【沿線民の悲願】都営三田線で8両編成・新型車両6500形が運行開始

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都営三田線ではこれまで8両化に向けた新形式6500形の運用開始に向けた準備と、線路や施設類の8両編成対応工事が進められてきました。

2022年5月14日より東京都交通局6500形が三田線内での営業運転を開始し、あわせて8両編成での運転が開始されています。

利用者の悲願であった8両編成化

目黒駅から西高島平までを結ぶ都営三田線の歴史は古く、建設・開業当初は6号線とされていました。

構想当初は都営浅草線と同様の1,435mm軌条の採用を構想していたほか、その後は東武東上線・東急池上線〜大井町線〜田園都市線となるネットワークに向けて計画が進められていたものの、東武・東急双方から計画を中止される悲しい歴史も知られています。

1968年から巣鴨駅〜志村駅(現在の高島平駅)間の開業を皮切りに1973年には南側が三田駅まで到達。1976年には西高島平駅まで開業し、建設はひと段落しています。

これらの建設時点で最大で8両編成の運行に対応したホーム設備で建設されています。

1993年から開業当初より使用していた6000形の後継となる6300形が登場しており、この時点で現在の目黒駅延伸・東急目黒線直通運転・将来の8両化に対応した設計とされています。

1993年から94年にかけて1,2次車13編成が投入され、非冷房の6000形を置き換えました。

その後は少し期間を空けて1999年から2000年にかけて3次車が投入されており、6000形の完全淘汰・目黒駅延伸分の運用増分の車両増備がされています。3次車は24編成となり、現在まで続いた6300形37編成体制となりました。

高島平団地をはじめとする板橋区の三田線沿線では東上線との距離も離れており、公共交通が両路線とバスのみという条件から利用者は年々増加。三田線の混雑も深刻となっており、利用者からは早期の8両化を期待する声が多く上がっていました

しかしながら、後から建設された営団地下鉄〜東京メトロ南北線は最下位の利用者数・埼玉高速鉄道も開業以来赤字続きで増結には否定的な姿勢だったことがうかがえました。東急電鉄所属車両は両路線で運用される体制ですので、これまで4社局の利害が一致せず8両編成導入は思うように進みませんでした。

転機となる神奈川東部方面線として計画された現在の東急・相鉄新横浜線の建設も複数回の延期がされつつ、この間に各事業者で話し合いが進められてようやく4社局の全線全駅が8両編成に対応・現在の車両増備・新形式投入に至りました。

6300形の6両編成862人の乗車定員に対し、6500形8両編成では1,172人とされています。単純計算でも8両編成の列車では混雑は3/4となることとなり、大きな緩和が期待されます。

初日の運行の様子

東京都交通局からの事前発表(外部リンク)の通り、5月14日は三田線内(西高島平駅〜白金高輪駅)での営業運転となっています。

2022年3月12日のダイヤ改正では同区間内完結の運用は設定されておらず、43T運用の1往復相当分を肩代わり・高島平駅で車両交換を実施する格好となっています。高島平駅→西高島平駅→白金高輪駅→高島平駅と最小限の運行で、大きなトラブルもなく終了後は車庫に戻っています。

従来車である6300形が複雑な意匠をしているのに対し、6500形はシンプルを極めたデザインが発表時から注目されていました。

この外観への賛否は分かれていますが、同様にシンプルな形状のE235系も見慣れたこと・“走ルンです”と揶揄された209系でさえ今やファン人気のある車両となっていることなどを考えれば、見慣れる存在となれば評価が変わってきそうです。

