【東武20000系】行先は「山の方」やはり松本へ?転用準備が進行中

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東武鉄道では、日比谷線直通列車の世代交代のため70000系列の投入を進めており、20000系列全車両が編成短縮・ワンマン化のうえで転用改造を行っています。

同時に置き換えが進められた東京メトロ日比谷線向けの03系は熊本電鉄・北陸鉄道・長野電鉄に譲渡が実現していたものの、東武鉄道は現在まで自社転用の動きに留まっていました。

最近になり、東武20000系列についても譲渡の動きが出てきました。譲渡先や改造メニューが気になりますので、現時点で考察をしてみます。

20000型+20050型混結の2両編成?

従来の東武鉄道20000系列の転用では、20000型の中間車全てと20050型・20070型の中間車2両ずつが自社転用の対象から外されて解体が進んでいました。

ところが、直近で除籍となった20000型の21803F,21804Fのパンタグラフ付きの中間車計4両(24803,26603,24804,26804)と、20050形の21853F,21856Fの3扉パンタグラフ無しの中間車2両(25853,25856)が解体対象から外されて渡瀬北留置線にて保管されています。

最近になって20050型と20000型がペアを組むような編成順序に繋ぎ変えられていることや、それ以降に回送された21812Fは全車両が解体となりそうな動きであること、20050型でまだ廃車回送をしていない編成がちょうど2編成あることなどを踏まえると、両形式を組み合わせた2両編成4ペアが譲渡対象と推測できる動きとなっています。

床下機器ベースでみると20050型の方が新しい一方で、車体ベースでみるとパンタグラフ付き車両は5扉車両となっており転用に不向きです(メトロ03系も解体対象となりました)。

ただし、20000型と20050型ではドアの高さなど各所に違いがありますので、走行機器類を移設した場合も種車由来の違いはそれなりに残りそうです。

20070型の解体前であればそれが最適だったようにも思えますが、それ以降に譲渡の話が出てきたこと、4編成の導入で仕様を揃えたかったことなどが推測出来ます。

地方私鉄への譲渡では、床下機器構成を生かして先頭車化をするか、車体構成を生かした電動車化をするか……といったメニューが多いですが、今回の譲渡ではそれぞれ実施されることとなりそうです。

アルミ車・JRグループでは稀な先頭車化改造ですが、これ自体はステンレス車両でも東急1000系の地方私鉄譲渡などが有名です。

まるで模型のような転用改造ですが、走行機器類についても一部流用としつつ再構成が必要であること、そして改造後も残るであろう車両仕様不揃い……。

メニューもかなり多くなりそうで、素人目線でも比較的高価な改造となりそうですが、やはり18m級・3扉という出物自体が今後珍しくなることからの導入でしょうか。

譲渡先として考えられるのはどこ?

ファンの間では以前から推測の声が飛び交っていますが、東武鉄道からの譲渡実績のある会社、それ以外で特に条件が類似する会社をいくつか考えてみます。

ただし、あくまで公式に車両代替を宣言している会社がないため、推測の域です。

上毛電気鉄道

上毛電気鉄道上毛線は、群馬県中央前橋駅から西桐生駅を結ぶ路線で、東武鉄道3000系列の車両譲渡実績があります。古くはデハ2形10号が戦後すぐに上毛電気鉄道に渡っています。

現在は京王井の頭線の3000系を700型電車として2両8編成運用しています。

5編成が先頭車の電動車化・3編成が中間車の先頭車化と改造内容こそ異なりますが、特段運用上の違いはなさそうです。

2018年以降自社発注の新型車両製造で代替する旨の報道こそありましたが、業者選定ができずに2019年度は見送りとなっています。

東武20000系で置き換えを実現するには車両数が足りない(20050型全編成を活用すれば同仕様8編成で淘汰出来たはず)という疑問点が残ります。

上信電鉄

同様に東武鉄道と取引実績がある鉄道会社としては、同じ群馬県の上信電鉄上信線があります。

こちらは西武鉄道との繋がりが強く、東武から譲渡されたのは運転台周りの部品のみです。また、JR東日本から107系近郊型電車を購入・順次整備して営業運転を始めたばかりとなっており、こちらももし車両置き換えを進めるなら107系をもっと購入した方が適切です。

