運転とライナー設定
東武伊勢崎線と日比谷線の直通運転の歴史は長いですが、日比谷線全通の頃から一貫として18m級の小型車両が使用されている点が目立ちました。
東武鉄道側の車両としては3世代目となる70000系では、従来の18m級3扉(一部5扉)車の8両編成から、20m級4扉車の7両編成と大きな変更が加えられています。
将来的なホームドア設置を見越しての車両代替で、かつては0扉車(100系スペーシア)から6扉車(東急5000系)まで存在すると揶揄されていた伊勢崎線系統。
日比谷線ともども、この車両置き換えの完遂により、やっとホームドア対策に乗り出せることとなります。
この置き換え完遂を前にして、置き換え車両の最終増備4編成に仕様変更を加える形で、東武スカイツリーラインと日比谷線を直通する着席列車が設定されることが正式発表されています。
以前より東上線の地下鉄直通列車の優等列車運転・野田線(アーバンパークライン)の急行運転の拡充と並んで中期経営計画でファンに注目されていたこの計画。
特急型車両による乗り入れに期待する声もありましたが、大方の予想通り、東上線“TJライナー”50090型に続き、ロングシート・クロスシート可変座席の車両“70090型”による運行と発表されています。
2019年12月14日から16日の3日間にかけて、近畿車両からJR東海道本線などを貨物列車で東進、熊谷貨物ターミナル・秩父鉄道を経由して70090型の第一号編成となる71791Fが輸送されています。
東武スカイツリーラインでは特急型車両とライナー用車両が共存することとなりますが、これについては西武鉄道に続く形となります。
先行事例となる西武鉄道では車両グレード・停車駅・用途が違うことなどから異なる料金体系となっています。
東武鉄道がこれに追従するのか、それとも特急型車両の短区間便”アーバンパークライナー”・“スカイツリーライナー”と同一扱いとするのか、今後の運転・料金体系が気になるところですね。
愛称は公式未発表ながら3択
2019年春に東武鉄道株式会社から商標登録出願が3つされており、カラーリングや名称から日比谷線直通用のライナーに使用する候補とみられています。
東武鉄道では、使用しない候補についても商標登録出願をする傾向があり、同社が運転を開始したSL大樹の愛称発表前にも同様の手段が取られています。
東武鉄道が出願した3つの愛称
“THライナー” ……TJライナー同様の名づけ方となります。スカイツリーラインのナンバリングTSではなく、東武と日比谷から取ったものでしょうか。
“HiBiTo”……こちらも日比谷・東武の頭文字から取ったものでしょうか。THのゴロの悪さ・どこの路線だか分からないという意味では、こちらの方がシンプルで分かりやすいですが、肝心のライナーであることが分からないというデメリットも。
“Smart Liner”……JRのホームライナーくらい単純な名前を付けたいという案でしょうか。各社が独自の着席サービスでブランディングしていることを考えると、埋もれてしまう名称にも感じますね。
近畿車両にて落成した70090型を見る
今回登場した70090型では、前面・側面ともに外観のデザインが従来の70000系とは異なるものとなっています。
東上線“TJライナー”用の50090型では、在来車両に紫帯を付加するという小変更に留まっていたほか、お隣りの西武鉄道ではデザイン面での変更はしていなかったことを考えると、かなり拘った車両と言えるでしょう。
側面のデザインについては、既存車両同様にフリースペース位置にあわせた帯デザインとされているため、南栗橋側1両・77791号のみが逆向きに波打っているようなデザインです。
前面については、ライト回りに歌舞伎役者のような黒縁が施されており、メトロ13000系に比べると優しい顔の印象だった70000系とは異なる雰囲気を醸し出しています。
ロゴマークはライナーの愛称ではなく車両形式名
先頭車両には【70090 SERIES】のロゴが入っており、これを意外と感じる方も多いのではないでしょうか。
形式名をロゴマークに採用した事例は東武鉄道では初となりますが、日比谷線直通のライナー以外でも使用することを考慮して列車愛称のロゴマークを採用しなかったものと推測できますね。
東武鉄道に多大な利益をもたらしたであろう東上線・TJライナーで使用される50090型についても紫帯に記されているのは”TOJO LINE”となっていました。
この時は車両形式を推すことはありませんでしたので、最近のJR東日本が形式名をロゴマークに使用していることをヒントにしたのでしょうか(鉄道会社で車両形式をロゴに使用する例は比較的少なく、最近までは新幹線の一部形式で見られた程度でした)。
このロゴマークですが、外周は先頭車両を模ったデザインとなっていますが、それぞれの先頭車の向きに沿って異なるものとなっています。
20000系の直通運用引退は秒読み
2016年度から4ヶ年計画で進められている4扉7両編成への車両置き換えもいよいよ大詰めを迎えています。
東京メトロ側では03系の投入完了時期を2020年度に延ばしているものの、東武鉄道では特に発表がないことから、2019年度内の置き換え完遂とみて間違いなさそうです。
東武鉄道側では、転用工事の都合から、チョッパ制御の20000系と、5扉車付きのVVVFインバータ制御の20050型がどちらも僅かながら残存しています(最終増備の20070型は早々に転用されています)。
現在も全盛期同様の終日運用での活躍も見られていますが、虎ノ門新駅にホームドアが既に設置済となっているように、余命宣告状態です。
ライナー列車の運行開始・新駅「虎ノ門ヒルズ」開業と明るいニュースが目白押しの日比谷線系統。
激変の時期となりますので、既に貴重な景色となっている03系・20000系を見られる今のうちに乗車・撮影を楽しみたいところですね。
動画資料集
Youtube=鉄道ファンの待合室資料館では、71791Fの甲種輸送の様子を記録映像として公開しています。
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