【近鉄】ビスタEX2編成連結「V重連」が運転!ビスタEXの歴史と今後

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写真;きたく路快速さま

2019年4月27日、近鉄乙特急の看板車両、ビスタEXを2編成連結した8両編成、通称「V重連」が久々に運行されて話題となりました。

登場から40年以上経つビスタEX・30000系、これまでの活躍と今後の展開、次世代車の登場などを考えます。

ビスタEXの歴史

30000系登場からビスタEXになるまで

そもそもこのビスタEXという名称は登場当初からのものではありませんでした。

30000系デビュー当初はニュービスタカーなどと呼ばれていたものの、ビスタⅢ世という呼び名が一般的になっていました。

ビスタカーシリーズとしてはボギー車となったほか、当初はハイデッカーで構想されていたものの、中間2両をダブルデッカーとすることが特筆される車両でした。

また、車体断面が先頭車と中間車で大きく異なりますが、これは編成美を損なっている反面で2階建が目立つということで、デビュー当時からのものです。

観光特急という色合いから2階席の座席数に最大限こだわっており、これはJR東日本の251系やJR東海の371系・小田急20000形などにも受け継がれることとなる、当時のトレンドの火付け役です。

しばらくは看板車両として活躍していたものの、東海道新幹線の値上げで名阪特急にアーバンライナー投入となったことに続き、観光特急車両である伊勢志摩ライナーを登場させたことでビスタカーも見劣りがしてきました。

伊勢志摩ライナーの車両の少なさもあり、30000系へのテコ入れとして宣伝に力を入れることとした近鉄は、2階建部分を作り直し、車体断面から変えるという大手術を行いました。

また、両先頭車に2つずつ設置していたパンタグラフを両先頭車1つずつとすることで、運用制約をなくしています。

このリニューアル車の名称が、現在まで呼ばれるビスタEXです。

その後も小改造が続いて3色目に

2回目のリニューアルとなるB更新では、階下席がグループ専用席に改造された点が目立ちます。

また、外観としては先頭部の行き先表示器のLED化もされています。

そして、2016年の近鉄特急カラーリング変更対象は、ビスタEXも例外ではありませんでした。

オレンジと濃青という近鉄特急のなかで白帯を加えたビスタEXの専用塗装は無くなってしまったものの、不連続なデザインとすることで2階建車を目立たせるという開発コンセプトはこの最新塗装にも受け継がれています。

この塗装変更と同じく2016年からは喫煙ルームの設置=客室部分の禁煙化がされています。

V重連の走行実績

近年はすっかり珍しい光景となってしまったV重連ですが、一時期は定期運用として組み込まれていた時期もあります。

先述のように登場時(ビスタEXになる前=ビスタⅢ世時代)はパンタグラフが連続してしまう構成だったため、ファン向けに実施された特別運行などでパンタグラフを畳む措置を取った特殊な事例でしか実施されていませんでした。

リニューアル後はこの制約がなくなり、2004年から2009年までの間は定期運用でV重連=ビスタEXを2編成繋ぐ列車が運行されていましたが、それ以降は繁忙期の増結運用に限られています。

そもそも4両編成×2の8両編成という定期運用の本数が全体の運行本数から見ると多くないため、近年のように繁忙期の増結運用に留まってしまう傾向となることは仕方ないでしょう。

定期運用がなくなってからの繁忙期の運転実績も減少しており、今回の運行はおよそ2年ぶりで、新塗装編成同士での重連運転は初となります。

今後もピーク時期などにひっそりと運行される可能性はありますが、今回も1日限りとなっていたように、相当珍しいものとなりそうです。

ビスタEXの今後:次世代ビスタカーは登場する?

登場からかなりの年数が経っているビスタEX。

新塗装化も順調に進行している他、喫煙スペース設置など手を加えられ続けていてもうしばらくは安泰といったところでしょうか。

老朽車が他に多く活躍している中、彼らにもしっかり喫煙スペース設置改造を施していることを考えると、置き換えられたアーバンライナー編成の活用による運用減などはあるかもしれませんが、当面は大きな動きもなさそうです。

なお、ビスタEXの後継車種として一番近い開発車種としては、団体列車専用の「楽」20000型が挙げられます。

しかしながら、団体列車という立場とその特殊すぎる構造から、通常運用に就くことはありません。

そして、近鉄の近年の特急事情としては、フラッグシップとしてしまかぜ号という豪華観光列車を投入しているほか、今後は名阪甲特急への新型車両投入があります。

以前から運行されている伊勢志摩ライナーやさくらライナーも観光色の強い車両ですが、これも平屋構造となっており、ビスタカー系列とは一線を画すものです。

以上の経緯を考えると、近鉄としてはAce,ACEのような汎用性の高い一般的な特急車両、アーバンライナーや伊勢志摩ライナーなどの用途別の車両、そしてフラッグシップのしまかぜという3種に大別していきたいものと推測されます

趣味的にはACEなどと混結する次世代型のビスタカーが出てきて欲しいところですし、既存車の15編成体制のような一定数の編成があれば運用上の制約もあまり問題にならないとは思うので、新型名阪特急投入後の特急車両動向に期待ですね。

(圧倒的に放置されている旧型通勤車たちにいい加減手をつけるべきかとは思いますが、これはいつか別記事にてフォローしたいです……)

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