可能性はゼロではないものの、ここしばらくの導入傾向を考えるとわざわざ20000系列を購入する可能性は低そうです。

アルピコ交通

こちらは東武鉄道からの車両譲渡例こそありませんが、以前からファンの間で特に有力と噂されている路線として長野県・アルピコ交通があります。

松本電鉄を系譜とするアルピコ交通上高地線では、京王井の頭線で活躍していた3000系を2両編成に短縮して運用しています。

製造時期からの経年で置き換え時期であることのほか、2両4編成という小所帯が今回の譲渡にぴったりではないか?ということで、以前よりファンからの噂が絶えません。

2両4編成・18m級と条件が合致していること、何より昨年の花上館長の発言にあった「山の方」が指し示す路線という表現に最も近いと言えそうです(先例2社は東武鉄道と同じ群馬県)。

なお、アルピコ交通の車両計画については、長野県ホームページで在来車両が置き換え時期の経年であること・必要に応じた支援について触れているものの、同社の経営計画や有力な情報などは現在までありません。

この他にもいくつか考えられるものの……

このほか、そっくりのボディを有する愛媛県の伊予鉄道、ステンレス車の投入が続く富山地方鉄道などを推測する声もありますが、前者は在来の700系を置き換えるには数が少ない、後者は東急8590系の導入実績を考えると同社から8500系を買う方が自然など、疑問符が残ります。

香川県の琴電は線路幅の観点から今後も京急電鉄譲渡車両が最適、京王3000系の購入をした静岡県の岳南電車は富士急行の元京王5000系を導入済、一畑電車の元京王5000系6編成は既に15年程度の延命工事施工となっています。

18m級2両編成の消去法でもやはりアルピコ交通が最有力でしょうか。

改造種車が揃い次第動きが出そう?

東武鉄道関係の未来の話題は、昔から東武博物館名誉館長の花上氏の講演が基となることも多く、昔から東武鉄道のファンを賑わせてきました。

2019年11月の南栗橋車両管区の公開イベントでは、「山の方の地方私鉄」への譲渡と触れており、これまでの状況を総合するとアルピコ交通上高地線が一番考えやすいところでしょうか。

最近になって日比谷線03系譲渡の動きも進んでおり、地方私鉄の世代交代が徐々に進んでいます。

改造をどこで行うのか・譲渡実現時期・新しい前面形状なども含め、今後の動向に引き続き注目していきたいところです。

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コメント

  1. あっしゅ より:

    上毛はないでしょう。
    自社発注車が早ければ秋に、遅くとも数年先に出ることが決定しています。

    • あっしゅさま

      閲覧・コメントありがとうございます。
      ご指摘の点につきまして、加筆修正させていただきました。
      自社発注の新型車両導入の報道は複数あったものの、結局2019年度の見送り。続報が気になるところです。
      それ以降について触れた文献を把握していないので、ご存知でしたらご教授いただけますと幸いです。

      今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

      鉄道ファンの待合室

  2. IZhk より:

    小田原付近の急カーブを中心に、18m車両がギリギリ通れるほど、線路条件が悪い大雄山線も考えられると思います。ただし、抵抗器付きVVVF制御にするか、車体は東武20000系で床下は西武2000系の界磁チョッパにする必要があります。

    • IZhkさま

      閲覧・コメントありがとうございます。
      コメント頂いた大雄山線のうち、鋼製車体の編成を置き換えるという可能性はゼロではないと思います。
      しかし、改造種車が2両編成想定の動きを見せているので今回の対象からは外れるかな……という印象です。
      駿豆線系統では20m級の入線対応を生かして繋がりの大きい西武車両の譲渡も実現していますが、大雄山線系統はどうする計画なのかは気になるところです。

      今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

      鉄道ファンの待合室