何より三田線沿線民にとっては悲願であった8両編成の電車ですので、少なくとも利用者にとっては見かけたら嬉しい存在であることは間違いありません。

営業運転開始日が公表されていた一方で、1番列車の運用は公表されていませんでした。

また、1番列車でみられがちな特別な装飾や出発式・放送等もなく、土曜日の運転開始ながら比較的ひっそりとしたデビューとなりました。

南北線系統より遅れてのスタート

8両編成の案内表示・放送も6500形のデビューとともに解禁

同様に8両編成での運転に向けて準備が進められてきた東急目黒線〜東京メトロ南北線〜埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線では、4月1日より東急電鉄車による8両編成の運行が開始していますが、最も8両化が望まれていたはずの都営三田線では6500形1番列車が最初の8両編成での運行となりました。

これについては、三田線内でホームドア更新工事が完了することを待ったことが背景とみられます。

都営三田線はツーマン・ホームドア無しで開業しており、三田駅から目黒駅までの延伸・東急目黒線開業に向けてワンマン運転・ホームドア設置をしたため、南北線とホームドア設置時期に大きな差はありません。

南北線ではフルスクリーンタイプのホームドアが採用されたのに対し、三田線ではハーフハイトタイプの一般的なホームドアを採用しています。

そのためか、南北線のホームドアは内部の更新工事に留まったのに対し、三田線では一旦撤去のうえで新規筐体を設置する体制となりました。

一見すると非合理に思えますが、ホームドア黎明期の筐体に更新するよりも、技術が成熟し量産体制も確立されている現代のホームドアを採用した方が中長期的なメリットが大きかったことが予想されます。

最後まで工事がされていた日比谷駅の新型ホームドア更新が5月11日に実施されており、6500形のデビューはこれを待つ格好となりました。

また、東急電鉄では3020系を6両編成で暫定運用をしていたのに対し、東京都交通局では8両編成で製造された6500形の編成短縮での営業運転は実施されませんでした。

こちらの背景は定かではないものの、東急電鉄では既存車の相鉄直通改造・増結準備工事を先行させる必要があったために増備車を先行投入したのに対し、東京都交通局ではこの必要がなかったことが考えられます。

どの路線よりも8両化の要望が多かった三田線が僅かながら遅れてスタートとなりましたが、東急電鉄・相模鉄道は乗り入れ車両を全て8両化しており、東京都交通局も6500形13編成のうち9編成が落成済です。

置き換えは速いペースで進行することが予想され、相鉄直通運転開始より先に利用者の悲願であった混雑緩和が実現することとなりそうです。

東急車の8両化も急ピッチで進行か

南北線・埼玉高速線側に続いて三田線側でも地上設備の工事が一通り済んだため、6500形だけでなく東急電鉄車の8両編成も営業運転が可能な状態となりました。

東急電鉄にとっても増結車自体は多くが落成済みで連結待ち状態となっていますので、今後は急ピッチで増結が実施されることとなりそうです。

既に営業運転を開始した3020系3123Fに加え、現在は複数の5080系が8両化作業をしており、自動列車運転装置(ATO)等の調整のためとみられる試運転なども目撃されています。

最近発表された計画では相鉄直通運転開始までに完了としていますが、実際にはATS-P形保安装置の動作確認のため全編成が直通運転開始前に試運転で相鉄入りすることも予想されますので、これが完了する前に増結作業が完了することが予想できます。

また、東横線所属車両でも8両編成の10両化に向けた動き・ATS-P形等の相鉄直通改造が進められている最中であるものの、増結車は4111Fのみの状態となっているほか両数の制約が厳しい東横線での運用状況を踏まえると、運用上の制約がなくなった目黒線所属車両の8両化が優先的に進められることとなりそうです。

関連:都営6500形の過去記事

関連:「7直」その他各社局の新形式・増結車の動向

・相鉄〜目黒線系統

相鉄〜東横線系統

コメント

  1. より:

    >この時点で現在の目黒駅延伸・東急目黒線直通運転・将来の8両化に対応した設計とされています。

    明らかに違う。

    6000形の時点で8両編成を念頭に置いた付番が行われており、先頭車の番号末尾は1番と8番。最終的に6000形は3号車と4号車が製造されないまま終わった。

    同じく6300形は5号車と6号車が製造されていない。