【鮮魚列車】近鉄“行商人専用列車”が運行終了へ〜改正で車両貸切に

スポンサーリンク

近畿日本鉄道は3月14日のダイヤ改正で、長年に渡り大阪と伊勢を結んできた「鮮魚列車(行商人専用列車)」の廃止を発表しました。

3月14日以降はラッピングを施した鮮魚専用車両が一般列車に連結されます。

日本でここだけの鮮魚列車、現地のルポも入れつつ解説していきます。

近鉄の鮮魚列車とは? 

大阪上本町駅で発車を待つ鮮魚列車

近鉄は三重県の漁港でとれた新鮮な海の幸を奈良や大阪へ運ぶ行商人のために行商専用列車、鮮魚列車を運行してきました。

「伊勢志摩魚行商組合連合会」の貸切列車として運行を開始したのは1963年のことですので、半世紀以上に渡り運行されてきた歴史にある列車です。

この列車は日曜日、祝日を除き上りは宇治山田発大阪上本町行き、下りは大阪上本町初松阪行きとして運行されています。驚くべきことに運行開始からダイヤは変わっていません。鮮魚列車の停車駅は以下のとおりです。

鮮魚列車の停車駅

伊勢市,松阪,伊勢中川,榊原温泉口,伊賀神戸,桔梗が丘,名張,榛原,桜井,大和八木,大和高田,鶴橋

鮮魚列車は行商人専用列車のため、一般客は乗車できません。最盛期は100人を超える利用者がありましたが、現在は自動車利用の増加もあり半数以下だそうです。そのため、一部の停車駅では降車がないため、1秒ほどでドアが閉まります。

鮮魚列車は代々の専用列車によって運行されてきました。鮮魚列車の初代は元特急車のモ600形や旧奈良電のク500形などです。

1989年、1480形3両が冷房化とトイレ改造を施された上で2代目の鮮魚列車としてデビューしました。

現在の3代目2680系3両となったのは2001年のことです。2680形は1971年に急行系としてデビューし、当初は4扉固定クロス車両でした。登場時から冷房化されており、初代ビスタカー10000系の機器類を流用したことでも知られています。後にロングシート化改造を受け、現在に至っています。

近鉄以外の鉄道会社でも行商人専用列車が運行していましたが、現在は近鉄のみとなっています。3月14日のダイヤ改正により、鮮魚列車にピリオドが打たれることになりました。

乗客ゼロで出発した鮮魚列車

鮮魚列車とお別れをするために、大阪上本町駅に行きました。狙うは17時05分発の松阪行きです。3番線ホームにある案内表示機には「貸切」と表示されていましたが、停車駅は表示されませんでした。

2782号の方向幕は故障していた

16時55分頃に鮮魚列車が大阪上本町駅に到着しましたが、伊勢方前方に止まります。大阪上本町方2782号の方向幕は故障しています。そのため、方向板を掲げていました。

鮮魚列車を担当する2684編成は一般車と区別するために、近鉄マルーンに白帯となっています。方向板と相まって昔の近鉄電車のようですね。

2684号の方向幕は「鮮魚」になっていた

伊勢方2684号の方向幕は正常で「鮮魚」と表示されていました。貸切列車という性質なのか降車ホーム側の扉を開いていました。

種別行先表示機があったと思われる箇所は埋められていた

種別行先表示機があったと思われる箇所は埋められていました。2684編成は回送を除くと鮮魚列車のみの運用なので、側面の種別行先表示機は不要なのでしょう。

鮮魚列車は乗客ゼロのまま大阪上本町駅を発車した

鮮魚列車はあくまでも貸切列車なので一般客は乗車できません。車内には広告は一切なく、赤色の座席はくすんでいるように見えました。一般車とはまったく異なる雰囲気でした。

17時05分に発車ブザーの音と共に鮮魚列車が発車しました。大阪上本町発車時点で乗客はゼロでした。

3月14日以降はラッピング車両「 伊勢志摩お魚図鑑 」に

3月14日以降は平日朝に運行される一般列車の最後部に鮮魚運搬車両を連結します。

2019年3月まで京成電鉄が行商専用車として、普通列車1本の最後尾1両を専用車扱いしていたのと同様の運用となります。

鮮魚運搬車両はラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」となり、伊勢志摩の魚介類が車体に描かれる予定です。

ラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」は2両編成の通勤型車両のうち1両が使用されることが発表されています。なお、一般客は「伊勢志摩お魚図鑑」には乗車できません。「伊勢志摩お魚図鑑」を連結する列車は以下のとおりです。

「伊勢志摩お魚図鑑」連結列車

運行日:平日  松阪駅6時44分発→大阪上本町8時46分着

・最後部に「伊勢志摩お魚図鑑」連結・一般利用者乗車不可

・松阪~名張間は6両編成「急行」、名張~大阪上本町は10両編成「快速急行」で運転

鮮魚列車は平日・土曜日に運行されていましたが、「伊勢志摩お魚図鑑」は平日しか連結されないほか、夕方の下り運行はありません。

3月22日には現在の鮮魚列車に使用されている2680系と「伊勢志摩お魚図鑑」を並べた撮影会ツアーが行われます。青山町車庫で9時~15時30分頃まで行われ、募集人員は100名。2月21日~3月12日まで、大阪難波駅、大阪上本町駅、大和西大寺駅、橿原神宮前駅、名張駅、京都駅、大阪阿倍野橋駅、近鉄名古屋駅、近鉄四日市駅、津駅、宇治山田駅と近鉄各駅営業所にて申し込みを受け付けます。

今回のツアー以外も「伊勢志摩お魚図鑑」を利用したツアーが企画される予定です。

関連記事はこちら

コメント